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【リユニオン・アンド・デパーチャー】

【リユニオン・アンド・デパーチャー】

 「ぴるす正教会…奴らは一体何者なんだ…?」静かなコウライヤ本社内プライベート茶室の中、マツモト・コウシロ、サルファリックは一人呟く。

 手元にはチャで満たされた器と一枚の紙。リエンが襲撃されたあの時、爆発四散したポテンテイトの元から落ち、秘密裏に回収した紙。そこに書かれているのは…。

 「…コウライヤ系列の廃病院が建っていた更地。その住所が書かれた紙を何故彼は持っていた…?」サルファリックの眉間に皺が寄る。そこに何がある?そこで何をしようとしていた?

 ぴるすによる大規模迷惑行為…秘密裏に対処せねばコウライヤの名に傷が付くか…?先祖が、そして父が守ってきた名に…。




 深夜、かつて建っていた建物の瓦礫が無造作に放置される荒地。ドクロめいた月が見下ろす先に一人の男、サルファリックが佇む。連れ立つ者は無し。彼はただ一人でこの地へと訪れた。ぴるす正教会を秘密裏に葬るため。コウライヤの名誉を守るため。

 「…」サルファリックは入念に周囲を見渡す。荒れ地を砂埃を含んだ空気が吹き抜ける。…少なくともこの周辺には何者かが活動していた痕跡は無い。

 この地にかつて建っていたというコウライヤ系列の病院は父の世代、カブキニストの時代にはすでに廃業しており、建物の解体も既に完了していた。それ以上の情報は無い。自らの力でぴるす正教会へ繋がる情報を見つける他に無し。サルファリックはニンジャ感覚を研ぎ澄ます。

 瞼を閉じ、暗闇の中で意識を張り巡らせる。全身の毛が立ち、空気の動きを肌が過敏なまでに感じる。耳は冴え、鼻は澄み、視覚を失った世界がむしろ一層色鮮やかに感じられる。一筋の風が静かな音を立てて流れる。

 「…!」サルファリックは目を見開き、跳んだ。「イヨーッ…!」着地と同時に押し殺したカブキシャウトが闇に響き、拳を打ち付けられた地面が凹み、穴が開いた。…地下へ続く秘密の入り口、その扉を破壊したのだ。

 意を決し、サルファリックは地下の闇へと伸びる鉄梯子に足を掛けた。カツーン。静かな金属音が響く。足音を忍ばせながら、サルファリックは地下へと降りてゆく。…その姿を、木の上から一羽の白いオウムが眺めていた。




 「しかし…」黒衣に身を包むぴるすが呟く。「我々がこのような僻地へと潜まねばならぬとは…不愉快極まるんですけお」「プライメイト=サン…どうか我慢のほどをお願いするんですけお。期が来ればすぐに…」修道ニンジャ服のぴるす、ポドリャスニクが機嫌を窺いながら諭す。

 「すぐに?そのすぐがいつ来る?我々はいつまでこのような埃臭い地下に居ねばならないんですけお?」鋭い語気にポドリャスニクは怯む。プライメイトは有能なニンジャぴるすである。…だが、如何せん短気だ。プロキメンは矛先が己に向かぬよう祈りながら欠伸を噛み殺した。

 「プレジディング=サン達が死んで。ポテンテイト=サンらも死に。それで彼らの任務は果たされず。ぴるす正教会の人員は減るばかり。不甲斐なさに我が心は凍てつくばかりなんですけお。…なあ、どう思うパスハ=サン」

 「エッ…!?…は、はい」突如向けられた矛先にパスハは戸惑った。「わ…私は…その…我らが神が万事を丸く収めてくれると…」

 「この期に及んで神頼み…自己判断能力の欠如したイディオットめ」プライメイトは不機嫌そうに会話を打ち切った。「…まあよい。それよりも、だ。我々は次なる一手を打たねばならないんですけお」

 「コウライヤのニンジャぴるす戦力を削る計画は途中で頓挫、カブキアクターを襲う計画も頓挫。このままでは結果が出ない!」「し…しかし我々には神のご加護が…」

 「神とは心の拠り所であって己の全てを委ねるものではないんですけお!自ら動かずして何も変わらぬ!」「おお…!」ぴるす達が息を飲む。

 「温い川の流れに身を任せる愚か者共と我々は違う!今一度己を見直し、ぴるす正教会のために尽くすんですけお!ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」

 「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワールドオダー!」「ピルスワ…ケオアバーッ!?」

 チャントの最中!突如ポドリャスニクの頭が爆ぜた!「サヨナラ!」爆発四散!

 「何事なんですけお!?ケオアバーッ!?」狼狽するパスハの頭が同じように破裂!何者かの襲撃だ!

 「イヨーッ!」「ケオーッ!」三度目の攻撃をプライメイトのスリケンが撃ち落とす!攻撃の正体は…ハーフオリガミ!KABUKOOOOOM!ハーフオリガミが爆発する!これはオンミョウ・ドーの秘術、シキ・ガミ・スリケン!

 「ケオーッ!何奴!」「イヨーッ!」スリケンが襲撃者目掛けて飛び、陰からその姿を引き摺り出した!部屋の中央へと着地した男は手を合わせアイサツした。「…ドーモ、私はコウライヤのCEOを務めるサルファリックです。君たちに聞きたいことがある」 

 「…ドーモ、サルファリック=サン、我々はぴるす正教会です。この地を何故…いや、どうせ愚か者共の失態なんですけお!」「ほう、君たちはぴるす正教会か。ちょうど良かった、インタビューさせてもらおう」

 代表アイサツが終わり、拳を構えるサルファリックを囲うようにぴるす正教会が陣を作る。「たったの五人…私が殺したから今や三人だけか。思ったほどではないようだ、ぴるす正教会とやらも」サルファリックが挑発する。

 「ほざけ…!ケオーッ!」「イヨーッ!」プライメイトが振り下ろすジェーズルを右のチョップで受け止める!「ケオーッ!」「イヨーッ!」プリセプターのキックを左腕で掴み止め…「イヨーッ!」その体をプライメイトへと叩き付ける!「ケオーッ!?」「チィーッ…!」

 「イヨーッ!」サルファリックは間髪を入れずに跳ぶ!怪しげなチャントを唱えるプロキメンへトビゲリを放つ!だがその瞬間!「ケオーッ!」突如サルファリックの目前で炎が燃え、パスハが現れた!「何…!グワーッ!」サルファリックが撃墜され地を転がる!

 「主よ…ケオーッ!」プロキメンのシャウトに合わせ激しい稲妻が放たれた!「グワーッ!」回避が間に合わぬ!「ケーオケオケオ…!」高笑いするパスハの姿が炎へと変わり霧散する。いかなジツであろうか、彼は己の死を偽り潜んでいたのだ。

 「ケオーッ!」プライメイトが地に倒れたサルファリックへジェーズルを突き刺す!「イヨーッ!」サルファリックはゴロゴロと横へ転がり回避する。ワーム・ムーブメントだ!「イヨーッ!」サルファリックは蹴りながら起き上がる。

 (ぴるすに手こずるとは…コウライヤCEOとして恥ずべきだ…!)「イヨーッ!」サルファリックはプライメイトへと跳ぶ!彼を突き動かすのはコウライヤの重責、そして責任感。歴史の重みが彼の両肩に伸し掛かり、その心を焦らせる。

 サルファリックのチョップ突きはジェールズによって逸らされた。ドク・ジツがジェールズに侵蝕しようとし、聖なる力に阻まれた。背後から迫るプリセプターをサソリめいた後ろ蹴りで迎え撃つ。プロキメンのチャントが響く。炎が燃える気配がし、パスハが現れる。

 サルファリックは彼らを侮り自分一人で敵地へと跳び込んだ。ニンジャぴるす達はそれぞれが確かな実力を持っていて、そしてこの人数差。「数が多い方が少ない方よりも有利」ミヤモト・マサシもそう詠んだ通り、兵法の初歩だ。焦りが生んだ判断ミス。「ケオーッ!」プライメイトのチョップが迫る。その時。

 「イヨォーッ!」凛としたカブキシャウトが響き、天井が崩落する!瓦礫の中、モノクロのカブキ装束を纏った男が舞い降り、プライメイトのみぞおちを鋭く蹴り込んだ!「ケオーッ!?」

 「…!貴方は…」サルファリックは驚愕に目を見開く。よく見知った顔、よく聞き馴染んだ声、よく知ったカブキ。カブキ装束の男はナギナタを構えアイサツした。「ドーモ、私はホワイトパロットです……!」

 「ケホッ…ドーモ、ホワイトパロット=サン…我々はぴるす正教会です。知らぬ名…いや、違う…!そうだ…プレジディング=サンの最期の通達…!貴様…カブキニスト=サンか…!」「その名は捨てた…!」

 有無をいわさぬアトモスフィアが廃病院内に満ち、ニンジャぴるす達は息を飲む。(カブキアクターが二人だと…!?このような事態想定してないんですけお…!)プライメイトが心中で呟く。

 「イヨ…」「ケオーッ!」ホワイトパロットのカラテよりも速く、プライメイトが掲げたジェールズから漢字サーチライト並の光が溢れ、地下室を塗り潰した!「ヌゥーッ!」「ケオーッ!?」ニンジャぴるすにとってもこれは不意の行動であった。

 「主は申された、逃げた方が良い時もある!君たちは命の限り彼らと戦ってくだち!さすれば魂は死後救われるんですけお!」光に乗じ、プライメイトは地下室から逃げ出す!「ヌゥ…待て…!」「け…ケオーッ!」追おうとするサルファリックをプリセプターが止める!

 「イヨーッ!」「ケオーッ!?」ホワイトパロットのトビゲリがプリセプターを引き剥がす!「行くのだ!サルファリック=サン!…グワーッ!?」「ケオーッ!」パスハの炎がホワイトパロットを焼く!「父さん!」サルファリックが支援に入ろうとする。だが。

 「…行け!」ホワイトパロットが力強く言い放った。「で…ですが!」「CEOとして、コウライヤの長として、お前のすべき事をせよ!」「…!」一瞬俯き、サルファリックはホワイトパロットへ背を向けて駆け出した。

 「愚かな…一人で死を選んだんですけお?」「バカを言うな、君たち風情など私一人で十分だということだ」「フン…強がりを…」パスハの姿が炎となって空間に消える…その寸前!「イヨォーッ!」SLAAAAASH!ホワイトパロットはナギナタでパスハの炎を切り裂いた!「ケオアバーッ!?」

 「さあ、君たちに見せてやろう、カブキの神髄というものを!」




 「まったく…有り得ぬ…!このような事態想定していないんですけお…!」プライメイトが声を震わせる。「作戦は全て失敗し、本拠地がバレ、敗走をやむなくされるなんて…!」埃の積もる地下を駆ける。この先には地下水路へ繋がる道がある。迷路めいて入り組んだ水路へ入り込めばもはや見つけられまい。

 「始めからやり直しなんですけお…!」プライメイトは駆ける。…その足に何かが纏わり付き、彼は転倒した。「ケオーッ!?」それは無色透明な粘液であった。意志を持ったように動き、足首へと絡み付く。粘液に触れた肌から煙が上がる。危険だ。プライメイトは粘液を散らせようとし、声に気付いた。

 「イヨォォォーッ!」鋭いカブキシャウトが通路に響き、その声は次第に近づいてくる。もはや目前にまで!粘液への対処を優先するか?攻撃に備えるか?彼は自己判断しかね、行動に移ることはできなかった。

 「イヨォォォォーッ!」KABUKRAAAASH!バッファロー殺戮武装鉄道じみた勢いでサルファリックの体がプライメイトへと衝突する!おお…コウライヤ!これぞ暗黒カブキ奥義、トビ・ロッポー!

 「ケオアバーッ!」プライメイトは血を吐きながらくの字に曲がって吹っ飛びながらも、空中で身体制御を取り戻しウケミ着地した。「アバッ…ケオーッ…!」通常のニンジャぴるすであれば5度は爆発四散し得る衝撃を大地へと逃がし、現世に踏みとどまる。…侮りがたし。

 「ケオアバッ…」それでも、最早戦闘継続は不可能。プライメイトが吐血し、たたらを踏む。たった一つの判断遅れで、彼は一対一で十全なカラテを振るう時間も与えられずに死の淵へと落ちた。…ニンジャのイクサの常だ。

 「ぴるす正教会の目的と残党を吐けば楽にカイシャクしてあげよう」サルファリックが優しく、そして無慈悲に告げる。

 「…残党?残党と言ったんですけお?…ハ、ハハハ…!」プライメイトが嗤う。「何が可笑しい」「…残党どころか、我々は所詮枝葉に過ぎないんですけお!これで終わりと思うなかれ!…ピルスワールドオダー!」叫び、奥歯を噛みしめる!何らかの起動スイッチか!

 …だが。「イヨーッ!」プライメイトが何らかの機構を起動させるよりも早く、サルファリックのチョップが閃いた。口惜しげな顔をしたプライメイトの生首が宙を舞う。「…サヨナラ!」プライメイトは爆発四散した。

 「…ぴるす正教会はまだ居る…というのか」サルファリックは呟き、「…父さん!」思い出したようにトビロッポーで駆け抜けた廊下を駆け戻ってゆく。

 「無事ですか父さん!」部屋へとサルファリックが飛び込んだその瞬間。「イヨーッ!」「ケオアバーッ!?」白いナギナタ、デンショウがパスハの胸を貫いた。「…イヨーッ!」ホワイトパロットはデンショウをさらに強く捻じり込む。刃が白く脈動し、パスハの炎を飲み込む。「ケオアバーッ!?馬鹿な!?ケオアバーツ!?」

 「ケオーッ!」「イヨーッ!」インターラプトに入ろうとするプリセプターへともう一つのナギナタ、ベッカクが飛ぶ。「ケオーッ!?」プリセプターは胴体をベッカクに貫かれ、標本めいて壁に縫い付けられた。「ケオ…アバッ…」炎を吸い尽くされ、ミイラめいた姿に成り果てたパスハが床に落ちる。

 そして。「イヨーッ!」デンショウを振りぬくと、パスパの超常の炎が刃となって飛ぶ。「ケオアバッ…」プロキメンの聖なるチャントが途切れた。彼の肩から脇腹へと袈裟状に線が走り、上半身が床へと滑り落ちる。彼は自分に死が訪れたことを理解した。「サヨナラ!」

 「…!」サルファリックは息を飲む。彼らは確かにプライメイトと比べれば劣るニンジャぴるすであった。だが、それでも三対一でここまで圧倒的に…!「…無事、でしたね」

 「戻ったかサルファリック=サン」ホワイトパロットが向き直る。「それでどうだった」「アッ…ハイ。プライメイトは倒しました。けれど情報は聞き出す前に怪しい素振りをしたので処分しました」「そうか」「…それと」

 「奴は気になることを言っていました。我々は枝葉に過ぎない…と」「…そうか」ホワイトパロットは深刻そうに相槌を打った。「あまり…驚かないんですね」サルファリックが問う。

 「奴らがこれで終わりでないことは何となく察していた。ならば早速インタビューしよう。そのために一人…」その時!「…サヨナラ!」壁に貼り付けられていたプリセプターが爆発四散した。

 「…」ホワイトパロットは沈黙し、顎に手をやる。「手加減…しなかったんですか父さん」「いや…手を抜いたはずなんだが…ぴるす君が貧弱すぎたか…?あるいは自死かもしれんね」床にはもはや爆発四散すらできずに死んだパスハのミイラが転がる。

 「…まあ、どうにかするさ」




 廃病院跡地。人も建物も存在しない夜の闇の中、不意に雲の切れ間から顔を覗かせた月が二人のカブキアクターを照らす。

 「父さん…行ってしまうんですか。俺はコウライヤに貴方の為の席を」「ソメゴロ。…いや、もう違ったな。コウシロ」ホワイトパロットが遮る。「私は今でもコウライヤのカブキアクターだと自負している」「なら…!」

 「だからこそ」真面目な声が静まり返った夜闇に響く。「…だからこそ、責務もしがらみも無い私が、得体の知れぬぴるす正教会を探るべきなのだ」「…」真剣なまなざしでサルファリックを見つめる。

 「お前はコウライヤCEO、そして私はいちカブキアクターに過ぎない。私を上手く使え、コウシロ」「…分かり、ました」サルファリックは伏せていた顔を上げ、決意に満ちた目でホワイトパロットを見つめ返した。

 「ホワイトパロット=サン」迷いなき声が響く。「コウライヤのCEOとして、貴方に任務を与えます。…何かを企むぴるす正教会とやらの正体を突き止め、騒乱を未然に防いでください」

 「…うむ、分かった」ホワイトパロットが背を向ける。「…それと、餞別に一つ。プレディクター=サンの占いの結果です。…『スペインへ行くが吉』ということです」「…そうか。ありがとう」

 僅かに振り返り、サルファリックへと笑顔を見せると、ホワイトパロットは高く空へ跳んだ。月の明かりにモノクロのカブキ装束が溶けて混ざる。その姿が完全に消え去るまで、サルファリックは空を見続けた。


【リユニオン・アンド・デパーチャー】終わり



カブキ名鑑

◆歌◆カブキ名鑑#1【ホワイトパロット】◆舞◆
カブキニストはシュウメイ儀式を経てハクオウ、ホワイトパロットへと己の名を改めた。CEOの立場を退き、長期の任務を主にこなす。コウシロの名を失ってもそのカブキは衰えを知らず、さらに鋭く研ぎ澄まされた。


◆歌◆カブキ名鑑#117【プライメイト】◆舞◆
ぴるす正教会のニンジャぴるすであり、ネオサイタマでの教会活動の全権を握る教会内でも高位の存在。カラテ、作戦立案、指揮共に優れているが性格は短気で堪え性がない。


◆歌◆カブキ名鑑#118【プリセプター】◆舞◆
ぴるす正教会のニンジャぴるす。プライメイトとともにネオサイタマへと送り込まれた先兵。有能なニンジャぴるすを地方へと送り込むのには、本拠地から離れた地点に目を向けさせる意図も含まれている。


◆歌◆カブキ名鑑#119【プロキメン】◆舞◆
ぴるす正教会のニンジャぴるす。特殊な聖なるチャントを唱え、火や水、風、雷などを発生させることができるが、精神集中を必要とするためチャントを唱えている最中には無防備となる。

◆歌◆カブキ名鑑#120【パスハ】◆舞◆
ぴるす正教会のニンジャぴるす。己の体自体をカトンの熱エネルギーへと変換し、空気中に溶け込んで空間に潜む。多少の傷であれば霧散し再形成する際に跡も残らず塞がるので油断ならない。


◆歌◆カブキ名鑑#121【ポドリャスニク】◆舞◆
ぴるす正教会のニンジャぴるす。黒い修道ニンジャ装束を纏う。システマ・カラテの使い手。システマ・カラテは旧ソビエト内で生まれた秘密近代武術であり、ソビエトの崩壊後にニンジャの手を離れ世界中へと広まった。




K-FILES

!!! WARNING !!!
K-FILESは原作者コメンタリーや設定資料等を含んでいます。
!!! WARNING !!

プラスでのぴるす正教会編アーカイブ化に伴い書下ろされた新エピソード。CEOとなったサルファリックの焦り、ホワイトパロットの正体、再会とそして旅立ちまでの期間を補完する。


主な登場ニンジャ

プライメイト / Primate:ぴるす正教会のニンジャぴるすであり、首座主教の名を持つ高位存在。ヨセフ・ニンジャクランのレッサーニンジャソウル憑依者。ヨセフ・ニンジャはかつて悠久の時間の中で弟子を取り、己のクランを生み出した時期が存在した。しかし彼自身の性質からクランはそう長くは続かず、ヨセフ・ニンジャクランにはヨセフ・ニンジャ当人を除きレッサーニンジャしか存在しない。


メモ

このエピソードはカブキスレイヤー初の試みとなるプラス限定エピソードだ。(限定と言ってもそもそも完全フリー公開だが。)姿を消していた元コウシロ、元カブキニストがコウライヤと再び接触し、新たな戦いに身を投じるという「新シーズン第一話」といったエピソードであり、本編執筆当時は「ホワイトパロットの名前から皆察するだろう…」という判断で省略された過去を持つ。実際皆彼の存在を察し、正体を明かす話が無いことに疑問を問いかけてくる人はいなかった。しかしアーカイブとして纏めだした今、そこが歯抜けになっているように感じたからこうして書き下ろしたんだ。

このエピソードではあまり語られることの無いホワイトパロットとサルファリックの親子関係にフォーカスが向けられている。正直に言うとサルファリック…特に父と共にいない状態の彼はそのカブキの技なんかはともかく口調やキャラクター性の父との差異を表すのが非常に難しいんだ。彼がモータル設定であったならばまた違うかもしれないが、同じくニンジャでカブキアクターでコウライヤCEOでぴるすの管理者で…とにかく似た演出になってしまう。それを払拭したいという意図…というよりもある種の自分へのリベンジが込められている。

今回のラストシーンで自ら新たな任務に向かったホワイトパロット。ついに彼の活躍舞台は海外へと広がる。…けれどその前にまずはネオサイタマを出ないとね!


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