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【日記】 映画『音響ハウス Melody-Go-Round』は珠玉のお仕事モノ作品である。

こんばんは、ハイド&ルークの廣岡です。

本日は、完全に個人的な内容となり恐縮ですが、唐突に「映画を見た」というお話です。

■映画『音響ハウス Melody-Go-Round』

皆さんは「ポストプロダクション」という言葉を耳にした事はありますでしょうか?

ポストプロダクションとは
テレビ番組、CM、映画、PV、VP(アニメーション、ミュージックビデオ)などの『映像コンテンツ』制作工程は、企画・制作・撮影等を行なう「プリプロダクション」と、収録した素材の仕上げを行なう「ポストプロダクション」に分類されます。
ポストプロダクション業務とは、映像の編集や特殊効果、テロップ等の挿入や、映像に合わせ音楽・効果音・ナレーションなどを追加するMA(音声処理作業)を主とし、テレシネ、VFX(ビジュアル・エフェクト)や CG制作等も業務に含まれます。また完成した作品を、放送局、WEB、それぞれのパッケージメディア等の規格に合わせ納品形態を変換する作業もポストプロダクションの重要な仕事のひとつです。
■「一般社団法人 日本ポストプロダクション協会」HPより抜粋
http://www.jppanet.or.jp/annai/annai-1.html

今回の映画は、その名の通りポストプロダクションの一社である「株式会社音響ハウス」に関わる人物を描いた(恐らく)ドキュメンタリー映画です。

なぜいきなりこの映画を見ようと思ったのか、という所をお話致します。

実は、今年他界した私の父は、この「音響ハウス」で、長年社長を務めていたのです。父は、プロパーで入社し、エンジニアを経て社長になったという、息子の私が言うのも変な話ですが、とても凄い人なんです。

父は典型的な「昭和のサラリーマン」でして、平日の帰りは遅く、週末は接待ゴルフ、みたいなタイプの人間でしたが(笑)プロパーで会社入って、その会社の社長になるなんて、少なくとも私の周りには父しかいません。島耕作みたいな事が現実にあるんだな、というのを身を持って見て参りまして、仕事人として純粋に尊敬しておりました。

そんな父が他界した年に、父が文字通り「勤めあげた」この会社の映画が公開されるという事を知り、遅ればせながら見に行ってきた次第です。

詳細は書きませんが、映画のザックリとした内容を説明しますと…

「この映画の主題歌を作る」過程を描いたドキュメンタリー作品です。

音響ハウスを愛してやまないアーティストや技術者のインタビューを交えながら、楽曲作りの過程の中で「ポスプロ」を中心に描くという、今までにはあまり無かったタイプの作品です。

■出演キャストが凄い
高橋幸宏さん、坂本龍一さん、矢野顕子さん、佐野元春さん、松任谷正隆さん、松任谷由美さん、葉加瀬太郎さん、大貫妙子さん etc...

私が知っているだけでも、上記の方々が「音響ハウス」の思い出や素晴らしさを語っているんですよ。

また、主題歌「Melody-Go-Round」には、Drumsに高橋幸宏さん、Violinに葉加瀬太郎さんなどが参加されていたりして、どちらかというと40歳の私の一世代上の方々歓喜!な内容になっているのではないかなと思います。

「音響ハウスのムービーを撮る」という話の中でこれだけの方が出演されるという事だけでも、変な話ですが、何だか私も誇らしく感じた次第です。

ところで皆さん、小学生くらいの時に「自分の親が何の仕事をしているのか調べましょう!」みたいな宿題が出ませんでしたか?

私もそんな宿題が出た際、父に「仕事はどんな事をしているの?」と聞いた所「あれだ、TV-CMに音を入れたりする作業をしている会社だ」みたいな返答が返ってきた事を覚えています。まあ小学生への返答なので、わかりやすく答えたのだろうと思いますが、今思えばザックリした返答でしたね。

ただこの返答はあながち間違っているという事でもなく、シンプルに仕事の内容を伝えるにはわかりやすかったのかと思います。

時を経て私は前職でアニメーションを製作する会社に勤めておりまして、期せずして多くのポストプロダクションの方々と仕事をさせて頂きました。そこまで深く考えてはいなかったのですが、結果的に父と、ひいては音響ハウスさんと仕事をする機会にも恵まれました。

その上で、もし私が仮にポストプロダクションに勤めていて、子供に上記のような質問を受けた際には、恐らくこう答えると思います。

「ポストプロダクションの仕事は、『音に魔法をかける仕事だ』」と。

私の場合はアニメーションでの関わりでしたが、うまく伝えられないのですが、収録した「音」が、ポスプロの過程を経ると全く別のものに化けるんです。

例えば、同じセリフを2~3回収録したとして、「じゃあ1回目のこの部分と3回目のこの部分を繋げて下さい」なんて相談すると、ものの1~2分であっという間に、全くの違和感なく繋がったりします。(単純な例ですが…)

そりゃプロなんだから当たり前だ、と感じる人もいるかと思うのですが、実際に現場での音響調整に立ち会うと、本当に驚かされることばかりです。

前職でオーケストラコンサートの立ち合いなども何度も経験しまして、素人ながら生の音の素晴らしさ、壮大さなど「ライブでしか味わえない」かけがえのない時間・音もあるのですが、ポスプロの作業に立ち会う事で味わう「音の魔法」は、何とも言えない不思議な感覚を覚えます。

この映画では、そんな魔法の一端を感じる事が出来るのではないかと思います。

【パンフレットは、主題歌CD付きで1,500円でした】

パンフをチラッと読みました所、この映画は元々、音響ハウスさんの企業PR的なショートムービーを作ろうと持ち上がった企画だそうで、自社制作で作られたものです。

自社で作ったからこその魂のこもったこの映画は、

音響ハウスで働く皆さん、及びポストプロダクションに従事するすべての人の誇り

を描いた作品だと思いました。関係ない私も、人生の中でそんなプロフェッショナルな方々と関われたことを誇りに想います。

是非、これから「音楽・映像」業界に関わりたいという若い人に見て欲しい、そのように思いました。

自社制作が故に、公開館数も決して多くないですが、これから公開される劇場もたくさんございますので、この記事を読んでほんの少しでも興味が湧いたという方は、劇場に足を運んで頂ければ幸いです。

【公開劇場】

個人的には、アニメ『ガールズ&パンツァー』でも大変にお世話になりました、「音へのこだわり」という点で最高の劇場である立川のシネマシティさんで公開されるのが素晴らしいと思います!どのスクリーンかはわかりませんが、是非シネマシティの最高の環境で、最高の「音作り」の映画をご覧頂きたいです!(上映期間はまだ未定)

最後に、現社長の高根様、わざわざTwitterアカウントを開設して下さり、父が生前この映画を見た事を教えて頂き、ありがとうございました。

そして、音響ハウスさまは勿論、Q-tecさま、ソニーPCLさま、アオイスタジオさまを始め、私の人生で関わりのあったすべてのポストプロダクションに、心より敬意と感謝を申し上げます。

Blu-ray、出て欲しいなあ。

大洗町と水戸ホーリーホックが好きになりすぎた結果、茨城県大洗町にて新会社「㈱ハイド&ルーク」を創業致しました。町の万事屋として働いていきます。 https://twitter.com/54yuzy