ボルボックス

小説書き。

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最近の記事

甘いものはつまむだけにしたまえ

甘いものをつまみながらだと、言い訳したくなる。 私は大概自分に甘い。 辛くした覚えがない。 通るべき道をすべてよけてきた。 他人に厳しい人を見ると私にその刃が向くんじゃないかとひやひやする。 そんなのだから今日もライターの選考に落ちた。 どうして。 どうしてではない。 ひどい出来の物を出したからだ。 でも、出さなければ落ちることもない。 私はえらい。 厳しく行きたい。 甘くなかったら、無糖だったら作家になることも早かったろうか。 毎度そんなことを考える。

    • 紅が似合う彼女

      高校時代、恥ずかしいと顔が赤くなる子がいた。 その子はとても美人で、同性受けするさっぱりとしたきれいさがあった。 漫画(とくに少女漫画)では照れたのを///で表現するように、うぶな頬に紅がのるのをうっとりと見つめていた。 周りはあかーいと言ってからかい、さらに首や耳に染め広がって、手で振り仰ぐことも珍しくなかった。 わたしは彼女をからかいたいわけでも、そばにいたいわけでもなく、日ごろ観察させてもらってる感謝をこめてきれいだと言いたかった。 本当に彼女は教室内でミュー

      • どあたまえっぐごりごり

         死んだら何もできないんだからって人質に取られて脅されてるみたい。冷蔵庫の中で玉ねぎが行方不明。さっき見つけた。もうハンバーグは腹の中。悲しかった。悲しくなかった。額が軋むたびに前頭葉を駆使して有意義な単語入れてるわって驕る。しょうもない羞恥がぶり返して美化された自分に同情する。ポリエチレンテレフタラートを踏みつけた。もしも部屋が沈んだらと思うと2リットル容器手放せない。ここは2階。生き死に関係なくしっかりいつも浮ついてるって言ったらピアノの椅子でどつくつもり。蛇口から湖出て

        • 桃とヒキガエル

          高額収入バイトの看板が立った。背景に描かれた蛍光ピンクの桃が砂埃で霞む。働く人はいない。島には職場がない。出稼ぎは頭にない。でかでかと赤い字で書かれた本土の電話番号は、先行きを不安に思う人を駆り立てている。本土から来たペット用の犬が看板にマーキングした。世話ができないので、放されたままになっている。母は私に自由にしなさいと言った。私は数年前、島の職員から一人の女性に「子供」としてプレゼントされた。ペットのようで、人形のような「子供」を与えられた母はとても喜んだ。名前をつけるよ

        甘いものはつまむだけにしたまえ

          急にフリフリが着たくなった話。

          姉に突然「かわいい系が多いやんな」と言われて驚いた。 そんなつもり全くなかったからだ。 どちらかと言えば、地味で無難な服を選ぶようになった(なってしまったぐらいに思っていた)。 姉の中でだけでフリフリ好きという認識がまだ生きているのだと思っていた。 けれど、母にも可愛すぎると指摘を受けるようになった。 高校ぐらいで足を出すなと言われて以来の衝撃。 見直したら確かに閲覧履歴はロリータっぽい服かアイドル衣装のようなものばかり。 家族の方が自分をよく知っていると言った

          急にフリフリが着たくなった話。

          いい子ちゃんアレルギー

          昨今、女性向けのコンテンツのメディアミックス化が以前よりも活発化してきている。 少女漫画はもちろんのこと、乙女ゲームやBLなど多種多様だ。 それぞれ論考も出され、設定や企画自体がさらに練り上げられていると感じる。 そんな中でよく思うのは、性格の良い(むしろ良すぎる)ヒロインがイケメンと恋に落ちる話はもう飽きたよ問題。 イケメンがどんな女の子に恋に落ちるか説得力を持たせるために用いられるのが「ずばぬけた性格の良さ」という設定が多いったらありゃしない。 気を引かせる理由

          いい子ちゃんアレルギー

          主張が弱いってホント?

          日本は同調主義だという言葉を目にすることが増えた。 集団で機械のように動く主張のない日本人。 本当にそうだろうか。 考えないようにされているだけじゃないのか。 そう考えていたら、まさにドンピシャな記事が出た。 韓国で行われている女性アイドルグループのメンバーを選抜するための公開オーデション番組『Girls Planet 999』通称ガルプラ。 韓国、中国、韓国の三か国から集められた大勢の少女たちがアイドルデビューを目指して奮闘するという内容だ。 記事の見出しにも

          主張が弱いってホント?

          なんもねぇな。

          なんもねぇなってカミナリのツッコミが頭の中で叫ぶ。 色々と文章×○○ってことを考えさせられることがあったのさ。 さっくり言うと文章を書いては、応募応募応募の毎日。(毎日は出してないが) 締め切りで心臓がちっちゃくなっているのもあるが、私には書くこと以外なんもまじでないことに気づいた。 アニメ、は全部見てるわけじゃあないし。むしろ選り好み激しい。 漫画、以下同文 テレビ、以下同文 本、以下同文 アイドル、以下同文 ゲーム、ほぼやらない。 食、ファストフードと

          なんもねぇな。

          情景描写練習

          木陰の線を男が一人出てくる。 おもむろにしゃがみ込み、鳩に手をさしのばした。 鳩は横を向く。目は合わないものだと心得たように男は立ち上がった。 横断歩道を待つ男に戻る。 日が照って白線が黄ばんで見える。もう少し暑くなれば陽炎が出てくる。 男はワイシャツのボタンをびっちりと閉め、実用的な青いリュックを上の方で背負っている。 薄い色のジーパンの足を片方伸ばし伸ばしして、長い信号を待っている。 凪いでいる。 ふいに横断歩道を渡ったところに男と全く同じ背格好の男が立っ

          情景描写練習

          もっともらしいってなに?

          話し言葉とか 情景とか 人物を動かすときに もっともらしさが要るらしい。 人物がどういう性格でどういう思考回路で動くか考えなきゃ。 リアリティを優先するか物語上でのもっともらしさを優先するか迷うね。 名作はリアリティばっかりかなって思うとそうでもない。 物語上のもっともらしさがあれば大丈夫。 ちょっと大げさなぐらいが面白いって言うと思う。 いい塩梅で作りたい。

          もっともらしいってなに?

          感性を甘やかすな

          感性って磨けど磨けど、秒速で鈍っていく。 自分の世界に容易に入ってくるものだけを取り込んでいてはだめ。 嫌いな物を並べて噛み潰すぐらいしなきゃ育たない苗木がいっぱいある。 かわいそうだけど、ぶたなきゃね。 自分の感性を信じなきゃ誰が信じてくれるっていうのか。 生産性がないとか言わせない。 そんなことしなくても、吸収していいんだよ、生きてもいい感性なんだよ。 触んな。 この感性は私だけのものだ。

          感性を甘やかすな

          不安で書けない、読めない

          何をしようにも楽しめないときってありませんか? 私は今まさにそれです。 楽しかったことが楽しくないフェーズに自ら飛び込んでしまいました。 小説を書こうとすると、○○や△△の劣化版(パクリ)になっていないかが気になって筆が進みません。 じゃあ、読書をしようじゃないかとなると、昔、自分の読んでいる本や読書スピードを笑われたことが頭をよぎって集中できません。 言い訳だと思って、責めてしまうと、悪循環に陥ります。 不安です。 何をしてもうまくいきません。 「わかんない

          不安で書けない、読めない

          き、の尖った方で刺す。も、の丸くなった方でどつく。

          き、も、 この二文字でかなりの打撃を受ける人、実は多い。 中学時代、変な声と言動で学年中のきもいというきもいを獲得した私が言うのだから間違いない。 中高生はきもいという言葉を何かのお飾りだと思っている節がある。 語感はかわいくても、容赦なく相手を刺すし、どつくのだ。 たまにおじさまおばさま連中に伝わらない意外な言葉第1位でもある。 若い子にとっては、かわいいの反対はきもいで、好きの反対は嫌いなのだ。 こう考えると、単純でなんだか可愛く思えてこないか。 それでも

          き、の尖った方で刺す。も、の丸くなった方でどつく。

          貝がこうぶつの小さき者

          学校で貝を発掘する会なるものを発足した。 裏庭の隅にある鉄棒1の横からサザエが取れたので、いろんなところを掘り出した。 大昔、学校があった場所は湖、いや、海だったのではないかと夢想する。 プール横の木が数本生えたところもクサイと見て、友人と手をつけはじめた。 その頃には鉄棒1の横は穴だらけになっていた。 プール横は小さな崖のようになっていて、子供にとっては危険な場所だった。 それでも小さな手は掘るのをやめない。 本来の目的を忘れて、ぴかぴかの石ころが土から出てく

          貝がこうぶつの小さき者

          文字に手渡し。いち。

          視覚で得られる物は大体何でも好きだ。 中でも絵画を見ると、血が沸騰しそうなぐらい興奮するときがある。 ご存知かも知れんが、特に好きなのは現代の作品である。(でも西洋の宗教画も好き。) 友人曰く、私の好きな絵はどれもメッセージ性が強いらしい。 そうだ、私はメッセージ性のある絵つまりは何かを伝えようとして鑑賞しているこちらに肉迫している絵が好きなのだ。 ただ、絵がうまいとか細かいとかとは違った作者の意図が目に入った瞬間に流れ込んでくる感覚がたまらなく好きだ。 限られた

          文字に手渡し。いち。

          書くことで気持ち良くなってはいけない。

          新人賞に応募し始めて今年で三年目。 最初こそ喜んだものの、大した成績を残せないでいる。 出すのをやめて、同人誌作る合間にネットで公開した方がいいのではないかと考え出した今日この頃。 それでも出すのは辞められず、すがりついている状態。(これを人は新人賞依存という。) 17歳で綿矢りさに感化され、新人賞に出すと三次選考まで残った。 私にしては、初めて出したにしては、快挙だと思った。 小説を書いてる友人に話すと、悔しい。羨ましい。すごい。と言われた。 すっかり気持ち良

          書くことで気持ち良くなってはいけない。