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【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】


【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】


 深夜のネオサイタマ郊外、大型トレーラーが荷台のゴミを降ろし去ってゆく。ここはコウライヤが秘密裏に所有する廃棄物最終処分場の一つ。コウライヤのあらゆる廃棄物……主にシャガイ級機密や公に対し秘匿すべき要素を含むものが集められ外部に漏れぬよう処理される地である。

 不意に雲が切れ、間から差した光が処理槽を照らした。月光に照らされるゴミ……トレーラーが下ろしていったそれは無数の人、否、ぴるすの死体であった。ドクロめいた月は眼下の光景に「インガオホー」と呟き、分厚い雲の中へと再び顔を隠した。

 積み重なるぴるす死体の山の中、死体に埋もれてそのぴるすはいた。死の静寂に包まれる中、彼だけは生きていた。集団脱走計画の失敗、そして粛清。彼は重傷を負いながらも死体達の中に隠れ、生き延びた。

 ……結局どこへ逃げることもできず、こうして死体と共に処分場へと送られてしまったが。

(死にたくないんですけお……)声にもならぬ声で呟く。このままでは死体と共に濃縮バンテリンで処理されて死ぬ。殺されていた方がマシな死に方だ。舌を噛み切ろうかとも考えたが決行する勇気はなかった。体に液体が触れる。死体から流れ出た血か、あるいは遂にバンテリン抽入が始まったか。

(死にたくないんですけお……)何故こんな目に……。(死にたくない……)アイツらのせいで……。(死にたくない……憎い……)アイツらさえ……。(憎い……)「憎い」(憎い……)「憎め」(憎い……)「憎め」(憎い……!)「憎め!」(憎い!)「憎しみこそが力となる!」

「憎い!」「ドーモ!ゼブブ・ニンジャです!」



「……我々はこのままコウライヤの支配を受け入れていいのか?否!我々は反抗すべきなんですけお!」「けおーっ!」「けおーっ!」ぴるす管理施設の一室でニンジャぴるす、プロモーターが熱弁する。収容室にはぴるす騒音対策が入念にされており、この騒ぎが管理者たちに伝わることはない。

「私が諸君を導くんですけお!」「けおーっ!」「けおーっ!」「けおーっ!」「ピルスワールドオダー!」「けおーっ!」「けおーっ!」「ケオーッ!?」その時、一人のぴるすが不意に悲鳴を上げた。プロモーターは感極まった悲鳴だと思いかけた。

「ケオーッ!?」「ケオーッ!?」「ケオーッ!?」悲鳴が広がる。いつの間にか、黒い靄が部屋に漂い、ぴるす達を包み始めていた。否、これは靄ではない。不快な羽音を立てて飛ぶそれは……無数の蠅。

「なんなんですけお!虫ケラ!」プロモーターは蠅の群れを手で払う。腕の一振りで十数匹の蠅が死んだ。しかし、それ以上の勢いで蠅密度は増し続ける。もはや1メートル先も見通せぬほどに。

「これは……なんなんですけお……ケオッ!?」茫然とするプロモーターを激痛が襲った。彼が慌てて見ると、その腕は蠢く黒に埋め尽くされていた。……蠅の群れに!「ケオーッ!?何が……何が起きて……!?」プロモーターは慌てて蠅を払う!

 払われた蠅が息絶えて床に落ちた。その瞬間には既に新たな蠅がプロモーターの腕に飛来し食らいついている。「ケオーッ!?」もはや腕だけではない。足、首、顔、剥き出しの肌を。次第に装束の中まで。蠅の群れが食い荒らし始める。「たっ……助け」彼の悲鳴は羽音に掻き消され、その姿は蠅群の中に霞んで消えた。

 ……やがて蠅の群れは四方六方に去り、ぴるすの痕跡すら存在しない無人の部屋だけが残った。



『ケオオオオオオ!?霞!黒い霞が!ケオ』……最終処理場を担当するニンジャぴるす、パージャーとプレスクライブが遺した最後の通信。救援が駆け付けた時、最終処理場は既にもぬけの殻であった。

 2人も、処理槽の死体も全てが痕跡ひとつ残さず消え去っていた。監視カメラの映像には黒い靄が施設内を一瞬の内に埋め尽くし、やがて霧消する様が残されていた。

 そして今、コウライヤが抱えるもう一つのインシデント。それはぴるす失踪問題。コウライ・カブキコーポレーション所有のぴるす管理施設から一夜のうちに全ぴるすが消え失せた事件を皮切りに、多数のぴるす失踪が発生。コウライヤのニンジャぴるすにも行方不明者が数名……おそらくは既に死んでいるだろう。

 ぴるす管理施設の監視カメラが残した最期の映像。それは。「……黒い靄」最終処分場と全く同じだ。この二つの案件は分かつべきではない。間違いなく同一のインシデントだ。何者かがぴるすに対し攻撃を仕掛けている……!

 カブキニストはアグラを続ける。セイシンテキを研ぎ澄ます。彼が今いる建物はニンジャぴるす教育施設。生み出された、捕獲された、或いは自主的にカブキの門を叩いたニンジャぴるすが最初に集められる場所だ。ここでカブキコードがニューロンに刻まれ、カブキトレーニングを経てコウライヤ正式所属のニンジャぴるすとなる。……そして、ここがおそらくは次の事件現場である。

 コウライヤは既に事件発生地点のある法則に気付いている。事件の進行ルートを順番に結ぶことで浮かび上がる一本の線、それとちょうど重なる物が調査の中で見つかった。ネオサイタマ地下水路、中でも本流とも呼べる大きな物が事件現場を繋いだ線の真下に存在していたのだ。この水路を順番に辿っていった時、次に水路と重なるぴるす管理系施設はここしかない。

 現在、この建物にはカブキニストと10人のニンジャぴるすしかおらず、カブキアクターや用務員そして他のニンジャぴるす達は既に別所へと退去済みである。残された10人のニンジャぴるす達、彼らは餌だ。カブキトレーニングをまだ終えぬ新人達の中から無作為に選ばれ、犯人を釣るために残された。彼らは何も知らぬままトレーニングルームで自由待機しているだろう。

 ……そして、遂にその時が訪れた。「ケオーッ!?」叫び声が施設内に響き渡る!ニンジャぴるすの悲鳴だ!「……来たか!イヨーッ!」カブキニストはアグラ姿勢から跳び上がり、ロッポー跳躍で駆け出す!



「サヨナラ!」頭部のほぼ半分を失ったプリンキペスが膝から倒れ爆発四散する。「……サヨナラ!」蠅に纏わり付かれ黒い塊となって床で痙攣していたピルスプリオルも後を追うように爆発四散した。残った肉片に蠅が集り、痕跡すら残さず瞬く間に全てを食べ尽くした。

 このトレーニングルームのカブキステージ上には当初ニンジャぴるすが10人いた。最初になす術なく蠅群に飲まれた5人はもはや生きてはおるまい。そして今2人が爆発四散、蠅群に対し彼らの古代ローマカラテは不利であった。……残るは自分を含め3人。赤鎧姿のニンジャぴるす、ペンドラゴンは周囲を見渡す。

「ケオーッ!」紫色装束のニンジャぴるすが腕を振ると、一帯の蠅が息絶え落ちる。ドク・ジツか。灰色のローブを纏ったニンジャぴるすは膝立ちで祈り、彼の周りに生じた超常の光と熱のバリアが蠅を寄せ付けない。(状況はそう悪くはないんですけお……?)ペンドラゴンは炎を吐きながら考える。

 空中では竜の形に燃え盛る炎が舞い、蠅を焼き殺す。特殊なカトン。ペンドラゴンのジツだ。(奇怪かつ危険とはいえ、所詮は蠅……このまま耐えきれるんですけお……?)彼が戦況を見極めながら追加のカトンを出そうとしたその時、蠅群が急にニンジャぴるす達への突撃を止めた。

 不利を悟り襲うことを諦めて逃げ出そうというのだろうか。……違う。蠅達は1ヶ所へと集合し始めていた。ハナミチと呼ばれるカブキ・ランウェイ、その上に忽然と現れた男の元へ。

「あァ?抵抗してるんですけお?チッ……メンドクセェ……」黒の襤褸切れを纏い、下顎骨めいたメンポを付けたぴるすは両手を合わせオジギした。「……アー、ドーモ皆さん。ポリューションです」そのぴるすもまた、ニンジャぴるすであった。

 アイサツには応じねばならぬ。勧進帳にも記された神聖不可侵のニンジャの掟である。3人のニンジャぴるすがオジギを返し、アイサツした。「ドーモ、ポリューション=サン、ペンドラゴンです」「ポイズンレインです」「ペニテンスです」

 ポリューションの放つアトモスフィアはモンドムヨーの殺意を示しており、ニンジャぴるす達は話し合う余地がないことを瞬間的に理解した。アイサツ終了後、0コンマ5秒で各々がイクサの姿勢をとる!「ケオーッ!」ペンドラゴンが炎の竜を吐き出し、竜はポリューション目がけ飛び掛かる!「ケオーッ!」ポリューションが右腕を差し出すと超常の蠅が無数に湧き出す!

 炎の竜と蠅群が空中でぶつかり合う!蠅が焼かれて落ちてゆく一方、炎の竜もまた蠅を燃やすたび衰え縮んでゆく!……明らかに蠅の勢いが今までとは違う!「ケオアバーッ!」ドク・ジツがついに蠅の勢いに負け、ポイズンレインの姿が蠅群の中に消えた!

「おお……!カブキの神よ……!どうか……どうかお守りくだち……!」ペニテンスは祈り続けるが、周囲の光球直径は目に見えて縮小している!「ケオーッ!ケオーッ!」ペンドラゴンは2体の炎の竜を連続して吐く!1体を自身の周辺で旋回させ防衛させつつ、もう1体をポリューションへと飛ばした!

「ハハァーッ!効かねェんですけお!」ポリューションの手元で蠅群が凝集し、黒いヤリめいた形を取る!そして投げ槍めいてそれを投じた!「ケオーッ!」蠅槍が炎の竜を貫き、勢いそのままにペンドラゴンの元へ飛ぶ!燃える様子はなし!「ヌウーッ……!?」避けようとするペンドラゴンを蠅群が色濃く囲み、二重三重のドームを形成して彼を中に閉じ込めた!「イヨーッ!」流動する蠅の波は破壊不能!回避不可能!

 蠅槍が蠅ドームごとペンドラゴンを貫く……その寸前。「イヨーッ!」突如カブキステージの床が開き、ナラクから射出装置めいた勢いで一人のカブキアクターが飛び出した!「イヨーッ!」勢いのまま蠅槍を破壊しポリューションへトビゲリを繰り出す!「ケオーッ!?」吹き飛ぶポリューションを蠅群がクッションめいて受け止める!トビゲリ反動で回転しながら後方に着地し、カブキアクターは手を合わせオジギした。

「ドーモ、カブキニストです」

「ケオーッ……ドーモ、カブキニスト=サン。ポリューションです。オレはカブキアクターなんかに用は無いんですけお!引っ込んでてくだちィーッ!」蠅槍がカブキニストへ飛来する!「イヨーッ!」カブキニストの拳が蠅槍を弾く!カブキだ!「君の用など知ったことではないし、私は君に用があるのだよ。コウライヤの所有ぴるすに手を出されては困るのだ」

「ケオーッ!」超常の蠅が密集し、空中のあちこちで小型球体を形成した!カブキニストに向かい蠅球体が四方から高速飛来!それはさながら蠅で作られた無数の弾丸による銃殺刑である!「イヨッイヨッイヨッイヨーッ!」カブキニストは蠅弾丸を弾く!弾く!弾く弾く弾く!

 そして!「イヨォーッ!」カブキニストは強く地面を踏み締め跳躍した!暗黒カブキ奥義、トビ・ロッポー!「AAAAAAAARGH!!!」ポリューションは叫び、全身から滝のように超常の蠅群を放出!トビ・ロッポーと蠅の濁流がハナミチの上でせめぎ合う!

 カブキに曝された蠅が即死し無数の死骸がハナミチへと降り積もる!だが同時に絶え間なくポリューションから溢れ出す蠅が即座に飛来!蠅の波に押されてカブキニストの勢いが次第に弱まり、トビ・ロッポー速度が低下する!

「ハハハハァ!死んでくだちィィーッ!」ダメ押しとばかりに蠅波の速度、密度が上がり、そして……ついにトビ・ロッポーが完全に停止した!「カブキアクター恐るるに足らず!ケオーッ!」蠅密度が更に上昇し、蠅の波はもはや漆黒の流れと化す。物量によって蠅はカブキニストの纏うカブキを破り、その肌へと食らい付く。

 ……蠅の濁流に飲まれながら、カブキニストはカブキを燃やし、強くもう一歩を踏み込んだ。「イィィィ…ヨォォォォーッ!」おお……コウライヤ!その体が再び加速し、蠅を押し返す!止まったエンジンをキックスタートさせるが如く、トビ・ロッポーを無理矢理に再始動させたのだ!ただでさえ消耗の激しい暗黒カブキ奥義を力業によって!

「クソッ!クソッ!クソッ!なんなんですけおォーッ!?」蠅の濁流がトビ・ロッポーに押し返され、遂に……波が割れた!「イヨォォォ―ッ!」「ケオアバーッ!」ポリューションは激しく吹き飛び、蠅のクッションを何枚も突き破ってハナミチを転がる!

「アバッ……!クソッ……クソが……!」「イヨーッ!」「ケオーッ!?」カブキニストがポリューションの首を掴み、その体を持ち上げる。「話してもらおうか。君は何が目的だったのかね?この殺戮で何を得ようとしていた」「アバッ……目的ィ……?」ポリューションは苦悶しながら怒りの表情を浮かべた。「憎いから、ムカつくから殺す、それだけなんですけお……!」「憎いだと……?何故ぴるすである君が同族を憎む」

「せっかくアイツらの逃走計画をリークして・・・・・・・・・・その陰で逃げ出したってのに……アイツらの不手際に、失敗に巻き込まれてオレまでもクソみてぇに死にかけて……そうやってオレが苦しんでる時も他のクソぴるす共は家畜としてのうのうと生きてた……!ムカつくし許せねぇんですけおォーッ!」

「イヨーッ!」「ケオアバーッ!……やめてくだち!オレはアンタらの敵じゃない!同じぴるすを殺す者なんですけお!」「一緒にするな。私はぴるすを殺す者ではない、ぴるすを管理する者だ」カブキニストが鋭い眼光を向ける。「だから、お前の事も管理する。殺処分だ」

「クソックソーッ!死にたくねぇ!死にたくねぇんですけお!」ポリューションが踠く。「ハァーッ……」カブキニストが拳を構える。「イヨォーッ!」鋭いカブキ・パンチがポリューションの顔面を砕いた。「ケオアバーッ!」

「サヨナラ!」ポリューションが爆発四散し、蠅の群れは逃げるように散り散りに飛び去った。「ポリューション、お前は私が今まで見たぴるすの中でも最低のぴるすであったよ」

 カブキニストはハナミチからステージへ振り返る。蠅の死骸が山のように積もるステージには、2人のニンジャぴるすが残っていた。まさか生き残りが出るとは、思わぬ収穫だ。カブキニストは医療班へIRC通信を入れ、彼らの元へ歩き出した。



 地下水路を一人のぴるすが歩く。彼はぴるす管理施設から逃走に成功し無事に生き延びることができた運のいい野良ぴるすだ。行く当てもない彼は各地をさ迷い、やがてこの地に住み着いた。

 ここは決して安全とは言えない。不意の濁流が襲ったり危険な薬品汚染水が流れ込んだり、どこからか流れ着いたバイオ動物に襲われたりと危険は数多く存在する。ゾンビーやニンジャ集団に襲われたという話までもあるぐらいだ。だが、ここには彼を縛るものは何一つない。それが何よりも素晴らしかった。

「けお?」ふと、水路のゴミ避け格子に引っかかる巨体が目に入る。白いワニの死体だ。ここでは早々食べられぬご馳走である。ぴるすは喜び駆け寄った。蠅が周囲を飛び回り、少し傷んでいるようだったが加熱すれば問題あるまい。ぴるすはワニの死体へと手を伸ばした。

 ウォウウウウ!その瞬間、唸るような羽音を立てワニの腹から無数の蠅が飛び出した。「ケオーッ!?」腰を抜かし倒れたぴるすに蠅群が纏わり付く。「ケオーッ!?」耳から、鼻から、口から、蠅がぴるすの体内へと侵入する。

「ケオオオオーッ!?ケオーッ!ケオ……!ケ……ア……アア……ア、アア……アーアー……ンンッ」蠅が彼の中に全て入り終えた時、そこに存在するのは襤褸切れの装束を纏い下顎骨のメンポを付けたニンジャぴるすであった。

「アー……カブキアクター、カブキニスト……マジでメンドクセェんですけお」首をコキコキと鳴らしながらひとり呟く。「関わらない方が正解かァ……ハァ……もっと適当に殺して生きたいんですけお……」そう呟くと、彼は水路の奥へと消えた。



【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】終



カブキ名鑑

◆歌◆カブキ名鑑#40【ペンドラゴン】◆舞◆
コウライヤのニンジャぴるす。西洋甲冑を纏い、赤き竜の紋章が描かれたマントを羽織る。彼が吐き出す特殊なカトン・ジツは竜の形を取り、空中を自由自在に飛び回る。

◆歌◆カブキ名鑑#41【ペニテンス】◆舞◆
コウライヤのニンジャぴるす。ニンジャ化の際に己の愚かさを悟り自らコウライヤへと下った。自身を中心に神聖なる光球のバリアを発生させ、身を守る。

◆歌◆カブキ名鑑#42【ポイズンレイン】◆舞◆
コウライヤのニンジャぴるす。その腕には常に毒液が滴り、手によるカラテを優位に進める。腕を高速で振ることで毒液の弾丸をシャワーめいて放つドクサメ・ジツの使い手。

◆歌◆カブキ名鑑#43【プリンキペス】◆舞◆
コウライヤのニンジャぴるす。危険な古代ローマカラテを習得している。ピルスプリオルのメンターであり、彼とともに更なる鍛練を続けていた。

◆歌◆カブキ名鑑#44【ピルスプリオル】◆舞◆
コウライヤのニンジャぴるす。危険な古代ローマカラテを習得している。古代ローマカラテ修行をひとまず終え、これから実戦経験を積もうと言う時にポリューションの襲撃が発生した。

◆歌◆カブキ名鑑#45【ポリューション】◆舞◆
超常の蠅の群れを産み出し操るジツ、サバエ・ジツの使い手。超常の蠅は肉を貪りその数を増やしてゆく。地下水道に潜み、蠅の群れとなってわずかな隙間も通り抜けて現れ、ぴるすを殺す。

◆歌◆カブキ名鑑#46【ゼブブ・ニンジャ】◆舞◆
超常の蠅を支配するリアルニンジャ。本来は別の名を持つ高潔で高貴な存在であったが、何らかの理由からカツ・ワンソーの不興を買い、屈辱的な名を与えられ追放されたという。

◆歌◆カブキ名鑑#47【プロモーター】◆舞◆
無所属のニンジャぴるす。ぴるす管理施設から集団脱走を引き起こそうとした矢先に蠅群に襲われて死んだ。スレッド連載版では文字数削減の関係で出番が丸々カットされてしまっていた。

◆歌◆カブキ名鑑#48【パージャー】◆舞◆
コウライヤ秘匿の最終処分場管理を担当するニンジャぴるす。両手に持った2本のマチェーテで相手を微塵に斬り分ける。

◆歌◆カブキ名鑑#49【プレスクライブ】◆舞◆
コウライヤ秘匿の最終処分場管理を担当するニンジャぴるす。薬学の知識に優れ、薬液の取り扱いを得意とする。



K-FILES

ネオサイタマでぴるす失踪事件が相次いでいた。密室であろうと何人であろうとも一瞬の内にぴるすが消失する怪奇事件を前に、事件の法則性を見抜いたカブキニストはニンジャぴるすを撒き餌に下手人を誘い出す。時系列はシュウメイ前、カブキニストの時代の一幕である。


主な登場ニンジャ

ポリューション / Pollution:管理施設からの脱走に失敗し瀕死の重症を負ったぴるすに強大な神話級ニンジャ、ゼブブ・ニンジャのソウルが憑依。死の淵から蘇った彼は身勝手な逆恨みからぴるすの殺戮を開始した。超常の蠅を産み出し使役する「サバエ・ジツ(五月蠅術)」の使い手であり、産み出した蠅は肉を餌に超自然的に増殖してゆく。また己の体を短時間蠅の群れへと変化させるハエ・ブンシン・ジツや蠅の群れを凝集させヤリや弾丸めいて変質させる力の他、奥の手として肉体を捨てて蠅に意識を移し己の死を偽装することも可能。(本来であればその後新たな肉体を一から作り直す必要があるが、ぴるす間の肉体的親和性が他ぴるすへの憑依・乗っ取りを可能とさせている。)

ゼブブ・ニンジャ / Zebub Ninja:神話級のリアルニンジャ。本来は霞を纏い戦う高貴な麗しきニンジャであり別のカイデン・ネームを持っていたが、いかなる理由によってかヌンジャの不興を買ってしまいゼブブ・ニンジャという呪いの名を与えられ忌まわしき地へと追放されたという。そして忌まわしき地にて憎悪と狂気に突き動かされた彼がおぞましき修行の果てに編み出したのがサバエ・ジツである。

ペンドラゴン / Pendragon:コウライヤのニンジャぴるす。ズライグ・ニンジャクランの高位ソウル憑依者であり、燃え盛る赤き炎の竜を吐き出し操る特殊なカトン・ジツの使い手。当エピソード中ではコウライヤ仮所属段階の未熟なニンジャぴるすである。

 彼のニンジャネームや、ポリューションとゼブブ・ニンジャの「ベルゼブブを元とした、蠅を使役するニンジャ」という要素は後に原作で登場したニンジャと後天的に被ることとなったが、「パ行ネームが既出のニンジャと被っていた」場合と異なり仕方のない事なので多様性として特に変更はしない。

ペニテンス / Penitence:コウライヤのニンジャぴるす。ヘイロー・ニンジャクランのグレーターソウル憑依者。自身を中心にバリア光球を展開し己や仲間を守る他、聖なる光を攻撃に転用することも出来る。ペンドラゴン同様当エピソード内ではまだ未熟なニンジャぴるすである。

ポイズンレイン / Poison Rain:コウライヤのニンジャぴるす。ドク・ジツの使い手であり、両腕から常に滴り落ちる毒液を近接カラテに使うのみならず腕を振り回すことで広範囲にまで散布する。サルファリック直属の部隊に配属される予定であった。

プリンキペス / Prīncipes
ピルスプリオル / Pilus Prior:
コウライヤのニンジャぴるす。古代ローマカラテ使いの師弟でありプリンキペスが師、ピルスプリオルが弟子である。プリンキペスは本来捨てゴマめいた餌に使われるような地位と実力ではなかったが、ピルスプリオルが作戦に登用されることを知り自ら付き添いを志願した。

ポンドスケーター / Pond Skater
プルースト / Proust
ペデルス / Paederus
ピルバグ / Pillbug
パンクレイション / Pancration:
作中では「最初になす術なく蠅群に飲まれた5人はもはや生きてはおるまい。」という一文で処理され、名鑑にも記載されていないコウライヤ仮所属のニンジャぴるす達。ポンドスケーターは水上での戦闘を得意とし、プルーストは香りを用いたジツを持ち、ペデルスはドク・ジツを使い、ピルバグは防御球体へ変形する鎧を纏い、パンクレイションはパンクラチオン・ドーの使い手であったようた。


メモ

ぴるすを味方や信念ある敵として描きすぎた気がしたため、心機一転心底下衆で邪悪なぴるすを作ろう!というのがこのエピソードの開始点である。考えてみると(クソコテとしてではなくスクリプト内で殺される存在としての)ぴるすはだいたい単なる被害者か愚か者かその両方かでありそんなに悪さをしてないパターンが多いかもしれない。実際見返してみると僕の書いたスクリプトではなんとなく殺される・思い付きで殺される・ついでに殺されるといった死因が10割を占めていた。だから逆にポリューションは新鮮な気持ちで書くことができて楽しかった。彼のキャラクター性は察しの通り原作のデスドレインを参考としている部分が大きいが、狂気や悪のカリスマ性といった部分は大幅に削減されている。

エピソード最後で示されたようにポリューションはまだ生存している。また、ペンドラゴン・ペニテンスの両名も今回を生き延びた。この3者が再び登場するエピソードもあるので、次の機会を楽しみにしていて欲しい。


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