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『ちむどんどん』第117回 オオタニワタリをとるついでにキスはダメだからさ

 昭和59年(1984年)――やんばるに里帰りした暢子は地元食材の良さを痛感。和彦は父の思いを再確認。そして智と歌子は?

最終盤にやんばるロケ

 もうすぐ終わるところで、豪華なやんばるロケをする本作はうまく作っていると思えます。食べ物を週ごとに使うし登場人物と食べ物の関係もある。今週は智のゆし豆腐だ。

博夫と和彦、立派になった

 博夫は教師として生きている。良子とちがって彼の活動はわからない。けれども日本にいたよい先生を体現しています。時間があるから授業だけでなく、郷土史を学ぶこともある。教養ある市井の人としているわけですね。だからこそ、和彦の父・史彦ノートの価値がわかるわけです。
 
 こういう著名人でないけれども、知識ある人は重要でして。文化財の保護や図書館、生涯学習の充実を下支えしているのはこの層なんですね。家には文学全集や百科事典が揃っていると。
 山田裕貴さんはそういう昭和のインテリをうまく演じていると思います。メガネのフレームも髪型もいいですね。この人、演技がうまい。すごい。

 そしてこういう余裕ある層がいなくなったことが、今の日本の貧しさなのかと思ったり。この世代、この層がいなくなったらどうなっちゃうんだろう。

 和彦も反省会界隈から「ありえないほど無能」と言われていますが、どうでしょうね。子供の寝かしつけをしてライターとしてもしっかり成功している。善人だし有能でしょう。和彦を無能と断言できる方は、そこまで素晴らしい方ばかりなのでしょうか?

智と歌子はどうなる?

 智は暢子への暴走ポロポーズで失敗して、歌子へ思いを寄せるも兄と妹のようになってしまって。そしてふたりで山に行って、歌子がレコードを出すチャンスのことを言い出すわけ。で、そんな歌子を智は心配する。でも心配の仕方が兄のようで、歌子は傷つく。
 智はもう比嘉一家とべったりだからさ。賢秀が騙されたから猜疑心働くようになっているんでしょうね。でも歌子はそれで怒ってしまう。妹扱いに傷ついてしまう。
 そして帰宅が遅れてしまい、二人きりに。

 ベッタベタだな!
 びっくりするくらいクラシックだと思えるけれども、一周回ってこれでいいんじゃないかと思える力がある。

 そして小屋で二人きり、思いの丈を伝えそうでそうできない! 手を重ねてお互いドキドキしているし、キス寸前になるし……そこに善一さんがきてしまうわけさ。

 ただ安心した。同意なしにキスをするのは本作らしくないし。そこはしっかりしている。
 このドラマってロマンチックラブシチュエーションをわざと崩す。海辺で夕日に照らされながらのポロポーズで、智は失敗した。後ろから抱きしめろとアドバイスを受けた賢秀にも、清恵はそこでは断った。
 きっちりと互いの気持ちを確かめ合わないといけない。歌子は病弱だと悩んでいるから、その悩みごと受け止めて智が溶かさないといけない。

 いいドラマですよ。最終週の前でこんなに丁寧に。歌子は今朝も可愛らしかった。智もよかった。明日が楽しみです!

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