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【大洗サンビーチ】スカイランタンに見る砂浜の“新たな未来”

この夏、コロナ禍で「海水浴場閉鎖」というショッキングな事態に見舞われた大洗町。観光の町・海水浴の町として栄えてきた中で、町の産業に与える打撃は非常に大きいものだったと思います。

そんな中、夏に行われ、多くのメディアに取り上げられるなど大反響となった企画が「砂浜図書館」です。

砂浜図書館

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広い大洗サンビーチの砂浜に突如出現した非日常空間は前述の通り話題となり、普段ビーチに来ることの無いような人を呼び込む事にも成功し、新しいビーチ活用の可能性を示しました。

そして先日「秋」開催として、「砂浜図書館」が更にグレードアップして行われ、その一環で行われた「スカイランタン」についてご紹介したいと思います。

【概要は下記参照】

10月31日(土)~11月15日(日)の約2週間「砂浜図書館」が開催された中で、内2日間、夜に行われたのが「スカイランタン」です。

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基本的に街頭がないビーチでは、少しの光でも非常に映えます。会場に向かうメインの通りもシンプルながら「異空間」へ誘います。

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受付のある「津波避難施設(ビーチセンター)」。当たり前ですが、普段は基本何もありません。そんな場所をお洒落に彩る本たちは、大いに異彩を放っています。

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多くの参加者が集まるメイン会場(というかビーチ)に行く途中の案内板。こんな細かな演出も、非常に心くすぐられます。

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砂浜に置かれた「異空間」への入口。上にも上げている普段の姿も中々に変わった光景なのですが、この日は幻想感マシマシでした。

そして18時過ぎに行われたスカイランタンの様子です。この日は若干風があり、あまり高くは飛ばせなかったのですが、それでも「ここは本当に大洗なのか⁉」と純粋に思える幻想的な光景が広がっていました。

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今回の取り組みにおいて、個人的に3つの効果があったと思います。

①「秋の砂浜」に多くの人を集客した事

当たり前ですが、普段の秋の砂浜に人が集まるなんて事はありません。しかし、この日は多くのファミリー・カップルが集まっていました。行った事がある人ならばお分かりいただけると思いますが、大洗サンビーチは砂浜がめちゃくちゃ広いので、ソーシャルディスタンスもバッチリ且つ屋外という事で、コロナ禍に向いているイベントであったと言えます。

それまで「0」だった所に人を呼び込む事が出来た、という事それ自体に大いに価値がある施策だったと思います。夏以外の砂浜は「何もないのが当たり前」な訳ですから、今回の事を受けて、例えば季節に合わせた施策(クリスマスなど)を考える余地が出来た。それだけでも大きな実績です。

②「イベント」の概念を一考出来るきっかけになった事

基本的に「集客イベント」を立案する際、どうしても「お祭り」・「盛り上がる」というような手段を取る事が多くなると思うんです。決してそれ自体を否定するつもりは更々ありません(むしろ早くコロナが落ち着いて、沢山実施されてほしいです)。ただそうではなく、コンセプトがしっかりした形で「雰囲気」を楽しむという類のイベントで集客出来た事は、本当に有意義だったと思います。

ちなみに最後の「スカイランタン」が行われたのは14日の夜、奇しくも本来であれば年間で1番来町者の多いイベント(近年は1日で10万人以上が来町/主催者発表)となる「大洗あんこう祭」の開催予定日の前日でした。今年はコロナ禍で中止になってしまいましたが、仮に大規模なイベントが中止になるような事態になっても、「出来る事はある」という希望にもなったと思います。

③今まで「その時・その場所」に居なかった層を集められた事

①・②とも被る所ではあるのですが、とにかくファミリー・カップルを中心に、年齢が若い層が非常に多かった事は、画期的だったと思います。

大洗町に来る客層は、主に3つに別れていると思います。

・ファミリー:大洗アクアワールドや漁港エリア
・海水浴客(夏)やサーファー:海
・ガルパンのファンの方:商店街

ザックリこの3つに住み分けられると思うのですが、逆に言うとこのカテゴリーを出るようなムーブメントは余り起こっていません。しかし今回、夜の砂浜にこれまで来なかったような層が集まりました。

例えば今回の考察を元に、「夜の海」という考え方でイベントを企画するとして、そうする事により「日帰り」が基本だったファミリー層が「1泊してみようかな」となるかもしれない。何もやらなければ生まれなかった新しい価値観が生まれるのではないかと思います。

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元々大洗町は、海水浴を中心とした「保養」の町として栄えた歴史があり、ある意味「原点回帰」的なイベントでした。結果、多くの気づきを残した、素晴らしいイベントだったと思います。

茨城の海は良くも悪くも「湘南の海」のようなブランド価値は出せないと思います。ただ、砂浜(や町の観光資源)に新しい価値を作るだけ(まあそれがとても難しい事な訳ですが…)で、もしかしたら大洗サンビーチがデートコースの王道になるかもしれない。ファミリーにとって「絶対外さない観光スポット」になるかもしれない。

そんな可能性を抱かずにはいられません。

県が掲げている「ひたちなか大洗リゾート構想」という構想もありますが、いくらインフラを整えても、肝心のコンテンツ(及びコンセプト)がしっかりしないと理想論だけで終わってしまうと思います。そういう意味で、今回の事は非常に良いヒントになったのではないでしょうか。

大洗の海は、「可能性」の塊です。


大洗町と水戸ホーリーホックが好きになりすぎた結果、茨城県大洗町にて新会社「㈱ハイド&ルーク」を創業致しました。町の万事屋として働いていきます。 https://twitter.com/54yuzy