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【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】


【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】


 イチカワ・ソメゴロ……元マツモト・キンタロは空を見ていた。ウシミツ・アワーの近付く夜空には珍しく重金属酸性雨を降らせる雲も無く、ドクロめいた月が廃テンプルの上で輝いている。

 現実味のない浮遊感に包まれながら、ソメゴロは己が放り出された窓を見た。廃テンプルの5階、割れた窓が遠ざかってゆく。ソメゴロの体は今、空中にあった。

 ニューロンが加速し世界が鈍化する中、それでも次第にソメゴロの落下速度は増してゆく。背後には地面が迫っているのだろう。モータルであるソメゴロにそれを確認する時間はなかった。

 残された一瞬、加速したニューロンの内でソーマト・リコール現象が始まる。カブキの中に産まれ、カブキの中で育った人生。祖父や父、家族の顔。今までこなした数々のミッション。そして、此度のミッション。



 IRC端末に通知が入ったのはもはや日も変わろうとしている時であった。ソメゴロはカブキトレーニングを中断し額の汗を拭うと、手首のハンドヘルドUNIXを操作しメッセージを確認する。

『〈ぴるす案件〉郊外の廃テンプルにて野良ぴるす群の目撃情報あり。速やかなる確認と、場合によっては殲滅を』

 それはコウライヤ事務部門からマツモト家に送信された、果たすべきぴるす案件業務の通達であった。

 通常であればこの手の業務は父であるコウシロ、或いは祖父のハクオウが内容を精査し送り込む人材を決めていた。だが、今ここに二人はいない。ミッションを任せられる高位カブキアクターもニンジャぴるすも、直属配下であるパニッシャーすらも出払っている。ぴるす正教会の暗躍、それに伴うぴるす案件やその疑いの多発。コウライヤのマンパワーが足りていないのだ。

(ニンジャぴるすの情報もなし……。ならば、この程度の案件僕一人でも十分に対処可能だろう。二人に代わり少しでも負担を減らさねば)ソメゴロはパーソナルカブキトレーニングルームを離れ、カブキ装束へと着替え始めた。


 ……ソーマト・リコールが速度を増し、場所が変わる。


 ネオサイタマ郊外。半ば自然に呑み込まれた、もはや管理する者も居ないのであろうその地に廃テンプルは存在していた。ソメゴロはIRC携帯端末を操作し位置情報を確認する。ここが寄せられた目撃情報の地点で間違いない。

 ソメゴロは目を閉じた。息を吸う。息を吐く。息を吸う。息を吐く。瞼の裏にブッダ像を描く。一分の狂いもない秩序めいた像。己もかくあるべし。カブキ・ショウの前、そして任務の前に彼はこうしてマインドセットを行っていた。意を決しソメゴロは廃テンプルの扉を押し開けた。

 廃テンプル内部。打ち捨てられたブッダデーモン像。無数のぴるす。何者かに祈りを捧げるぴるす達を修験者めいた金剛杖が打ち据える。悲鳴を上げ逃げ惑うぴるすを追い、屠る。次のぴるすへ走り、狩る。廃テンプルをぴるすの血と悲鳴が染めた。

 ニンジャぴるすならいざ知らず、モータルにも劣るぴるすなどいくら集まろうともカブキアクターの前には無力である。金剛杖が振り下ろされる度にぴるすが死に、キックが繰り出される度にぴるすが死に、ソメゴロの駆け抜けた後に血の霧が残る。

 瞬く間にぴるす群を狩り尽くし最後の1体に金剛杖を振り下ろしたその時、背後で不意に扉が開き新たな影が廃テンプルへと侵入した。それは汚れた僧衣を纏うぴるす。何らかの理由で外に出ていた者が戻ったか。

「けおおお……」そのぴるすは怯え、震えていた。ぴるすの背後には彼が今入ってきた扉。逃げられる前に速やかに殺さねば面倒なことになり得る。「イヨーッ!」ソメゴロはぴるす死体から金剛杖を引き戻し、始末すべく駆ける。

 ぴるすは逃げようとはしなかった。怯えながらボソボソと何かのモージョーを唱えている。……発狂したか。関係ない、一刻も早く殺すべし。「イヨーッ!」ソメゴロが金剛杖を振り上げ跳ぶ。その瞬間、「ケオーッ!」ぴるすはソメゴロへとボーを横薙ぎに振った。

 瞬間、ソメゴロは異様なアトモスフィアに気付いた。だが遅い。もはや回避できぬ。振り上げた金剛杖を咄嗟に手元へ戻す。「グワーッ!」ボーは金剛杖を容易く折り、そのままソメゴロの右腕をしたたかに打ち付けた。カラテ衝撃でソメゴロの体は吹き飛ばされ壁に激突する。

 そのぴるすはニンジャであった。



「ハァーッ……ハァーッ……」右腕をだらんと下げながら、ソメゴロは4階部屋と書かれたフスマを左手で開けた。部屋の中にはザブトン、朽ちたブッダ像、割れたガラス、奇怪な魔法陣、砕かれた鏡、辺り一面に貼られた札。何らかの狂気を感じさせる物はあれど役立つ物も潜む物陰も無し。

「クソッ……」踵を返し階段を上る。ここまで各階の部屋を確認したがどこも大差はなかった。5階への階段を駆け上がる。各階に部屋は一つずつ。そしてこのテンプルは外観からすると5階建て。つまり……泣いても笑っても次が最後。階段を上り切り、ソメゴロは部屋に飛び込んだ。

 祈るように部屋を見渡す。ザブトン、朽ちたブッダ像、奇怪な魔法陣……「ブッダ……!」この部屋も同じだ。役立つ物も場所もない……!ソメゴロは窓へ駆け寄り地面を見た。テンプルの5階がビル5階とほとんど等しいとすれば、地上からはおよそ40フィート。ここから飛び降りるか……?

 ……無理だ。カブキアクターといえどこの高さからの生身での落下はあまりに致命的だ。もし死ななかったとしても大ケガは免れないだろう。ニンジャに追われている今、逃げられなくなればどの路そこで終わりだ。

 ならばどうする、踵を返し階段に向かうか?「逃げないでくだちカブキアクター……!我が聖なるカラテ、聖なるボーで二倍の救済なんですけお……」階下からの声。奴を避け階段を降りるというのか?……無理がある。

 どうする……どうすればいい。自問自答を繰り返す。抵抗し隙を作るのはどうか。抵抗する?金剛杖を失い右腕も使い物にならぬ今、未だベンケ役を任されたことも無いこのモータルの身でニンジャのぴるすを相手に?……無理に決まっている。無駄死にだ。

 「ネズミ袋……」ソメゴロは自身が完全に追い詰められた事を理解する。どこで手を間違えた……?己の行動を省みても答えは出ない。……実際彼は何一つ選択を誤ってなどいない。ニンジャぴるすが急に現れ外への出口はその背後。他に取れる手段など何もない……最初から詰んでいたのだ。

 間違えたとすればそれは……。ソメゴロは頭を振り余計な思考を払った。そんなことを考えている場合ではない。己は今命の危機に瀕しており、ここから決死の判断をせねばならないのだ。命を懸けた選択を。

 やはり窓から跳ぶか?幸運にも上手く着地できればあるいは助かるかもしれぬ。意を決して階段を降りるか?運良く奴の意表を突ければ逃げ切れるか。それともヤバレカバレで抵抗して隙を作る?奇跡的に奴が怯むかも……しかし……。

 「迷うな……!時間はないんだぞ……!」自分に言い聞かせる。だが、それでも一向に考えは纏まらぬ。悩む時間など無いと頭でわかっていても、早く決断しなければと思っても、この判断で己の生死が決まると思うと結論を出せぬ。「どうしたら……どうすればいい……!?」

 「どうすれ……グワーッ!?」不意にソメゴロの体に強い痛みが走り、迷走する彼の思考を止めさせた。衝撃で体が宙を舞い、そのまま窓を突き破り外へと放り出される。……ニンジャぴるすは既に5階の部屋へ到着していた。ソメゴロは答えを出せずに迷走し、決断できぬままタイムリミットを迎えたのだ。

 部屋の中、ボーが空中でバトントワリングめいて高速回転している。(奴はボーを投擲して……僕はそれに当たったのか……)半ば他人事のように分析する。体が廃テンプルから離れ、5階の高さを自然落下し始めた。

 ソメゴロは空を見た。



「……」滲んでいた視界がぼんやりと戻る。ソメゴロは土の上に仰向けに倒れていた。当たり所が良かったのであろう、彼は即死してはいなかった。だがそれももう時間の問題か。ソメゴロは手を動かそうとした。動かない。体に痛みはない。だが何故だろうか……とても寒い。体が動くのであれば震えていただろう。

 ドクロめいた月明かりの下、廃テンプルの屋根に父と祖父の姿が見えた。いや、二人がここにいるはずがない。……幻覚か。(二人は何を……僕に言いたいんだろう……)もはや声も出なかった。呼吸が弱まる。視界が霞み、ソーマト・リコールが再び最初から始まる。

 幼き日の記憶。舞台のナラクから見上げた父の、白く長い髪。あれはカブキの演目だった。ライオンは我が子をヴァレイ・オブ・センジンに落とし、這い上がった者のみを育てるという。(父さんも……上がってこいって言ってるのかな……)

(でも……もう体が動かないんだ……寒い……)ソメゴロはゆっくりと瞼を閉じた。視覚情報がなくなり、ソーマト・リコールが加速する。消える間際のロウソクが激しく燃え上がるように。家族の姿。友人の姿。コウライヤ。カブキ。記憶が高速で再生され、現在に追い付いてはまた最初へと戻る。

 家族の姿。友人の姿。コウライヤ。カブキ。ソーマト・リコールが無限にループする。家族の姿。友人の姿。コウライヤ。カブキ。ニューロンの速度で己の人生が繰り返される。家族の姿。友人の姿。コウライヤ。カブキ。家族の姿。友人の姿。コウライヤ。カブキ。家族の……「ドーモ、はじめまして」

 不意に、聞き慣れぬ声が記憶に混ざった。(誰……?)ソメゴロは思わず聞き返した。やはり声は出なかった。「私が誰か、そんな事はどうでも良いのです。もう私はアナタなのだから」ゴーン……ゴーン……遠くで鐘の音が聞こえる。ウシミツ・アワーを告げる声が。

「さあ、目を開けなさい若きカブキアクターよ!カラダニキヲツケテネ!」知らぬ声が遠くへと去る……否、違う。すぐ側だ。声は溶けて消えてゆく。ソメゴロのニューロンの中に……体の中に!


 ソメゴロは目を見開く!


 消えかけていた意識が戻り、苛むような体の冷えが消えて体に感覚が戻る!「イヨーッ!」跳び起き、己の体を確かめた。折れていた右腕も、地面に落下したダメージも既に消え去っていた。自分の身に一体何が起きたのか?何も分からない。だが……分かる!

「イヨーッ!」ソメゴロは大地を強く蹴り、色付きの風となって廃テンプルへ跳んだ!「イヨーッ!」KABUKRAAAAASH!扉をトビゲリ破壊しそのままテンプル内へと転がり込む!ぴるす死体が転がる中、僧衣のニンジャぴるすはそこに居た!

「ケオーッ!?ジゴクから戻った……!?そしてそのソウル……!嗚呼!やはりカブキの使徒なんですけお!」「そう、僕はコウライヤの使者として君達を滅ぼしに来ました」「コウライヤ!不吉な名!ドーモ、パラノイアです!」

 ソメゴロは己の胸の前で手を合わせ、そしてオジギを返した。「ドーモ、パラノイア=サン。此度のミッションで己の未熟を再確認させられました。私はノーヴィスです!」顔を上げると、いつの間にかその口元には木彫りめいたメンポが装着されていた。……彼は今やニンジャとなっていた。

「カブキ使徒は死をもたらし自らもその呪いで死ぬ!これは救済なんですけお!我が聖なる力で成仏してくだち!ケオーッ!」パラノイアはボーを腰に構え突撃する!以前のソメゴロならばキリタンポめいて貫かれ無惨に死んでいただろう。だが、見える!「イヨーッ!」ノーヴィスはボーをいなしそのままイポン背負いめいてパラノイアを投げ飛ばす!

「ケオーッ!」パラノイアは空中で猫めいて姿勢を制御し着地、侮れぬ。「聖なるボーの救済を受けてくだち!」そしてタタミ10枚ほども離れた位置からボーを構える。到底当たるはずのない距離……だが!ニンジャ第六感が警告する!「イヨーッ!」ノーヴィスは咄嗟に跳躍!

 「ケオーッ!」その瞬間ノーヴィスの足の下を衝撃波が駆け抜け、背後で柱が砕ける!「……!」跳躍回避していなければ砕けていたのはノーヴィスであっただろう。これはいかなるジツか、あるいはボーに秘密があるのか?……否、彼にもボーにも特殊な力など無い。ただ単純にボーを振った風圧が破壊力を持った衝撃波として飛び……そして柱を破壊したのだ!恐るべきはそのニンジャ膂力!

「イヨーッ!」ノーヴィスのトビゲリ!「ケオーッ!」パラノイアはボーで打ち返す!カラテが相殺され、ノーヴィスは反作用を利用し上へ跳ぶ!そしてそのまま高速で縦回転し……「イヨーッ!」回転と重力加速を加えた恐るべきカカト落としを叩き込んだ!

 だが!「ケオーッ!」パラノイアのクロスガードが重く鋭い一撃を正面から受け止め弾く!並みのニンジャぴるすであればガードの上から潰されていたであろう。だが凄まじきニンジャ膂力がそれを可能としている!

(武器無き身では決定打に欠けるか……!)ノーヴィスは回避しながら、時に反撃を加えながら思考する。パラノイアの恐るべき膂力は守りを堅牢にし、そして万が一攻撃が掠りでもすればそれだけで致命的なダメージを与えるだろう。このままではサウザンド・デイズ・ショーギですらない。

(ならばどうする……)思考するノーヴィスの眼に、ふと打ち捨てられたブッダデーモン像が映る。「……!」その瞬間、何をすればいいのか、己に何ができるのか、ノーヴィスは誰に教えられるでもなく全て理解した。己の事のように分かる。もはや彼のニンジャはソメゴロ自身なのだから。

 「イヨーッ!」ノーヴィスは跳躍しパラノイアから距離を取り……ブッダデーモン像へと手をかざした。「イヨォーッ!」カブキを込める。すると……おお、コウライヤ!ブッダデーモン像が命を宿したかのように動き出す!

「おお……おお!デーモン!カブキデーモン!やはり貴様がッ!」突如パラノイアを憤怒が包み、駆け出す!「死んでくだち!我が聖なる力で死んでくだちーッ!」いかなる過去が彼にあったのだろうか、パラノイアは狂い叫びブッダデーモン像を優先標的に変更した!

 ブッダデーモン像が手にした木彫りのヤリを振るう!パラノイアは半身で回避!「ケオーッ!」力を込めてボーで打つ!恐るべき衝撃が劣化した木材を砕き、ブッダデーモン像はいとも呆気なく上半身と下半身に分断された。

 だが!「ケオーッ!?」崩れながら、像の拳がパラノイアを吹き飛ばす!操られた像は命無き物体であり、両断されても死なず動作も止まらぬ。本物のブッダデーモンだと思い込んでいる狂気のパラノイアにはそれが分からぬ!

 飛来するパラノイアの先には……足を高く振り上げたノーヴィス!パラノイアがブッダデーモン像と戦っている最中から彼は足を高く構えカブキを貯めていた……一撃で打ち砕くために!「イヨーッ!」パラノイアの頭へと足を振り下ろす!「ケオーッ!」パラノイアは顔前にクロス腕を構えた。

 瞬間的加速にノーヴィスの足が熱を帯びて一瞬紅く輝いた。燃えるカブキストンプがパラノイアのクロス腕を上からへし折り、その頭蓋を踏み砕く。

「サヨナラ!」



 息を整えたノーヴィスは、携帯端末を取り出し確認した。「未読メッセージ多数あり」の字が画面に大きく表示されている。何通もの状況報告を求める連絡、そして父の心配そうな連絡。外からはヘリの音が聞こえてきた。遅い増援。「……いや、十分に早いか」全ては独断で来た自分の責任だ。

 ノーヴィスは砕かれたブッダデーモン像を見る。流石にこの大きさのものを持って帰ることはできまい。考え、像の破片を持ち上げた。キャリーバッグ程の大きさの木片を抱えたノーヴィスは、像へオジギし廃テンプルを出た。

 今日の事、この力のこと。父たちにはなんと伝えようか。そしてこの木片はどんな姿の像へと変えようか。考えることは無数にある。幸い、帰りは楽をできそうだ。コウライヤのエンブレムが刻まれたヘリに手を振る。

 そして、ノーヴィスはテンプルへと振り返り、崩れたブッダデーモン像に向かってもう1度オジギをした。


【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】終



カブキ名鑑

◆歌◆カブキ名鑑#3【ノーヴィス】◆舞◆
サルファリックの息子である第8代「イチカワ・ソメゴロ」に強力なニンジャソウルが憑依。ジョルリあるいはカゲムシャ・ジツに類するジツとハッキングに優れ、遠隔からの戦いを得意とする。自ら未熟者を名乗るのは己への戒めである。

◆歌◆カブキ名鑑#38【パラノイア】◆舞◆
浮浪者じみた野良ぴるすにニンジャソウルが憑依、強大な力に精神を狂わせマッポーカリプス妄想に囚われた。全力でボーを振るうことで破壊的な衝撃波を飛ばすが、これはジツによるものではなく並外れたニンジャ膂力による物理的現象。



K-FILES

ピルストロフィ・オブ・カブキエイジ外伝。若きコウライヤのカブキアクター、イチカワ・ソメゴロを主人公に彼の奮闘と成長を描いた短編。時系列的にはサプライズド・リエンからホワイトアウト・エルドラドの間に挟まる。


主な登場ニンジャ

パラノイア / Paranoia:野生化した野良ぴるすがニンジャとなった無所属のニンジャぴるす。ダイリキニンジャ・クランの上級ソウル憑依者。ニンジャソウル憑依の際に精神に変調を来し「呪われしカブキアクターが世界に死と殺戮を撒き散らしマッポーカリプスが訪れる」という妄想に囚われ、同調するぴるすを引き連れ廃テンプルでオリジナルの儀式とモージョーを繰り返していた。ダイリキニンジャ・クランはゴダ・ニンジャクランを源流とする己の膂力とカラテを高める事を第一とした肉体派クランであり、憑依者であるパラノイア自身もボーを振った風圧だけで遠距離から鉄をも砕く恐るべき膂力を誇っている。

ノーヴィス / Novice:コウライヤの高位カブキアクターの一人。サルファリックの息子である当代イチカワ・ソメゴロにニンジャソウルが憑依、彼もまた父や祖父と同じようにニンジャのカブキアクターとなったのだ。物体の遠隔操作に関するジツを持ち、自ら作り上げた戦闘用特製ブッダ像を操り戦う。この遠隔操作は手動操縦状態とオートパイロット状態を切り替えることが可能であり、油断した者にはノーヴィス本人による痛烈なカブキが見舞われる。


メモ

これはホワイトパロットでもなくサルファリックでもなく、今まで描かれることの少なかった先マツモト・キンタロ…当代イチカワ・ソメゴロを主人公に据えた番外編的エピソードだ。いわゆるスピンオフ的なエピソードであるため普段とはまた違う作風を心がけて書き上げている。

上で挙げたホワイトパロット・サルファリック両名はぴるすに対してとかく殺す者スレイヤーの側面が強いため基本的にニンジャぴるすに対しても挑発的あるいは侮蔑的言動が多くなるが、ソメゴロに関してはあまりそういった言い回しをさせていない。これは祖父や父との差別化で物腰柔らかい若者然としたキャラクターとして描きたかったからなんだけど、同時にスクにおいてキャラや特徴が定まっていなかったことやモデルの人がまだまだ若いカブキアクターだったから配慮したという側面もある(コウシロ、ハクオウなら殺戮者にしてもいいというわけではないけどね!)。

かくしてコウライヤの当主三代が皆揃ってニンジャとなった。偶然なのかカブキアクターの必然なのか、それはカブキのみぞ知ることだろう!

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