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『太宰を拾った日』過去の考察整理

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※太宰を拾った日のネタバレを含みます。

待望の!文庫化!!

ということで、これまでに書いた考察の内容を一足先にまとめておきます。
あちこちに散らばっててちゃんとした感想考察を書いていなかったことに今更気付きました。
時間ができたときに改めて、文庫版の感想を書きます。

以下の内容は劇場特典の内容をベースにしていますので、文庫版の加筆修正は反映されておりません。

1.太宰と織田の概略年表

とりあえず年表の整理から。合ってるかどうかは自信ない。というより誕生日とか勘案してないのでおおまかな目安です。


2.「太宰を拾った日」発生前後の時系列

太宰と織田の二人が出会ったのはストブリ後。
Side-Aに「秋の日」「金木犀の香り」という描写があるので間違いなく秋でしょう。金木犀は9月~10月に開花し香りを漂わせます。
太宰を拾った日には「ノウゼンカズラ」の描写があり、ノウゼンカズラの開花時期は7月~9月ごろなので、ノウゼンカズラと金木犀の開花が被る可能性のある9月~10月上旬ごろが妥当かなと考えています。

二人が出会ったこの時期にはすでに龍頭抗争が勃発していたと思われます。龍頭抗争の初期にはマフィアは被害を最小限に留めた(=ほぼ関わっていない)ようなので、龍頭抗争の初期に出会っていたとしても違和感はなさそうです。

3.気になる言葉「語り得ぬものは…」

キャラ同士が合言葉みたいにして言う言葉っていいですよね…

太宰「語り得ない事については」  
織田「沈黙しなければならない、か」

『太宰を拾った日Side-A 』

なんやねん。知識人か。かっこよすぎるわ。と思ってこの言葉の意味、調べたことあります。
この言葉、オーストリアの哲学者であるヴィトゲンシュタインの名言だそうです。

言語の限界はすなわち思考の限界。
言葉で語れないものは思考の外側にある「なにか」。語れないからといって存在しないわけではない。だが思考という領域の外に存在するものなので説明することもできない。
そういうものは神と同じように神聖なものであって、敬意を払って沈黙すべきだ。
そういう意味らしいです。

ルパンを中心に繰り広げられる関係性・心情、そういったものはすべて「言葉では語りえない何か」として敬意をもって沈黙すべきである、ということなのかもしれないですね。
そして太宰が死を望む理由のうち「語りえない何か」は、別の「語りえない何か」によって払拭されていく。
たった一言ですがとても印象深い台詞です。

4.空っぽの太宰

Side-AとSide-Bを対比させながら読むことで色んな気付きが得られる『太宰を拾った日』。
太宰さんの心の中身がAとBでは違っていました。
Aの太宰さんはストブリから地続きになっていて、心の中は漆黒の闇で埋め尽くされていました。
だけどBの太宰さんの心は「がらんどう」なんだそうです。
漆黒の闇とがらんどう、この二つは似て非なるもの。
トイレ事情に絡めて、太宰さんの心についてちょっとばかし考察を書いていますので、ご興味ある方はこちらの記事もよろしければ。

5.怪しい組織

『太宰を拾った日』に出てくる組織「48」。元警察関係者で構成された犯罪組織で、使用する言葉に警官だった頃の名残が混ざっているそうです。
正義を為してもささやかな収入しか得られない屈辱、そのような社会システムを作った為政者への恨み、そういうのが活動の動機らしい。
48が得意とする犯罪は「証拠の抹消」「犯罪記録の書き換え」。このあたり、七號機関との繋がりを連想させますね。七號機関は政府が犯した犯罪の隠蔽と洗浄を専門とした犯罪組織でした。
48が為政者への恨みを持っているあたりは五衰ともなんだか近しい。
ということで、こういうことなのでは?というのが私の今のところの見解です。

天人五衰にも七號機関にもぴったり寄り添うよんぱち。
三田村さんもこの界隈の人っぽいよね。下衆さが似ている。

フランスにも「革命の五月」やら「七人の裏切り者」といった5と7の数字を司る組織がありますので、いろんな国に5と7はその触手を広げているという可能性も。

6.偽札の謎

Side-Aの太宰は札束を持っているが、Side-Bの太宰は札束を持っていない。もはや間違い探しと化す『太宰を拾った日』。どうでもいいようなちょっと気になるような絶妙な違い。
偽札という言葉からピアノマンを連想させますよね。

彼(ピアノマン)はこの横浜でほぼ唯一、本物と同精度の偽札、〝完全偽札〟を製造することができる。

文豪ストレイドッグスSTORM BRINGER

Side-Aではピアノマンは残念ながら亡くなっています。そんなピアノマンの代わりとなって太宰が関連の業務を担うことになったから、Side-Aでは太宰が札束を握りしめているのでしょうか。反対にSide-Bではピアノマンが引き続き業務を担っているという可能性も。
だとしたら、B軸ではストブリが起こっていないか、起こっていたとしてもヴェルレエヌの暗殺標的が異なるのかもしれない、そんな想像が膨らみます。
銀幕BEASTを見る限り、中也が荒覇吐を使ったのは龍頭抗争での対澁澤戦が初めてだったっぽいので、B軸のストブリではヴェルレエヌのギーヴルと荒覇吐は対決していないと思われます。

本編のストブリでは暗殺標的を太宰が選んでいましたが、もしかしたらB軸では、太宰が選んだ暗殺標的ではなく、ヴェルレエヌがもともと計画していた暗殺標的たちが殺害されたのかもしれませんね。

未だ明かされていないBEAST世界のストブリを紐解くきっかけとなる、ささやかながら重要な情報だったのではないかなと思います。


一旦おわり。

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