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【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】


【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】


【前編】

「……我々は虐げられるべき存在なのか!」カソックコート姿の男が祈りを捧げる人々へと呼びかける。赤ら顔の男を象ったステンドグラスから、色付いた光が大聖堂に差し込んだ。

「否!我々は救われるべきなんですけお!」彼が語り掛けるのは何百人もの信徒達。注視すれば彼らの顔が一様に似通っていることに気づくだろう。彼らはぴるす、コウライヤによって産み出される半ばクローンめいた存在だ。

「無論君達モータルぴるす諸君には己を縛る鎖を千切ることも、檻を破ることもできぬだろう」ぴるすたちが集い、祈りを捧げる教会。……そう、此処こそがぴるすの救済を嘯く謎のぴるす宗教組織、ぴるす正教会の本拠地である!

「だが私たちは違う!我らが主は違う!ぴるすという呪いを解き、必ずや君達をお救いになるんですけお!」腕を振り上げ、男が叫ぶ。ぴるす信徒達は感極まりながら感謝を叫んだ。演説の盛り上がりは最高潮へ達していた。その時。

 KABUKRAAAAAASH!ステンドグラスが砕け散り、赤い破片が宙を彩る!「何事か!?」驚く男の元へとサッカーボール大の塊が飛来!咄嗟に受け止めたそれは、恐怖に引き攣った表情のまま停止したぴるすの生首!「な……!これは……プレレイト=サン!?」

「……ドーモ」狼狽える男の頭上から声がした。天井に吊るされた豪華なシャンデリア、そのさらに上から。慌てて仰ぎ見た男の目に写ったのはモノクロのカブキ装束を身に纏う男だった。「ぴるす正教会の皆さん、私はホワイトパロットです」

 ホワイトパロットはステンドグラスを破壊し大聖堂内に侵入、プレレイトの頭部を投げながら瞬時に豪華なシャンデリアへと飛び移っていた!アイサツをされれば応じねばならぬ!カソックコートのぴるすは手を合わせオジギした。「……ドーモ、ホワイトパロット=サン、プロヴォストです」

「貴様何故ここを……いや何よりプレレイト=サンをどうやって」「イヨーッ!」ホワイトパロットはプロヴォストの質問に応じることなく豪華なシャンデリアを吊るす鎖を切断!豪華なシャンデリアがホワイトパロットを乗せたまま落下する!

 KRAAAAAASH!「「「ケオアバーッ!」」」逃げ遅れた信者ぴるす達が圧死!ホワイトパロットは衝突の直前で跳躍し、優雅にプロヴォストの元へと舞い降りた。「質問はよく聞こえなかったが、答える必要もあるまい。君はここで死ぬのだ」

「イヨーッ!」「ケオーッ!」互いが放った断首チョップがぶつかり合う!「ケオーッ!?」プロヴォストの腕が大きく弾かれた!カラテはホワイトパロットが勝る!「イヨッ!イヨッ!イヨッ!イヨーッ!」鋭いカブキパンチ!掌底!カブキック!ローリングソバット!ホワイトパロットの息をつかせぬ連撃!「ケオッ!ケオッ!ケオッ!ケオーッ!」プロヴォストは後退しながらも必死に捌く!カラテの差は歴然。プロヴォストの爆発四散も時間の問題に思われた。

「……?」ホワイトパロットは訝しんだ。エテルの流れを。プロヴォストを。己の右肩から生えた虹色の結晶を。「グワーッ!」肩からの出血!(これは……!)ホワイトパロットは咄嗟にカブキの記憶を辿り、勧進帳を紐解く!(……ゲン・ジツか!)

「隙有り!ケオーッ!」プロヴォストが壁に掛けられたメイスを取り、振り下ろす!「イヨーッ!」側転回避!ホワイトパロットの胸元に結晶が生じ始める!ホワイトパロットは動じず冷静に辺りを見渡した。砕けたステンドグラス、崩れたシャンデリア、潰された赤ら顔、青顔、紫顔のぴるす達。「……!」

「イヨーッ!イヨーッ!」ホワイトパロットはベッカク、デンショウを投擲!ベッカクはプロヴォストの元へ!「ケオーッ!」跳躍回避!デンショウは……色とりどりの信者ぴるす死体群を破壊!両ナギナタは旋回し、ホワイトパロットの手元へ戻る!「バカな……!?」「安い手品だなプロヴォスト君」ナギナタを構えるホワイトパロットの胸元でイマジナリー・スリケンが消失した。「そんな小手先で私を倒せると思うな」

「まだ……まだ全力じゃないんですけお!ケオーッ!」プロヴォストはメイスを横薙ぎに振る!「イヨーッ!」ホワイトパロットはその場でコマめいて高速回転!「ケオッ!?」メイスが回転に弾かれる!そして……弾幕めいて周囲に無数のスリケンが射出された!

 赤ジャージのステンドグラス破壊!左右非対称なHIRAKI絵画破壊!直立する赤チェック像破壊!譲渡されし管理権聖典破壊!そして遠心力を乗せて繰り出されたバックナックルがプロヴォストの顔面に刺さる!「イヨォーッ!」「ケオアバーッ!」プロヴォストはきりもみ回転しながら吹き飛び床を転がった!

「君に聞きたいことがある。イヨッ!イヨーッ!」緑顔のぴるす画、紫色ぴるす死体破壊!「君たちが崇める主とは誰かね。イヨッ!イヨーッ!」緑の炎、水晶ぴるす像破壊!「話したまえ。話せばカイシャクしてやろう。イヨーッ!」光るクンリニン像破壊!「諦めたまえ」

「は……話すことなど……!ケオーッ!」「ヌウッ……」瞬間、プロヴォストの体から不意に目を焼く眩い光が放たれ聖堂を塗り潰す!これは一体いかなることか!?彼に宿ったソウルはゲン・ジツの使い手でありながらヒカリ・ジツをも使いこなすニンジャであったとでもいうのか!?

 いかなカブキアクターニンジャといえども急に眼を眩ませられれば大きな隙を生む!「サラバ!」プロヴォストは光に乗じ逃走を試みる!(撤退を……報告を!)ホワイトパロットに背を向け、駆け出そうとした。「……イヨーッ!」その背中に、スリケンが深く突き刺さった。「ケオーッ!?」

「な……!み……見えない筈……」「光る瞬間に背を向け目を閉じたのだよ」どれほどの光を放とうともそれを見なければ無意味!恐るべきは瞬時に回避行動をとったホワイトパロットのニンジャ第六感、そして状況判断!

「ケ……ケオーッ!」「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」跳んだプロヴォストをスリケンが撃ち落とす。「ならばもうよい。ハイクを詠みたまえプロヴォスト君」カブキを構えカイシャクを迫る。


 その時。

 カツーン……カツーン……。杖を突く音が聖堂内に響いた。ホワイトパロットはカイシャクを中断し周囲を警戒する。……その目前を、ホワイトパロットのすぐ側を、年老いたぴるすが何気も無く通り抜けた。殺意も敵意もないそのぴるすに、ホワイトパロットは反応することが出来なかった。

「手酷くやられているようですねプロヴォスト=サン」ぴるすが労わる様にプロヴォストへと掌をかざす。暖かな光が彼の掌から溢れ出し、プロヴォストを包み込んだ。「あ……あなた様は……!」

「ドーモ、プロヴォスト=サン……そしてホワイトパロット=サン。私はポープです」



【後編】

 ポープ達を光が覆う。聖なる光の中、プロヴォストの傷は治癒してゆく。(……このままでは先の戦闘が無意味になる!)「イヨーッ!」ホワイトパロットがスリケンを投擲した。ポープは身じろぎ一つしない。スリケンは光に拒まれ、力なく地に落ちた。

「ならば!イヨッイヨーッ!」ホワイトパロットは二振りのナギナタ、ベッカク、デンショウを投げる。二つのナギナタは紅白のオーラを帯びながら飛翔!カブキネシスにより正確にポープへと向かう!

「……ケオーッ!」聖なる光から飛び出したプロヴォストの蹴りが、ナギナタをはじき返す。もはやその体に傷は残っていない!「ポープ=サン、私はもう戦えるんですけお!」

「プロヴォスト=サン、私は君に期待している」「任せてくだち!」「だから」「……けお?」プロヴォストの肩をポープが掴む。「ポープ=サン……?」「もう少し力を貸そう」ポープの手が輝いた。「け……けお……?ケオッ!?ケオアバーッ!?」眩い光が流れ込む!プロヴォストは膝をつき痙攣!

「ポープ=サンアババーッ!?」目から、耳から、鼻から出血!聖なる光が傷を癒し血が止まり、またすぐに血が流れ出す!「見えるかねプロヴォスト=サン?見たまえ。見るのだ」「アバババーッ!光!光が!ケオアバーッ!」「イヨーッ!」ホワイトパロットのスリケンは光に弾かれた!「仲間割れか、どちらも殺すから焦るなぴるす君!」

「仲間割れ?そんなものではない……そして私は死なないよ」「イヨーッ!」ナギナタは離れた床上、届かぬ!ホワイトパロットはダイ・ノコを投擲!狙いはポープだ!カブキネシスで操られたダイ・ノコは真直ぐにポープへ飛び、そして。「……アバババケオーッ!」突如跳び上がったプロヴォストのトビゲリによって撃ち落とされた。

「ではプロヴォスト=サン、任せた。カラダニキヲツケテネ……」地下へ向かう階段をポープは緩やかに下り始めた。「逃がさぬ!」ホワイトパロットの投げたサスマタはポープへと突き刺さると花弁となって散る!「……ヌウーッ!?」

「アババババ光!光だ!ハハハ!」プロヴォストが嗤う。気付けば聖堂には不可思議なアトモスフィアと歪んだ光が満ちていた。これもゲン・ジツか。プロヴォストの輪郭が滲み、背景に溶けていく。ホワイトパロットの投げたスリケンは鳥となって羽ばたき、割れた窓から飛び立つ。先ほどまでと明らかに様子が違う。ホワイトパロットはカブキを構える

「アババハハハ!」狂気じみた笑いが響く。「イヨォーッ!」声の元へホワイトパロットはミエを放った。KABUKOOOM!濃縮されたカブキエナジーが爆発し、花吹雪となって散る。また別方向から笑い声。「私は笑った!あの男」

「あの男とは誰だ!」カブキニストが叫ぶ。空気は奇妙に淀み、意識がぼやける。ぼやける。身体が重い。頭が痛む。ニューロンが冒される。ステンドグラスが七色に輝く。むやみなカブキの消費は身を滅ぼすだけだ。だがニューロンへのダメージも無視はできない。

 プロヴォストはどこだ。ホワイトパロットはスギ林の中でカブキを構えた。背後で木々がさざめき、虚空から現れたプロヴォストがチョップを繰り出す。「グワーッ……!」振り向いたその時にはプロヴォストは消え、月明かりに輝く湖面が静かに揺れていた。集中せねば。ホワイトパロットは地面の大穴を睨む。打開策を講じねば。

 プロヴォストがイマジナリー・スリケンを生み出す様子はない。しないのか、出来ぬのか。飛来するスリケンを撃ち落とそうとした。「イヨーッ……!?」蝶の群れに惑い、腕が動かぬ。「グワーッ!」肩に突き刺さり、血が雪原を赤く塗る。

 意識がぼやける……。ホワイトパロットはモノクロの浜辺に立っていた……いや……違う。違和感が危険を告げている……しかし霞んだ思考は何がおかしいのか答えを導き出せぬ。竹林という環境は先が見通せず危険だ。カブキを構えながら数歩歩くと、不意に立ち込めた霧が緑に光りプロヴォストが海面から飛び出した。ホワイトパロットはトビゲリを受け止めようとした。だが水泡が腕に纏わりついて邪魔を……。「グワーッ!」ホワイトパロットは落ち葉の山に倒れ込んだ。木の葉が風に去ると、そこは月面であった。

 低重力の中でスリケンが流星となってホワイトパロットに迫る。ホワイトパロットはカブキックで迎撃をしようとした。……何かがホワイトパロットの行動を打ち消した。ホワイトパロットの両腕にはガラスのツタが絡んでいた。「グワーッ!」

 動かぬ……体が思い通りに動かぬ……!ホワイトパロットはカブキ観察眼で洞察しようとした。だが、それすらも何かによって打ち消された。吹き荒れる砂嵐に目が霞む。……何を私は訝しんでいた?意識が……。

 夜空を割り、プロヴォストが再び虚空から滲むように現れる。ホワイトパロットはチョップでカウンターを狙う。ホワイトパロットの反応が遅れる。「ケオーッ!」「グワーッ……!」呻きながらハクオウは受け継がれしカブキを紐解く。勧進帳を開く。打開策を探るために!

 虚空から蟲が湧き、プロヴォストとなって頭突きを放つ。ホワイトパロットはクロス腕で受け止める。ホワイトパロットの腕が熱に溶け、腕が上がらぬ。ならば。ホワイトパロットはカブキックを繰り出した。底無し沼がホワイトパロットの足を掴んで離さない。頭突きでカウンターを……星の光にホワイトパロットは意識を奪われた。「グワーッ……!」ホワイトパロットは呻く。

 ……分かる。分かってきた。ホワイトパロットは頭を押さえる。緑の虫が踊る。空に開いた無数の目がホワイトパロットを見る。ホワイトパロットは虚空を睨む。いくら認識が狂わされようとも、おおいなるカブキは不変。

 目には目を、歯には歯を。狂気には狂気を。「井戸の底を覗きすぎると落ちる、だが落ちねばカエルは手に入らぬ」ミヤモト・マサシのハイクだ。花畑の中心でホワイトパロットはカブキを構える。

 ホワイトパロットは回し蹴りを繰り出した。心地よい花の香りが満ち、ホワイトパロットは微睡む。プロヴォストのチョップがホワイトパロットの肩を打つ。色とりどりの花から妖精が舞い、ホワイトパロットを手招きした。ホワイトパロットは膝を突く。月蝕が海を照らす。ホワイトパロットは力なく項垂れた。もはやこれまでか。


「……歌舞ー伎ニャンニャンニャンニャニャンニャニャン」

 不意に、ホワイトパロットが意味も分からぬ怪しげなチャントを呟き始めた。彼は遂に狂気の淵へと落ちてしまったのか……?夜の帳が降り、ホワイトパロットの右腕に根を張る……否。根などありはせぬ。

「……パーパラパパラパーパパラパーまるまる」

 
ステンドグラスが歪み、色鮮やかな鳥がホワイトパロットに向かって飛び立とうと……否!鳥などどこにもおらぬ!

「バンテリバンバンバンババンババンチッキダンチェッキダン」

 床に開いた渦から手が伸び、ホワイトパロットの体を……否!!床に渦などあるわけがない!!!

「バーンテバンバリババンテンーまるまる」

 否!否!否!否!否!否!否!聖堂に花は咲いていないし虫もいない!今は昼だし水面など存在しないのだ!巫山戯るのも大概にしたまえ!

「ラ・マンチャ 鉄瓶 歯医者 雨宮 量子期 鱧 パルテノン 春」「けおおおお……やめてくだち……」ホワイトパロットが謎のチャントを唱えるたび、歪んだ世界が逆の方向へと歪み世界は赤く染まる!!!!

「ええい!そこへ居直れ!!プロレタリアート君!いやプリングスだったか?そんなの私の知ったことではないだろうが!!!舐めているのか!!!!」赤い空!赤い月!そしてホワイトパロットの顔までもが真っ赤に染まる!もはや君の狂気はこの世に影響を与えられぬ!より強大なる狂気が世界を上書きしたのだ!

 読者諸氏の中にカブキ文学に詳しい方がおられようか!ホワイトパロットの唱えたチャント、それは電子怪文書カブキノミコンに遺された旧時代の狂気!

「ああ!ポープ=サン!光……光が……!」「神は君を愛してはいない!」ホワイトパロットが懐から黄金のカブキモーゼル銃を構える!「私の目の前から消えてくれ!」BLAM!「ケオーッ!?」「いなくなってくれ!」BLAM!「このまま私を!」BLAM!「一人にしてくれ!」BLAM!「一人に!」BLAM!「一人!」BLAM!「一人に!」BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!

 CLICK CLICK CLICK。弾が切れてもなお、引き金を引く音が繰り返し響いた。TELLING。床に落ちた薬莢が音を立てて跳ねる。「ケオッ……アバッ……」スイスチーズめいて穴だらけになったプロヴォストが後ろに倒れた。

 祭壇の上でクンリニン像が微笑む。「ポープ=サン……サヨナラ!」プロヴォストは爆発四散した。




「ポープ……」ホワイトパロットは呟く。ぴるす正教会の親玉。この階段を下れば居る……逃げていなければ。今すぐにでも飛び込むべきか。自らの問いに首を横に振った。「……情報が足りぬ」

 今すべきこと、それは情報収集。そして何より回復だ。「フゥーッ……」息を吐く。綱渡りの戦いであった。……外法のカブキに頼らざるを得なかった。狂気に身を委ねた代償は軽くはない。ホワイトパロットは焼けたニューロンの痛みに顔をしかめる。

 恐るべきはプロヴォストをあそこまで強くし、あそこまで狂わせたポープの力。何の考えもなく突入して勝てる相手ではない。ぴるすにあるまじき存在……。

 あの男には余裕を感じた。少なくともあれは今すぐ逃げ出す者の気配ではなかった。時間的余裕はまだある。ホワイトパロットは座り込み、コウライヤ上層部専用回線にIRCメッセージを送るとアグラ・メディテーションを始めた。

 ……決戦の時は近い。


【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】終わり

【イーヴン・ピルス・ウィル・リパルス】へ続く



カブキ名鑑

◆歌◆カブキ名鑑#50【プロヴォスト】◆舞◆
ぴるす正教会での宣教および洗礼を一任される最高位のニンジャぴるす。イクサにおいてはゲン・ジツ、そして祝福されしヒカリを用いる。

◆歌◆カブキ名鑑#51【プレレイト】◆舞◆
ぴるす正教会の高位聖職者ニンジャぴるす。宣教の帰路でホワイトパロットと遭遇し、なすすべなく殺された。

◆歌◆カブキ名鑑#52【ポープ】◆舞◆
ぴるす正教会の最高位聖職者かつ聖者に位置するニンジャぴるす。その正体、目的は一切不明。多くのぴるすを従え、世界各地で活動させている。




K-FILES

ピルストロフィ・オブ・カブキエイジ第5話。ついにぴるす正教会の本拠地を探り当てたホワイトパロットは司祭のニンジャぴるす、プロヴォストと戦闘を開始する。ゲン・ジツを破りカイシャクを迫る中、謎の男が現れ……。


主な登場ニンジャ

プロヴォスト / Provost:ぴるす正教会のニンジャぴるす。ぴるす正教会の宣教、洗礼、そして信徒の行動の指揮を一任される最高位司祭。ダマシ・ニンジャクランのソウル憑依者であり、そのゲン・ジツの力は確かであるがカラテのワザマエはさほどではない。ポープの祝福を受けており、いざという時には授けられた光を放出して目眩ましとする。

ポープによって過剰祝福のオーバーロードを引き起こされ、彼のゲン・ジツは世界のテクスチャに干渉する自然かつ美しきものへと変質した。このゲン・ジツに囚われた者は何が異常なのか認識することもできないまま全ての行動を阻害され、やがてニューロンを侵食され幻の中をさ迷い続けることになる。

ポープ / Pope:法王の名の通りぴるす正教会の頂点に君臨するニンジャぴるす。ヒカリの力を持ち、ぴるすに祝福を授ける。彼について今はまだ多くを語る時ではない。


メモ

ようやくたどり着いた本拠地、現れたボスとおぼしき存在。コウライヤとぴるす正教会との戦いもついに佳境に突入した。ホワイトパロットの戦いもそこらのぴるすとは比較にならない熾烈なものとなり、文章量もここからどんどん増え始めた。そのため、スレッド連載時にはこのエピソードからついに掟破りの前後編分割システムが始まることとなった。通常1スレのスレ文1つで完結するのが主流なスクリプトで、日を跨いで話を展開するわけだからかなり不安もあった。とはいえ一ストーリーを2分割というよりは連続する二つのストーリーといったようになるようできるだけ気を配ったけどね。今回で言えばポープが出るまでが前編、ポープに狂わされたプロヴォストとの戦いが後編であり、言うなればぴるす正教会決戦の導入エピソードとポープの力の一端を披露するエピソードを繋げたような形だ。

毎度のことではあるが、今回のプロヴォストの戦いはメンタリストを参考としており彼の要素が多く含まれている。ゲン・ジツの使い手と戦い一度は倒すも狂って強化された彼と再戦する…かなりモロだね。ゲン・ジツ使い自体はメンタリストだけではないし前半の戦いはそこまで気にならなかった(出てくるオブジェクトの違いで個性も出せるからね)けれど、後半…狂ってからのイクサは狂気の演出含めあまりにもメンタリスト戦の模倣がすぎたため、今回のアーカイブ化ではそこそこ手を加えている。個人的な信念として原作のワンシーンの焼き増しになってはならないと心に誓っているが、一方で一人のファンとして「原作の最高にクールだった、最高に怖かった、最高に笑った、最高にシビレたシーン」を、スラングでも使うように作中にねじ込みたくなる心理もある。二次創作の悩ましいところだ。

途中でだいぶ長期間待たせてしまったが、まだ読んでくれているみんなはここから始まるクライマックスをどうか見届けて欲しい。

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