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【ホワイトアウト・エルドラド】


【ホワイトアウト・エルドラド】


 極北、常に吹き荒れる凍てつく吹雪と自然的磁気嵐の影響により物理的、電子的共に隔絶された氷の大地。そしてあらゆる国家、暗黒メガコーポ中立を謳う(厳密に守られているかは別だが)、文字通りの空白地帯である。

 その漂白空間にただ一つ、調和を乱す物が存在した。北極大氷河のほぼ中央、雪と氷に閉ざされた白い世界に突如現れ異彩を放つ黄金色の建造物。その名はピル=ドラド宮。壁、床、柱、シャンデリア、そして調度品に至るまであらゆる全てが黄金で作られたその宮殿は、かつて平安時代にグンペイ・ヘイケが鎮座したコンジキ・テンプルを思わせる様相である。

 黄金宮殿の中心部、そこに黄金の椅子に座り黄金の筆を走らせる男がいた。「……」男はふと一瞬筆を止め、何かを考えると、再び筆を走らせ始めた。「少し待ちたまえ……」独り言めいた呟きは、黄金扉の前に立つ男へと向けられていた。扉が開き、カブキ装束を纏う男が部屋へと入る。「ドーモ、ホワイトパロットです」

「ドーモ、ホワイトパロット=サン、私はパラケルススです。……ポラリス=サンとプロングホーン=サンはどうした」「ポラリス=サンは星になったよ。そしてプロングホーン=サンはここだ」ホワイトパロットは生首を放り投げる。その表情は恐怖に歪んだまま固定されていた。「丁度いい、壁掛け剥製にでもしたらどうだ。この悪趣味な館には似合うであろう……私から逃れられたらの話だがな」

「ンン……待ちたまえ。今私は筆が乗っているのだ。アルケウス……ピルケオス……すなわちエテルの流れこそが」「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」ホワイトパロットの投擲したハンマーがパラケルススの頭部をトマトめいて砕いた!互いにアイサツは済んでいるためシツレイには当たらぬ!

 だが。「アバババハハハハハハハ!」おお……なんと悍ましい光景であろうか。熟れたトマトめいて潰れていた頭部から肉が滲み出し、不定形に蠢き……やがて元通りの頭部を形取った。「ちょっと止めたまえ!我が偉大なる脳が失われたらコトなんですけお!……おっと失礼」パラケルススは己のぴるす性を抑制した。

「ぴるす君程度の脳なら幾らでも作れる。安心したまえ。安心して死にたまえ!イヨーッ!」ホワイトパロットはダイ・ノコを投擲!「ケオアバーッ!」頭部破壊!「イヨッ!イヨーッ!」次いでサスマタ!そして床に落ちたハンマーが浮かび上がり飛来する!これぞカブキネシス!

 ああ、だが!「アババハハ……効かぬよ。効かぬ」パラケルススの頭部が砕け、肉片と化した次の瞬間には既に再生が終わっている!「効かぬ、が……我が思考の邪魔なんですけお!」そして見よ!砕けて床に散ったパラケルススの肉片が、そしてプロングホーンの頭部までもが蠢き、増殖し、そして!「ケオー……」「ケオー……」無数のぴるすめいた生命体へと成長したではないか!なんたるブキミな光景か!

「私は思考で忙しいんですけお……ンン!忙しいのだ!我がホムンピルスと遊んでいてくだ……くれたまえ!」「ケオー……」「ケオー……」無数のホムンピルスがホワイトパロットへと迫る!「ナメるな!ニンジャぴるすならいざ知らず、ぴるすモドキがいくら増えようと物の数ではない!」ホワイトパロットは二振りのナギナタを構える。即ち、ベッカクとデンショウ!

「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」ベッカク一閃!「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」デンショウ一閃!「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」ホワイトパロットがナギナタを振るたび、無数のホムンピルスが一度に両断され宙を舞う!「イヨーッ!」「ケオアバーッ!」ついに全ホムンピルス沈黙!

「イヨーッ!」その隙を突きスリケンを投擲!4枚のスリケンが空を裂きパラケルススの頭部を狙う!「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。つまりドク・ジツこそが万物を……アバーッ!」ブルズアイ!パラケルススの頭部が爆ぜる!だが、それでもパラケルススは止まらぬ。「……ホムンピルスはまだ終わりではないよ」

「ケオオ……アバババ……」悍ましき気配にホワイトパロットが振り返ると、切断されたホムンピルスの肉体が蠢き、膨張し、再び人の形を取った。ホムンピルスの死骸を材料に、刻まれた数だけ新たなホムンピルスが生まれる。……なんたる物理法則を、そして生命の法則を乱す存在であろうか。

「戦いは数であり我がホムンピルスは無限の存在……つまり我々は君の100倍強い!諦めたまえ」「ならば無限以上に殺す。死に絶えるまで殺す。それだけだ」ホワイトパロットは1歩も引かず、ナギナタを憮然と構える。

(だが……このままでは ジリー・プアーであることもまた事実……)いかに強靭なニンジャ……仮に神話に名を残す強大なリアルニンジャであったとしても永久に戦い続けることなどできぬ。差はあれどいずれ限界が訪れる。「アババ……ケオーッ!」形成を終えた一体のホムンピルスが飛び掛かる。「イヨーッ!」ホワイトパロットのベッカクが胴を両断した。その二つに別たれた肉が再び蠢き、二体のホムンピルスが生まれる。

「イヨーッ!」二体のホムンピルスが四体に「イヨッイヨーッ!」四体のホムンピルスが八体に「イヨッイヨッイヨーッ!」八体が十六体……さながら倍々ゲームの様相!倒せば倒すほど、殺せば殺すほどに数的不利が深まる矛盾!

「ならば!これならどうだ!イヨイヨイヨイヨイヨォーッ!」ホワイトパロットが両ナギナタをスクリューめいて同時高速回転!ネギトログラインダーが如き殺戮機構と化す!「「「「「ケオアバーッ!」」」」」全てのホムンピルスが死の回転へと呑み込まれ、大量のクズ肉へと変わる!

 黄金の空間へと桜吹雪めいて舞い散る肉片の中、ホワイトパロットは息を吐きザンシンする。その背後で降り積もった肉片が再び蠢いた。ナムサン……!ここまで切り刻まれてなおホムンピルスは滅んでなどいない!ホムンピルスは殺せぬ。パラケルススも殺せぬ。もはや打つ手無し……!

 ……その時。蜃気楼めいて黄金宮殿の輝きが揺らいだ。「……ム?」「ケ……ケオオオオオオ……」人の形になりつつあった肉塊が呻き、そして崩れた。「な、これは……!?」パラケルススが驚愕し、黄金筆が落ちる。何らかの理論が書かれた紙に墨が染み、塗り潰す。「……どうやら、間に合ったようだ」ホワイトパロットの口角が上がる。



 南米、パタゴニア!

「ケオーッ!」カラテシャウトと共に超自然の病んだ熱風が吹き荒れ、木々を、草花を枯らす!嵐の中心部にはメキシコライオンの頭、ワシの翼、そしてサソリの尾を持つ異形のニンジャぴるす、パズズが舞う!

「ケオーッ!」パズズが羽ばたき、恐るべき速度で飛行!地に倒れる人影へとトドメとばかりにサソリの尾を突き刺した!「ケオ……!?」だが、尾は地面に突き刺さり、人影はどこにも無い。

(マズイ……!)危機を悟り即座に空へ逃げようとするパズズの尾を、土中から何者かが引き留めた。「なッ……」瞬間、地面から人影が飛び出す!ドトン・ジツだ!「ケオーッ!」「ケオーッ!?」パズズの鳩尾に鋭い膝蹴りがめり込む!

「このワンインチ距離ならばソニックカラテは使えまい。ケオーッ!」人影……ニンジャぴるすはパズズの尾を脇に抱えたまま、空いた右拳で頬を殴る!「ケオーッ!?……そいつはどうかなァ!」パズズは頬骨を砕かれながらも踏み留まり、ニンジャぴるすを両腕で羽交い締めにした!なんたる非凡なニンジャ耐久力!

「ワンインチ距離ってことはァ!」ニンジャぴるすを抱えて飛翔!「風を直に受けるってことなんですけお!」呪わしき病んだ熱風が吹き荒れる!

「ハハァーッ!死んでくだち!逃げ場無き上空で病んで死んでくだケオアバーッ!?」頭突きがパズズの額を砕き、ニンジャぴるすは拘束を脱する!「ケオーッ!」「ケオーッ!?」パズズの両翼を手刀が切り落とす!そしてニンジャぴるすは……ポーチュラカは逆にパズズを羽交い絞めにした!「貴様の熱風など、そよ風に過ぎないんですけお!」

 両者はそのままキリモミ回転しながら垂直落下を始める!「ヤッ……ヤメロー!ヤメテクダチーッ!」パズズは抗い、羽ばたこうとする。だが彼の背中に翼はもはや無し、もはや翔べぬ!「イヤーッ!」

 おお……コウライヤ!これは暗黒カラテ奥義、アラバマオトシ!「ケオアバーッ!」KRAAAASH!地面が爆ぜる!ポーチュラカは前転しながらウケミを取る。地に突き刺さったパズズはもがこうとした。できなかった。

「サヨナラ!」パズズは爆発四散した。



 オーストラリア、エアーズロック頂上!

「逃げても無駄なんですけお!」岩の巨人、プリティヴィが左腕を振り下ろす!KRAAAAAASH!エアーズロックが損壊し岩石が飛び散る!「このままジワジワとなぶり殺しにしてやるんですけお!」右腕!KRAAAAAASH!エアーズロックが損壊し岩石が飛び散る!ああ、このままでは世界遺産は見るも無惨に成り果ててしまう!

 その時!「イヨーッ!」プリティヴィが巻き起こす砂塵を突き破り、1人のニンジャが……否、ニンジャぴるすが飛び出す!彼のニンジャ装束は砂嵐の中でも一点の曇りもない。何らかの力場が彼の周囲を覆っている!純白のニンジャぴるす、パニッシャーはエアーズロックに突き刺さった巨人の右腕を駆け上る!

「コシャクな!ケオーッ!」巨人はパニッシャーへ向け左腕を振り下ろす!「イヨーッ!」だが既にパニッシャーは跳躍し左腕の上!再び駆け上がる!KRAAAAAASH!己の拳によって巨人の右腕が粉砕!「シマッタ!」

 パニッシャーは巨人の左肩から再度跳躍、巨人の眼前へと至る。その両腕は弓めいて引き絞られていた。「イヨーッ!」両腕のカラテが解き放たれ、巨人の頭を砕いた!ダブル・ポン・パンチ!「ケオアバーッ!」岩の巨人が砕け散り、矮小なニンジャぴるすがエアーズロック側面を転がり落ちながら爆発四散した。「サヨナラ!」



 フジサン、巨大なトリイの遥か下!マグマの滾る地!

「何故炎が効かないんですけお!?ケオーッ!」緋色のニンジャぴるす、プロメテウスが叫び、己の体を焼くほどのカトンを放つ。だが、エメツタングステン合金から成る漆黒のブッダデーモン戦士像は無傷!「何故!なぜ!?」プロメテウスは恐慌へと陥る!

 目に紫の炎を滾らせた漆黒のブッダデーモン戦士像が言葉も無く迫る。「こ……こないでくだち!」プロメテウスはへたり込み失禁した。もはや逃げる気力も無し。漆黒のブッダデーモン戦士像は手に持ったヴァジュラを振り下ろす。「ケオアバーッ!サヨナラ!」爆発四散!

 ……その爆発の遥か上、巨大なトリイの下。青年はアグラを解いた。



 南極大陸の厚き氷の下、氷のドージョー!

「ケオーッ!」「イヨーッ!」パリア・カカの冷気は、氷はサルファリックに届かぬ!「ケオアバーッ!」恐るべきドク・ヅキがパリア・カカに毒液を流し込む!サルファリックは己の毒を自在に変えられる。今彼から滴る毒はエチレングリコール、不凍液だ!絶え間なく流れる不凍液が冷気を遮断する!「サラバだ、イヨーッ!」毒を帯びたチョップがパリア・カカの首を刎ねた!「サヨナラ!」

「CEOたれと言っておいてこの時期にこんな遠出をさせるとは……まったく困った人ですね父さんは」サルファリックは一人呟き、笑った。



「バカな……」揺らぐ!輝きが揺らぐ!黄金宮殿がくすみ、不変の輝きが失せる!ホムンピルスたちは形を失い床に溶ける!もはや単なる肉に過ぎぬ!「バカナーッ!?」

「君がジツを外的に増幅していることは事前に確認済みだ。4つのエテル、即ちファイア、ウィンド、ウォーター、アース。それぞれを他のニンジャぴるすで補い、己のレンキン・ジツを強化していたのだろう?だから全員殺した。次は君の番だパラケルスス君」ホワイトパロットは両のナギナタを構える。

「ナメ……ナメるな!奴らなど……ブースターなど無くとも!私は強いんですけおーッ!」パラケルススは剣を抜き、斬りかかる!おお、この剣は!この柄に刻まれた「アゾツト」のルーンカタカナは!

 ニンジャ歴史学に明るい方であればお分かりだろう!かつてアクマ・ニンジャを地の底へと追い詰め、クランの者を多く葬ったとされる聖剣!そのレジェンダリーレリックが、歴史の遺産が!「イヨーッ!」折れた!「バカナーッ!?」「太古の置き土産が!伝承されしカブキに敵うものか!」

「イヨーッ!」ベッカク一閃!「ケオーッ!?」パラケルススの首を刎ねる!「……まだ終われぬ!」パラケルススが己の頭を掴み、切断面を押し当てる!「あの方の域まで至るために……!」黄金の残滓が輝き、断面が蠢き癒着を……「イヨーッ!」デンショウ一閃!「ケオーッ!?」パラケルススを正中線で断つ!「大人しく!消えよ!イヨイヨイヨーッ!」ベッカクとデンショウがパラケルススを更に斬り刻む!「ケオアバーッ!」

「サヨナラ!」パラケルススは爆発四散した。



 ホワイトパロットは息を吐こうとし、気付く。パラケルススが死に、黄金宮殿の輝きはもはや完全に失われた。残ったのは雪で作られた白き宮殿。そしてその雪の宮殿は自重に耐えかね、今にも崩れ去ろうとしていた。

 ホワイトパロットは走り出す。この戦いはまだ終わりではない。ぴるす正教会のトップを殺すまでは終わらぬ。パラケルスス、明らかに今までのニンジャぴるすよりも高位の存在。今、コウライヤはぴるす正教会の喉元へと牙を突き立てている。

 次の標的はパラケルススの持つデータから引き出した。プロヴォスト。確実にパラケルスス以上の地位を持つ男。此奴を殺し、そして新たな標的の情報を引き出す。そうして全てのぴるす正教会メンバーを殺し続ければいずれは黒幕の首に届くであろう。攻めるべし、殺すべし!

「イヨォーッ!」ホワイトパロットの白き姿が吹雪に霞み、雪の中に同化して消えてゆく。雪の宮殿が自重に耐えかね、ついに崩れ去った。吹雪が吹き荒れ、即座に雪が降り積もる。偽りの黄金郷の跡を、雪が消してゆく。


【ホワイトアウト・エルドラド】終わり

【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】へ続く



カブキ名鑑

◆歌◆カブキ名鑑#4【ポーチュラカ】◆舞◆ 
ホワイトパロットに従事する最高位ニンジャぴるす。己のぴるす性をカブキによって十分に抑え込んでいる。鍛え上げられたカラテと劣悪環境にも耐えるニンジャ耐久力により、極めて高い戦闘能力を持つ。

◆歌◆カブキ名鑑#5【パニッシャー】◆舞◆ 
ノーヴィスに従事する最高位ニンジャぴるす。ぴるす性を完全に切除された従順なるカブキの徒。 強大なカラテが体の周囲に生じさせる力場によってその純白の装束に汚れ一つ、傷一つ付くことはない。

◆歌◆カブキ名鑑#29【パラケルスス】◆舞◆
ぴるす正教会の高位に位置するニンジャぴるす。北極に存在する黄金宮、ピル=ドラドの主。レンキン・ジツによって物体の組成を組み換え、攻撃や防御、ミニオンの生成を行う。謎めいた再生能力を持ち、そのままでは殺すことは不可能。

◆歌◆カブキ名鑑#30【パズズ】◆舞◆
風を司るパラケルスス配下のニンジャぴるす。メキシコライオンの頭、ワシの翼、サソリの尾という異形の姿を持ち、カゼ・ニンジャクランの力でおぞましき病んだ熱風を起こす。パズズ・ニンジャとは特に関係はない。

◆歌◆カブキ名鑑#31【プリティヴィ】◆舞◆
土を司るパラケルスス配下のニンジャぴるす。特殊なドトン・ジツによって岩石と一体化し岩の巨人の姿を取るが、その本体は1メートルほどしかない小柄なぴるすである。

◆歌◆カブキ名鑑#32【プロメテウス】◆舞◆
火を司るパラケルスス配下のニンジャぴるす。カトン・ジツを操る。戦闘を好まぬ性格であり、ぴるす正教会のためのイクサを拒否し続けたため半ば幽閉めいてフジサン最奥に送られた。

◆歌◆カブキ名鑑#33【パリア・カカ】◆舞◆
水を司るパラケルスス配下のニンジャぴるす。コリ・ニンジャクランのソウルを宿す。来たる日に備え南極の厚き氷の下のドージョーでザゼンを続ける。

◆歌◆カブキ名鑑#34【ポラリス】◆舞◆
パラケルスス配下のニンジャぴるす。ピル=ドラド宮の警備、見張りを務めていた。

◆歌◆カブキ名鑑#35【プロングホーン】◆舞◆
パラケルスス配下のニンジャぴるす。ピル=ドラド宮の警備、見張りを務めていた。スレッド連載版ではポーラーベアーという名だったがニンジャスレイヤー本編に同名のニンジャが存在したため、あまり北極とは関係の無いニンジャネームへと変えられた。




K-FILES

ピルストロフィ・オブ・カブキエイジ第4話。極北の地に巣食うぴるす正教会のニンジャぴるす、パラケルスス。彼を倒すため黄金宮殿ピル=ドラドへと乗り込んだホワイトパロットを、忌まわしき人造ぴるすホムンピルスが襲う……!


主な登場ニンジャ

パラケルスス / Paracelsus:ぴるす正教会の中でも上層に位置すると思われるニンジャぴるす。レンキン・ニンジャクランの比較的高位ソウルの憑依ぴるすであり、彼の扱うレンキン・ジツは物体の分子構造に影響を与えて存在を変質させるジツである。ただし本来であればジツの発動には直接接触が不可欠であり、また長期的に変化を維持することは少なくとも彼には不可能であった。ましてや不死身に近い肉体を生み出すなどもっての外である。この難点を解決するためにパラケルススはぴるす正教会の援助のもと4人の配下ぴるすと4つのエテルに富んだドージョーを各地に配置、祝福の繋がりにより己のジツのブースターとしていた。

彼のように不死性を持つ、あるいは不死性に憧れるニンジャぴるすは数多く存在する。それは脆弱な肉体を持つが故の反発、反作用の一種なのかもしれない。

四エテルを司るニンジャぴるす

パラケルスス配下の四忍。この世を構成する四大エテル、すなわちファイア、ウィンド、ウォーター、アース。それぞれのエテルに親和性を持つニンジャぴるすが選ばれ、ぴるす正教会の祝福によりパラケルススと遠隔接続されている。

プロメテウス / Prometheus:ファイアを司るニンジャぴるす。カトン・ジツの使い手であり、カトン推進力による空中戦闘も得意とする優れたカラテの持ち主だが、戦闘を好まぬ気質が災いし溶岩湧き出すフジサンのドージョーに半ば幽閉の身であった。

パズズ / Pazuzu:ウィンドを司るニンジャぴるす。メキシコライオンの頭、ワシの翼、サソリの尾を持ち、ソニックカラテを扱う。彼が放つカゼはホロビ・ニンジャクラン由来の病毒性を帯び周囲を汚染する。風の吹き荒れるパタゴニアの地にドージョーを持つ。

パリア・カカ / Pariya Qaqa:ウォーターを司るコリ・ニンジャクランのソウル憑依ぴるす。コリの力を高める南極の地、厚い氷の下に存在するドージョーで1日の大半をザゼンして過ごす。

プリティヴィ / Pṛthivī:アースを司るニンジャぴるす。岩石に浸入し己の体の延長として体に纏う特殊なドトン・ジツを濫用した結果、違法建築めいた岩石の巨人となっていた。エアーズロックの内部にドージョーを持つ。本来はピグメーンというニンジャぴるすであったが、このパ行ネームがどういう意味を持つ何という言葉に由来するものか一切不明だったためにこの機会に改変された。



メモ

まず最初に、あまりに期間が空いてしまったことを謝罪させてもらいたい。もはや待っている人などいないかもしれないが、投稿を再開する準備が終わったためとりあえずこのまま最後まで投稿するつもりだ。

「ピルストロフィ・オブ・カブキエイジ」の4話目である今回は、北極の氷河を舞台にホワイトパロットが不滅の怪物ぴるすと戦う話である。

このエピソードは話が大きく動くわけではない…言うなれば中継ぎの面が大きいエピソードであるが、だからこそ入れられたのが途中の各地で戦う仲間パートである。基本的にホワイトパロットはこのぴるす正教会探索においてコウライヤ及びニンジャぴるすを頼らぬようにしている。それは信頼できないからとかそういった理由ではなく、正体不明なぴるす正教会を追うためには身軽でなくてはならないからなんだけど今回ばかりは人手が必要であった。各地でパラケルススの部下4忍を殺して回ってたらさすがに警戒されてスムーズには行かなかっただろうからね。だから今回は迷うこと無く仲間を頼った。

このエピソードに出てくるパラケルススは不死身の肉体を持っているが、カブキスレイヤー全体を通して不死身のぴるす、超再生能力のぴるす、またイタミ・ジツ使いのぴるすが割りとよく登場する。一応コウライヤはバンテリン製造に伴う不死身ニンジャぴるす開発に力を入れていたからであるとか今回のパラケルススなんかはある存在に憧れてであるとかそういった理由付けはあるが本質的にはまあ、これは僕の手癖だ。人ならざる力を得たぴるすという存在をイメージした時、どうしても僕の脳裏に浮かぶのは耐久力故に死ぬまで苦しめられるぴるすなんだ。だからぼんやりとニンジャぴるすをイメージすると永久、半永久的に痛め付けられる不死身のぴるすになりがちである。…そして不死身のぴるすならばカブキアクター側のピンチを演出しやすいというのもある。

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