この世界の片隅に_1

73回目の終戦記念日

私は広島生まれで、幼い頃から当たり前のように
戦争のこと、原爆のことを学んできました。

8月6日は、もちろん夏休み中。
ですが、私が小学生のころは必ず登校日で
原爆が落とされた8時15分になると、全校生徒で黙祷をしていました。
広島ではこの日の、この時間は、みんなが手を止めて、
黙祷を捧げます。

戦争で亡くなられたすべての方へ想いを馳せ
追善と共に、一日も早くこの世界から戦争がなくなるようにと。

広島平和記念公園の慰霊碑前で、毎年式典が行われ
慰霊碑から「平和の灯(へいわのともしび)」がのぞく。
この灯は、世界中の核兵器が無くなり、
平和が実現した時に消されるという。

73年たった今も、この灯が消えないのは
今だに核兵器がなくならないのと、
戦争で大切な人を亡くされた方が
今も後を絶たないから。

そして、今も、
戦争で大切な人を亡くした方の
心が癒えないからだとも思います。

今から13年前、終戦から60年。
友人と一緒に旧日本銀行広島支店の跡地で平和に関する催しものをしたことがありました。
この日銀跡地は、爆心地から380mのところに建つ被爆建物。
2005年の終戦60周年から、
たまたま建物の前を通っていた高齢のご婦人が、
小学生くらいのお子さんを連れて、会場に入ってきてくれました。

中をぐるっと見た後、ちょうど七夕目前だったこともあって
来場者に短冊に願い事を書いてもらっていたので、声をかけました。
色々と世間話をしていると、

「戦争で息子を亡くしてね...。戦争が終わった今も、平和公園とか戦争に関する場所に行けなかったの」

その言葉に胸が苦しくなった。
よく、身近なおじいちゃん、おばあちゃんに戦争の体験を聞くことがあって、みんな当時の様子をお話してくれていたけれど、
“戦争に関する場所に行けない”と聞いたのは、その時が初めてだった。

60年経とうが、この方の中で今も戦争は終わっていないのだ。

帰り際に、「初めて、こういった建物にきたんだけど、今度平和公園にも行ってみようと思うわ」
そういって、会場を後にした。

あれから、ご婦人は平和公園にいけただろうか。
毎年、この時期になると、あのご婦人のことを思い出します。
戦争はまだ無くならないけれど、少しでも心が癒えていてくれればと思う。

戦争といっても、武器や核兵器を使うことだけではないと思う。
こう言うと、大げさかもしれないけれど、
自分の身の周りにある、いじめや相手を軽んじるような事だったり、人を人を思えなくなることが、戦争に繋がっていくのだと思う。

インターネットやSNSで相手がより見えなくなっている今、この文字の向こう側に生身の人間がいることを忘れないでいようと思う。

終戦の日。
戦争と平和と周りの人を大切にすることに向き合う日にしていきたいと思う。

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