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夢、叶えよう。【第八夜】

自戒。

新聞社でのアルバイトも軌道に乗り、ホームページを開設したらちょこちょこ読んでいただく方も増えつつあり、掲示板(Tcupね、懐かしい!)に感想を書き込んでくださる方もいらっしゃいました。

まぁまぁ、自分が考えたことが実現して、軌道に乗り始めて、なんとなく過ごしていた夏ぐらいの頃です。

もちろん、お金はあんまりないです。いや、ほとんど無いです。いや、良かったんです、お金なくても。
目的は「ライターになる」という目標ただ一点ですから。
この状況でお金稼ぐためにアルバイトを掛け持ち…なんかしては本末転倒です。手段と目的が入れ替わってしまいますんで。

当時、読売新聞の一番上に社員食堂があり、200円でうどんとご飯が食べることができました。それでお昼を満たす。寂しいランチですが、これで良いんです。
でも、どこかで自分の生活に安穏としつつある感が芽生えていたんです。
贅沢しなきゃ、お金がなくともなんとなく生きていけると。

そんなある日、東館(新聞社本体)前にある野崎公園に住み着くホームレスが何人かいるのを見かけました。
ブルーシートテントはいやでも目に入るのですが、中に住んでいる人を見たのは初めてでした。

当時、大阪の公園という公園にブルーシートで作られたテントがおびただしいほど存在し、そこにヒゲや髪の毛が伸び放題、着ている服はボロボロな格好をしたホームレスが公衆の視線など気にせず、しかも我もの顔で住み着いていました。

おそらくですが、当時はバブル崩壊後の余波もあり、もしかすると経営に失敗し、借金取りから追われている元経営者とかそういう人だったのかもしれません。
※2007年の世界陸上開催を機に、ピタッといなくなった気がします。最近、見かけないし、時々ホームレスを見かけると珍しいなぁと思うほどになりましたね。

ホームレスが住んでいたブルーシートテント

野崎公園には、子供が遊ぶ遊具がありますが、そこで遊ぶ子供などいません。ブルーシートで占拠されているので、そうそうに近寄れないんです。

そんなテントの中から人が出てきました。白髪で色白く、やせ細り、目付きの悪い、背の丸まった初老の男性。
よろよろと出てくると、水道口まで行って水を汲んでまた“我が家”に戻っていきました。

その姿を偶然見かけて、思わずぞっとしました。

このままぼやっとしていたら、自分がああなると。

バイトですから、いつ切られるか分かりません。
切られたら最後、生活が成り立ちません。夢どころの騒ぎじゃない。夢を諦めなきゃいけない。

200円のうどんで満足していた自分への戒めです。
こんなところで満足してちゃいけないんです。なぜなら夢の途中だから。

その日から、脳裏にそのホームレスの丸まった背中が焼き付き、バイトから帰ると無心で原稿作成のための準備をどんどんしていきました。

それからぱったりとそのホームレスの姿は見なくなりました。

偶然なのか、どこかの施設に引き取られたのか…おそらく、ホームレスの格好をした神で、私に某かのメッセージを与えていたのではないかと思っています。

安穏としている自分への戒め。
ですが、ポジティブに考えることも時に大切だなと思うこともあります(続く)

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