見出し画像

ムルソーの中也について(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。

頂いたお題はこちら:

今回は2件のお題にまとめて回答させて頂きます。
1件目:

水底に漾ふの1ページ目、中也の息が上がっているコマがなんとなく引っかかったので意見をお聞かせ願いたいです。
最初はドス側が警備を正面から突破していっていることの証左としてのコマと見ていたのですが、初手で圧倒的戦力差でもって蹂躙してたところを見るに違う意図がありそうだなと感じました。
・中也が『そこそこ強い敵』との『連戦』というだけであそこまで疲弊するものなのか、していたとして、わざわざそのコマを持ってくる必要があるのか(プレイヤーはあくまでドストエフスキーと太宰なので)。
→中也にフォーカスを充てる必要がある
→吸血鬼化と「中原中也」という制御式がコンフリクトして異常をおこしている?
と深読みしてますが、ものあしさんはどう思いますか?
文章まとまっていなくて分かりづらかったらすみません。

2件目:
いつもものあしさんの考察を楽しく読ませていただいております。
文スト101話のラスト、太宰さんが「グッド・バイ」と言うところについてです。
このグッド・バイが双黒の作戦コードではないか?という考察を最近見かけてとても感動しています。
どう思われますか?もう既に触れておりましたらすみません、自分の見落としです……。


お題を頂きありがとうございます!

実は中也に関連するお題が立て続けに4本入っておりまして、皆様がどれだけ中也のことを気にかけ愛しているか、お題からもひしひしと伝わってきます。
完全無欠な上に女子たちからこんなにも愛されてるなんて...ほんと嫉妬しちゃうぜ中也くんっ。

さて、お題の内容ですが...皆様も気になりますよね...というか今文ストで1番気になることといえば中也なのでは?と思うくらい。
ということで、どこまで攻め込めるかわかりませんが、色々な可能性について考えてみたいと思います〜。

■中也の息が上がっている理由

中也の息が上がっているように見えますよね...とても違和感あります。お題主様の言うように中也にとってはこんな警備員たち、息一つ乱すことなく倒せるはず。
それでもこれだけ息が上がっているのにはやはり疲労以外の理由があるように感じられますね。
ということで考えられる理由をいくつか並べてみました。

①人格式とコンフリクトを起こしている
お題主様のこのアイデアとても興味深いです。
荒覇吐を封印するための文字式として、中也の脳には人格式が組み込まれているわけですが、吸血種化はそれを乗っ取って中也の人格式の代わりに彼の身体と異能を動かしていることになります。
その際、通常の人間の精神とは違って人格式は揺らぎのない強固なものであるために、吸血種化の異能のほうが弱く人格式に弾き返されそうになっているというのは可能性としてあるように思います。
魂と精神と人格式のそれぞれのパワーバランスがどうなっているのか見極めるのがなかなか難しいところですが、魂と精神は揺らぐことがあっても人格式はプログラムなので固定されているような感じですかね。なので強さという意味ではなんだか上のような気も。
人格式に押し負けて吸血種化が解けそうになっている過程で息が上がっている、という見方はできそうです。

問題は、なぜここに来て急に?という点になりますが、吸血種化を弾き返す反発力は、中也が意思に反した行動を取るよう強要されればされるほど強く働くものだったりするのかもしれませんね。
本当は殺したいはずのドストエフスキーを面前にしているにも関わらず、警備員ばかり殺さなければならない状況が重なったことで、反発力が臨界点に達した、みたいな。
息が上がっている描写は中也の持つ強靱なメンタリティの証左であるともいえます。
お題主様のこの説、とても好きです。

②対異能性の壁には異能や力を吸う力がある
これは101話が本誌で出た直後にTwitterでお見かけした考察がネタ元なのですが(どなたが言及されていたのか思い出せず...ネタ元様、無断ですみません)、中也がパンチを入れている対異能性の壁には力を吸い取ってしまう機能があるという説ですね。それにより相当のエネルギー量を消費させられていて、それで疲れているのでは?という可能性も考えられます。
対異能性の素材にどれほど柔軟に機能を持たせることができるのか、どんな技術なのか、詳しいことはなにもわかっていないのですが、ムルソーという監獄の中において壁に攻撃を仕掛けてくるやつにいいやつなんていないので、攻撃するやつはみんな無力にしてやるー!っていう考えに基づいて力を吸い取っちゃう素材が使われてたら割と合理的だし面白いなぁと思ってしまいます。

③中也の〇〇〇〇の影響
本誌最新106話の感想に眷属化を解く可能性のあるもう一つの理由を書いていますので、本誌派の方はどうぞ(【本誌106話】感想&考察

■グッドバイ♪は作戦コードなのか

さて、ここからはもう一つのお題です。
これも101話が出た直後にTwitter上で大盛り上がりを見せていたと記憶してますが、太宰治は『グッドバイ』という作品を書いていることから、別れの挨拶に見せかけて実は作戦コードなのでは?という意見は結構挙がっていたと思います。
私もその時に、なるほど~!と感心しました。
これを検証するにあたって気になる点は二つあって、どちらも単純な問いなのですが、①作戦コードなのだとしたら、中也の吸血種化が解けていることを太宰はどうやって知ったのか、②作戦コードなのだとしたら具体的にどういう作戦なのか、ということです。
ひとつずつ手元にある情報を並べながら、こねくり回してみようと思います。

①太宰はなぜ中也の眷属化が解けていると考えたのか
考えられる理由は大きく二つ。
1. 太宰自身が中也の眷属化を解いたから
2. 太宰が中也の中にあるポテンシャルを信じたから
太宰は時間停止している間、止まっている時間の長さによっては中也のもとを訪れるチャンスもあったのかもしれません。そこで直接中也に会いに行き、触れて眷属化を解いたのなら、眷属化が解けていることを知っているのはある意味当然なのかも。
しかし、本誌で「中也はここから斃す」だった台詞が単行本で「中也は対面せずに斃す」という台詞に変更されていて、対面していないことを強調してきているので、太宰は中也のもとには行っていないという見方も。

だとすると、もう一つの「中也の中にあるポテンシャルを信じたから」という可能性の方が高いような気がします。人格式とのコンフリクトでも書いたように、中也の内側にある力によって眷属化が解かれるだろうと太宰が読んでいたからこそ、作戦コードを口にしたというのもあり得そうです。

しかしここで何より気になるのは、中也の眷属化が解けているのだとしたら、なぜ中也はすぐに反撃せず、ドスくんに黙ってついて行っているのか、というところなので次の話に移りたいと思います。

②作戦コードなのだとしたら具体的にどういう作戦なのか
正直ね、これが難なく想像できたら苦労しないのですよ。ということで私も全然まったくさっぱりわからないので、いくつかの前提条件からざっくりと雰囲気だけ割り出してみようと思います。

・双黒の象徴的な絆の場面を回想している=何かのターニングポイントとなる可能性
・厭な手札という台詞=中也は死なない、共闘の可能性
・帽子を被ってきている=汚濁の発動準備を整えてある
・Twitterで「双黒の作戦コードには中也の作品名しか使われたことがなく太宰の作品名は初めてだ」という考察をお見掛けした

これらから想像できることのひとつに「今までの双黒のかたちとは少し違う双黒のかたちへと変化する可能性」があるのかもしれません。
あれほどの回想を見せてくるからには何かの転機になるような気がしてしまいますし、また作戦コードもいつもと違うのなら「これまでと違う」というそのこと自体に何か意味があるのでは?と疑ってしまいます。

もうひとつは太宰さんの「厭な手札」という台詞からの連想ゲームですね。中也を7年間ずっと殺したかった人にとって「厭な手札」になるのが何なのかと考えると、まず中也を殺したいのに殺せないから厭なのと、場合によっては中也と共闘したり中也に助けてもらうor中也を助けに行くという必要性が生じる手札だから厭なんじゃないかと思うので、そういう方向性に動くのかな?と期待してしまいます。

前提条件のところには書いてないですが、森さんからそういう指示をされているからドスくんに従っている、という可能性ももちろんあると思います。

今のところ開示されている情報から私が連想できるのはこれくらいで、ドスくんにだんまりついて行っている中也が本当に怪しさ満点なので、このあと何が起こってもおかしくはない、という覚悟と心の準備だけはしておきましょう。

■ちょっと気になる怖いシナリオ

※ここから先は相当過激なことを書いているので、閲覧は自己責任でお願い致します。地獄が平気な方だけどうぞ。

個人的に恐れていることは、ドスくんが牧神の異能金属を隠し持っているケースです。牧神が所属していた組織の名は「革命の五月」、構成員は一人でした。組織名に五があり、ストブリにはそこが「ネズミの穴蔵」だと書かれていますので、ドスくんと牧神がつながっていた可能性はそれなりに高い気がします。
牧神の異能金属はランボオが発生装置を破壊し、牧神が死んだことからもうどこにも存在していない、と考えることもできますが、Nが持っていた異能金属はどこからきたのか?ドスくんは事前にいくらか搔っ攫っておくことができるのではないか?ということを考えると、まだ危険性があるように思います。

中也もヴェルレエヌと同じように、異能金属によって操ることができるのか、荒覇吐が異能金属を吸うと完全顕現体が現れるのか、そのあたりの仕組みはよくわかりませんが、万が一ドイツの諜報筋から日本へ特異点生命体の作り方の情報を流したのがドスくんなのだとしたら、中也の誕生はもともとドスくんの手の内に収められている出来事でありドスくんの計画の一部であるという可能性も浮上します。
だとすると、ドスくんと中也の邂逅は、ドスくんが長い間ずっと準備してきたことであり、当然中也の対策も万全にしてあると考えるのが自然です。
そうでなければ、中也を選ぶなんてことはリスクが高すぎて普通できやしません。だとしたら中也がムルソーでいくら反撃しようと攻撃は効かず無意味だという可能性もあります。

荒覇吐は15年前に旧国防軍の研究施設で生まれた人工異能生命体であり、試作品・甲258番であるところまでは明かされていますが、荒覇吐を造った経緯やその目的などはまだ明かされていません。それと同様にヴェルレエヌも牧神によって生み出されたとは明かされていますが、なぜこのような生命体を生み出す必要があったのか、何を目指して造られたものなのかが明かされていません。ドスくんと中也がもしこれから時間をともにするのならば、話はその明かされていない経緯や目的の方に焦点が移っていくかもしれず、それは言い換えれば、中也が自分自身の真実について知るための旅路になるということでもあるのではないでしょうか。

と、あんまり過激な妄想ばかり披露するのもよくないので、こういう可能性もあるかもよ?ということにしてこの辺で終わりにしようと思います。

お題を頂き、ありがとうございました!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?