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杉村太蔵直伝・2024年新NISAに向けた投資9つの視点

みなさん、こんにちは55fireです。
私は一昨年55歳でFIRE(早期退職)に成功しました。早期退職、定年退職後の人生設計、生きがいをテーマに情報発信をしています。
今回のテーマなのですが、7月8日に資産運用Expoで実施されたタレント・杉村太蔵氏の講演をベースにしています。
講演のオリジナル・タイトルは「杉村太蔵がわかりやすく徹底解説!2024年新NISAを使いこなそう!」というものです。
講演の最初に、この講演は「撮影可能・録音可能・SNS投稿可能」です、と仰っていたのと、内容がとてもわかりやすかったので記事にしてみました。
FIREを実現するためには、本業の収入アップ、副業の開拓、投資の3本柱が必要です。今回の記事はこれから投資をやってみたいという方へのベストなガイダンスとなると思います。
杉村氏の講演内容に私の見解を加えてお送りしたいと思います。聞き間違いや私の理解不足からくる誤解もあるかもしれませんが、その点はご容赦願います。
杉村氏の講演は新NISAの使い方よりも、彼がどうやって投資の潮目を見つけ、どのように銘柄を選択するのかという点に力点が置かれていました。それが基本に忠実でわかりやすく、投資歴30年の私も反省すべき点が多くありました。新NISAについては概要と現行NISAとの違いに触れるくらいでした。

杉村さんプロフィール

ご存知の通り、元外資系証券会社社員、元衆議院議員で今はタレントをしていろんな番組で活躍されておられます。
その一方で投資家としても活躍しています。
私はこの人の講演に参加するのは2度めなのですが、毎回楽しいお話を聞かせていただいています。次の資産運用Expoでも、彼の講演があれば参加しようと考えています。

この記事で書かれていること

9つの視点は5つのマクロ経済指標、4つが銘柄分析の指標になります。マクロ経済指標では、杉村氏がどうやってお金の流れの潮目を見つけているのかがわかります。
4つの銘柄分析の指標は、一般的なものですが、彼独自のわかりやすい解釈をしているので、それも合わせてご紹介したいと思います。
この記事では9つの視点に加え、講演最後のQ&Aセッション、私個人の新NISA戦略をお話しします。

5つのマクロ経済指標

① 首相の所信表明・施政方針演説、骨太の方針は10年分読みこむ

最初の一つめです。
これを聞いた時、ありゃりゃと思いました。
ふだんから読んでおかないと、YouTubeで全部聞いておかないと、と気にしていました。しかし、実際には出来ておらず新聞やネットの要約で読んだ気になっていました。
これらを読むと日本が国として、何にいくら、いつまでに投資するのかが見えてきます。投資対象を探す時のスタート地点となる情報です。講演を聞いて、先月リリースされたばかりの骨太の方針を読んでみましたが、投資のヒントになることがたくさん書かれています。
10年前のものを見ると、今実現されていることがその当時の表明演説の中に記されていることも多いそうです。
今の時代、簡単に一次情報にアクセスできるので、できるだけマスコミを通さず大元のデータに直接あたることを心がけていましたが、この3つはまだやっていませんでした。
ちなみに、所信表明演説、施政方針演説は組閣時、国会開会時(年2回)に首相によって行われるものです。骨太の方針は毎年6月に「経済財政諮問会議」で発表されます。この内容を見て秋に概算要求、年末に閣議決定、順調にいけば春に予算成立します。
なので、首相の演説で大枠が国民に示され、骨太の方針でそれを明確化、各省庁の予算請求、春までに成立となるわけです。
最初のマイルストーンは首相演説、二つめが骨太の方針、最後に予算成立となるので、この流れをおさえておけば、与野党の議員が何を目的に議論をしているのかを興味を持って見ることができます。

② 金利動向を見る

金利が上がれば、お金は預金や債券市場に流れ、下がればより高い利回りを求めて株式市場に流れます。なので投資家にとって金利は最も重要な指標の一つになります。
金利は中央銀行が市中銀行に貸し付ける公定歩合に連動した名目金利と、名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利の二つがあります。
名目金利が高くてもインフレ率が高ければ実質金利が低下しますから、お金の流れば株式市場に流れます。
現在の実質金利はマイナスですが、実質金利がプラス2%から3%になった時が潮目だとおっしゃっていました。

③ 物価を把握する

物価には消費者が購買する物価と、企業間取引による物価の二つがあります。消費者物価指数は経産省統計局より、企業物価指数は日銀がそれぞれ毎月発表しています。
消費者物価指数は昨年は4%前後、今年に入ってから落ち着きを見せており、3%台前半です。
企業物価指数は昨年は10%前後、今年は5%台になっています。
これらはコロナ禍以後、物価高騰と格闘している欧米の金融当局から見れば羨ましい数字だと思います。欧米の消費者物価は日本の2倍以上になっており、中間層以下の生活を圧迫しています。
消費者物価指数が急激に高まれば購買意欲低下により、企業業績の悪化、株価低迷というシナリオになります。しかし、穏やかなインフレであれば、 価格転嫁に成功した企業業績は上がり、次に賃金の増加に伴う購買の向上、そして株価上昇というシナリオになります。
日本は過去30年間、消費者物価、企業物価が凍結状態になっており、それがデフレの根本原因でした。
私はいつのタイミングでこの大氷河が溶け出すのかを注目しています。

④ GDPデフレーター

私は今までこの言葉の意味を知りませんでした。
この数値は4半期ごとに内閣府が発表するもので、日銀が金融政策を行うための重要な指標です。
簡単にいうとプラスならインフレ、マイナスならデフレです。昨年夏がマイナス−0.5、秋が1.1、今年の冬(1−3月期)が1.3となっており、徐々にインフレに傾いています。
物価指数が上昇しており、明らかにインフレ傾向なのに、なぜ日銀は緩和政策をやめないのか不思議に思いませんか?
この数値が2.0前後になった時に日銀が金利上昇させるのではないかと言われています。次の発表が8月なのでとても注目しています。

⑤ 賃金

当たり前ですが、労働者の賃金が上がれば、購買力が強まり企業業績が向上、株価上昇というシンプルで力強いシナリオが実現されます。
賃金は厚労省が毎月発表しています。
賃金も金利同様、名目賃金と実質賃金があり、名目賃金に物価の影響を加味したものが実質賃金になります。
名目賃金はこの一年上昇していものの、実質賃金は14ヶ月連続で低下しています。これはインフレにより、上昇分が減殺されているためです。
いつのタイミングで実質賃金がプラスに転じるかがポイントになっています。

4つの銘柄分析指標

⑥ PER(株価収益率)

これは投資家にお馴染みの指標で、株価をEPS(一株あたりの純利益)で割った数値で、株価が割高なのか、割安なのかを判断する目安になります。一般的な投資対象としては15−20倍くらいが適切なのではないかと杉村さんはおっしゃっていました。ちなみに現在の日経平均は15倍でバブル時はなんと60倍です。超割高でもバブっていると判断がおかしくなってしまうわけですね。
ちなみに割高・割安の判断と書きましたが、市場から期待されているのか?されていないのか?という判断に使えると杉村さんがおっしゃっていました。一種の人気投票なわけですね。私もその通りだと感じています。

⑦ PBR(株価純資産倍率)

これもお馴染みの数値で、時価総額を純資産で割った数字になります。純資産は、その会社が解散した時の価値と考えることができます。
今、東証が問題にしているのは、かなりの上場企業がPBR1倍割れを起こしている点です。1倍を切っているということは、株主が株を持っているより、解散してもらって資産分割してもらった方が価値が大きいということになります。それではなんのために投資しているのかわからなくなってしまうので、東証が株価上昇策を指導しているところです。
1倍を切っているというのは、その企業に将来性や魅力がないと市場が判断していると考えられます。
以前、調べた時は一倍割れ企業リストに誰でも知っている有力企業が多数含まれていることに驚いたことがあります。

⑧ 流動比率

一年以内に現金化ができる資産と、一年以内に支払い期限が来る負債の比率になります。杉村さんは投資先が流動比率120%以上かどうかをチェックしているそうです。

⑨ ROE(自己資本利益率)

株主が提供した資本でどれだけ稼いでいるかを示す数値で当期純利益を自己資本で割ることにより求められます。資本の効率性を測る数値です。
バフェット氏はROE15%以上の企業に投資しているそうです。
大体10%以上あれば優良企業といえます。

Q and A

講演の最後の方に質疑応答がありました。3つほど取り上げます。
最初の質問は「どの株が上昇しますか?」という質問で杉村氏の回答は「それが分かれば苦労しない(笑)」でした。
株をやっている人なら想定内の回答だと思いますが、初心者の方は「これから何々の株が上がります」などと断言する人には気をつけてください。ほとんどの場合、詐欺師です。
二つめの質問は「銘柄選択のキーは?」という質問でした。この回答がこの講演の中で最も印象に残ったものでした。
回答は、今まで説明した9つの視点はもちろんのこと、最後は自分の息子をその会社に就職させたいかどうかで決めるとのことでした。
これは私も同じ考えです。
投資先の選定には定量的な分析はもちろんですが、最後は投資先の「信用」で決まるのではないかと思います。自分の子供をはじめ身内を安心して預けることのできる企業は信用度MAXと考えていいと思います。
業績が飛び抜けていても、身内をブラック企業や反社と繋がりのある企業、コンプライアンス上問題のある企業に就職させたいと思いません。キチンとルールを守り社会の発展に貢献している企業を選びたいと考えるはずです。
最後の質問は「これから上昇しそうなセクターは?」ということでした。回答は「教育系」、「旅行などインバウンド系」とのことでした。その理由は視点の①で説明した政府発表資料に国家として力を入れていくことが明記されているからだとのことでした。確かにリスキリングという言葉を最近聞くようになりましたよね。

2024年新NISAへ向けてのアドバイス

最後に私からNISAに向けてのアドバイスを記載します。
投資経験豊富な方と、投資初心者の方それぞれにアドバイスしたいと思います。
経験豊富な方向けなのですが、制度自体がシンプルなので、通常の投資の延長線上と考えればいいと思います。今まで一般口座、一般NISA、特定口座で売買していたのものを新NISAの年間枠360万まで買えばいいだけです。最大限度額が決まっている、他の口座との損益通算ができないため、頻繁に売買するのではなく、長期・分散・積立を前提とした購入をすればいいと思います。
私は、つみたて投資枠はインデックスファンドの毎月積立で埋める(年間枠が120万ですから毎月10万になります)ことを考えています。
成長投資枠は二分割し、一つはすでに特定口座で持っている株を売却し、新NISAで買い戻すのに使おうと思います。売却時に利確するため一度納税が発生しますが、買い戻し後にどれだけ上昇しても非課税になるのがメリットです。もう一つは新規購入に使いたいと考えています。
これから投資初心者の方々へのアドバイスとしては、

  • わからないことはやらない

  • 生活防衛資金に手をつけない

  • 一度に資金を投入しない
    を守っていただくのがいいと思います。特に定年近くまで全く投資経験のない人は気をつけてください。金融機関にとってみれば今回の仕組みは絶好のビジネスチャンスです。鵜の目鷹の目でセールスしてくると思います。ただ、彼らがセールスする目的と皆さんが新NISAを活用する目的は一致していません。
    私のおすすめは、当初はつみたて投資枠のみを使って投資に慣れていただくことです。無理して年間限度枠を使い切る必要はありません。自分の気持ちの負担にならない額を毎月積み立てることを第一歩にしてください。何年か経って慣れてきたら成長投資枠を使ってみるという時間感覚でいいと思います。

以上、今回は杉村氏の講演と私の新NISAに関するガイドラインをお届けしました。少しでもお役に立てれば幸いです。

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