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激渋の湯めぐりツアー②♨️庄川『湯谷温泉』〜金沢『深谷温泉元湯石屋』

鄙びた温泉好きの秋野あき子です。

2023/11/27に、富山県から石川県をまたぐ日帰りの湯めぐりツアーを敢行しました。

庄川『湯谷温泉』〜金沢『深谷温泉』を巡るツアー

今回もまた車旅。
前回の激渋湯めぐりツアーでは、庄川『湯谷温泉』であまりのんびりできなかったので、リベンジをかねてまたまた行って参りました。せっかくなので、富山から金沢に帰りがてら、地元で歴史ある旅館『元湯石屋』で日帰り温泉を楽しもうと思います。

深谷温泉『元湯石屋』
金沢の奥、富山県と県境にある


一温泉目 : 庄川『湯谷温泉』

まず向かったのは、富山県砺波市庄川にある『湯谷温泉旅館』です。
この湯谷温泉旅館は秘湯マニア大絶賛の湯ということで一部ファンの間では有名。なんといっても見た目のインパクトが凄く「廃墟の底に沈む温泉」「バズーカ砲」「衝撃風呂」「いろんな意味で怖い」など気になるワードがネット上で散見されます。前回の激渋湯めぐりツアーでは最後に訪れましたが、今回はリベンジなのでそれはもう真っ先に向かいます。

金沢からは車で40分ほどで着く

紅葉も終わりを迎える晩秋の晴れた平日を狙い、愛車を走らせます。どんだけ温泉一人占めを楽しみたいんや…。

ポツンと一看板
おお!?先客はいなさそう!
このポストの奥に坂道が続く
やはり足首に厳しい坂道
振り返るとこんな景色
青い空に赤いポストがなんとも可愛い
晩秋とはいえまだまだ紅葉は楽しめる
土木の現場監督の方へ
この傾斜いったい何度なんです?
エモーショナルオブザイヤー受賞

相変わらず良い渋み出してます。
玄関をくぐると、誰の靴もなくスリッパが並べられていました。
ガラス越しの受付からラジオが漏れ聞こえてきます。おかみさんらしき女性がこっくりこっくり船を漕いでいました。平和だ…なんて平和な光景なんだ。
客の存在に気付いたおかみさんが顔をあげ「今誰もお客さんいませんよ、ごゆっくり」とにっこり微笑みました。

んんっ!?猫ちゃんっ猫ちゃんっ!?
と思ったらまさかのぬいぐるみ
天国への道か?
窓の向こうに小牧ダムが見える
大好きレトロな鏡
現場ネコの階段キター
前回は気がつかなかった、突き当たりにある矢印のマーク
左横にあるコンマが意味深
やはり扇マークで優遇される女性
脱衣所(女)
脱衣所(男)

このロッカーって、コンクリの壁をくり抜いて板を張ったんでしょうか?とても収納上手な脱衣所だと思いました笑 狭い空間に一切の無駄がありません。荷物を置く、服を脱ぐ、風呂場に行く、その動線を実にシンプルに導いてくれます。

あかり取りの窓
イカロスになった気分…ロウで翼作るか
ドドドドドドドド……
階段までせり上がるお湯
ちょwww凄まじいな!

バズーカ砲の存在感たるや!
最初は誰もいないせいか、バズーカは水平にセットされており、定期的に泡の粒を水中で発射させるだけで静かでした。ところがバズーカを女風呂側に傾けるとこの勢い!そして轟音。

これが
こうじゃああ!!!
バズーカ君を一旦黙らせて静かにしているとこの透明度
しばらくすると炭酸の気泡がびっしりつきます
深い所は立って浸かる
寝そべられる深さの段もあります

お湯の温度は体感38〜39度くらいでしょうか。ずっと浸かっていられます。密閉された空間なのでまとわりつく湿気が生ぬるく寒さは感じませんでした。ただ、コンクリートの建物なので、これからが本番の冬は寒くて長湯はできないかもしれませんね。
ほんのり漂う卵臭、とろっとまろやかな湯ざわり、そしてこの廃墟のようなロケーション。あまりにも非現実的すぎて本当に唯一無二の面白い温泉ですね。

なんの穴だろう…
ホラーゲームに出てきそう(サ○レントヒルとか)
前衛的な絵画かな笑
あああ〜この光が漏れる感じがラピュタですわ

30分ほど浸かって、漂って、バズーカ打って、楽しみました。身体もいい具合にほかほかしてきたので上がることにします。

最後にバズーカ君に挨拶を。

どうも
ありがとおおおお!!!!

面白すぎました。
この廃墟のおどろおどろしさと、バズーカ君のアミューズメント要素がたまらなくマッチしています。

再び現場ネコ階段を登る
なんとなく異世界と現実世界を結ぶ階段のように思えてきた
万が一ダムが決壊したら…この温泉はどうなるのだろう
煮しまった温泉成分表
歴史を感じさせる
そしてまた鬼の坂道へ

入湯料500円でこの満足感。ロケーションのインパクトはもちろんですが、泉質も素晴らしい。一度訪れたら病みつきになるのも納得です。

秘湯マニアお墨付きの庄川『湯谷温泉』、何度でも訪れたいです。


休憩 : 庄川水記念公園を散歩

湯谷温泉から車で5分程の距離に『庄川水記念公園』があります。

湯谷温泉旅館から庄川水記念公園へ

前回、湯谷温泉以外は何も下調べせず、この庄川水記念公園の前を通過したのですが、庄川沿いに遊歩道がありちょっとしたカフェや美術館もあり、なかなか楽しめそうなスポットに思えたので今回立ち寄ることにしました。

前回は柚子祭りが開催されていた
庄川は柚子の名産地のようです
湯上がりの火照った身体に柚子ジュースが染み渡る

庄川渓遊覧船というのがあります。船でしか行けない温泉『大牧温泉』が有名で、大牧温泉コースとそこまでは行かない中間地点までの遊覧コースがあります。遊覧船も乗ってみたかったのですが、この後に控えている『元湯石屋』もじっくり楽しみたいので今回は散歩に留めておきました。

エメラルドグリーンの美しい川
白いつぶつぶは鴨です
桃源郷への橋?
石畳の階段
素晴らしい密度!

今年の紅葉は遅く始まり長く続いているようですね。もう11月末ですが、まだまだ紅葉が美しかったです。

ジョギングしている人も多い
勾配が多いので良いトレーニングになるのかも
「そうだ、庄川へ行こう」
♪いい日旅立ち

遊歩道には赤い桟橋があったり、飛び石階段があったり、不思議なオブジェがあったりして飽きのこない楽しい散歩ができました。端から端まで歩いて往復して20〜30分程度でしょうか。わんちゃんの散歩をしたりジョギングしたり、ベンチでコーヒーを沸かして飲んだりと、地元の方々の憩いの場でもあるようです。

「庄川ウッドプラザ」では木製品の雑貨やお土産の販売や、軽食も楽しめます。ウッドプラザのすぐ近くに足湯があり、ソフトクリームを食べながら足湯を楽しむご夫婦の姿も見えました。欲張りさんめ笑


二温泉目 : 金沢『深谷温泉』

庄川水記念公園から石川県金沢市深谷町の深谷温泉『元湯石屋』へと向かいます。

庄川水記念公園から深谷温泉へ

石川県は能登の和倉温泉、加賀の山中・山代(やましろ)・片山津(かたやまづ)・粟津(あわづ)温泉、金沢の奥座敷・湯涌温泉などが有名ですが、この深谷温泉は地元民には言わずと知れた名湯です。江戸時代創業、加賀藩お墨付きの湯宿であり歴史深く格式高い旅館で、日帰り温泉の値段も1000円とお高め。なんとこの宿には能舞台があり、能の定期公演が開催されているのです。

あまりにも地元すぎてノーマークだったのですが、金沢の中心地からは少し離れ、富山県の県境にあり、メジャーな温泉スポットとは一線を画す温泉。日帰り温泉には過去2回ほど来たことがありますが、改めて馳せ参じようと思った次第。

赤茶けた山間の集落を走ってたどり着く
深谷温泉『元湯石屋』
THE ニッポン
渋い
2回もようこそされて嬉しい
格子戸の規則正しさに背筋が伸びる
受付
奥に見える棚や机などもレトロ
アンティーク調なベル
めっちゃジリジリ鳴ります
未だかつて旅館で『能舞台』の文字は見たことがない

館内は館主がコレクションしてきた美術品が至る所に展示されており美術館のようです。館内を巡るだけでも一見の価値ありです。温泉と美術館を兼ねていると思えば1000円でも安いかもしれませんね。

へt…味のある文字
この『天保蔵』という客間がこの宿で一番格式高い部屋だそう

温泉は離れの方へと進んでたどり着きます。

男湯
女湯

ラッキーなことに、他の日帰り客が入浴を終えて帰っていくところで、ここでも温泉を独り占めして楽しむことができました。

充実の脱衣カゴ
清潔感あふれる洗面台
収納ボックスも木材で統一され非常におしゃれで上品
大浴場
洗い場スペースは全部で10箇所ほどある
珈琲色のモール泉
化粧水にどっぷり浸かっているかのようなとろみと滑らかさ
ほんのり泥のような草木のようなにおい
マイルドでコクがある昆布のような味(※個人の感想です)
わーいお子ちゃまスペースだぁ
と思ったら水風呂ッッ
露天風呂
全面ガラス張りなので露天というよりテラス風呂
露天風呂の天井
柱から温泉が湧き出ている??
不思議な構造
熱い湯がここから溢れている

湯加減の体感は40〜41度。長湯できるくらいの熱さです。なんといってもこの茶褐色のお湯がまったりこっくりしていて、許されるなら潜って全身で味わい尽くしたいくらいリッチな泉質です。

温泉の成分表
モール泉とは
(公式ホームページより引用)

温泉に濁りや色味があるだけで、なんとなく身体に良い気がしませんか。もちろん、庄川の湯谷温泉のような無色透明な温泉も魅力的ですが。あちらは炭酸泉だったので、まったく異なった泉質を楽しめて実にリフレッシュできました。

風呂上がりに能楽堂を見学させてもらいました。

大正時代から続く総檜造りの能楽堂
能の舞台をこうして観覧できるそう

金沢市の中学生は、兼六園のすぐそばにある石川県立能楽堂へ能楽観覧に行く課外授業があります。中学生の時に見た能は、申し訳ないくらいさっぱりわからず、その後に見た狂言の方が子供ながらに面白かったという記憶があります。
いい大人になった今、能を見れば、もしかしてその魅力に気付けるのかもしれません…この舞台を見るだけでもなんだか高尚な気分になれました。年に一回の定期公演、見に行きたくなりました、近いし。

ちなみに館内にも新しめの能楽堂があります。

こちらは、館内の従業員の方に「どうぞ奥の方まで上がってご覧下さい」と言われましたが、恐れ多くて少し近づくのが精一杯でした。

この能舞台のそばの大広間は、普段は屏風で仕切られ宴会場として使われるらしいです。なんて贅沢なんでしょう。

めっちゃ可愛い屏風があった
わんちゃんわんちゃん…欲しい
木彫り?の獅子頭

従業員の方に「最近では外国の団体さんが、あえてこういう宿を探してやってくるんですよ」と教えて頂きました。世界中でザ・ジャポンを探し求めているんですね。
宿泊して日本の伝統芸能に触れる施設もなかなか珍しいと思います。

女性トイレのドア
男性トイレのドア

いちいち可愛い。

実に金沢らしい旅館ですね。伝統芸能、美術、そして温泉。宿泊すれば金沢の食も楽しめるのでしょう。
あまりにも地元すぎて、宿泊という手段は私の中にはありませんが、金沢のメジャーな観光スポットに行き飽きた人は、元湯石屋に宿泊してみてはいかがでしょうか。

最後に珈琲を頂く

今回は鄙びた温泉と鄙びていない温泉のツアーとなりました。どちらも甲乙つけがたい、魅力に溢れた温泉。泉質も施設も個性的でした。

秘湯感満載の温泉
①富山県砺波市 庄川温泉『湯谷温泉旅館』

金沢らしさ溢れる格式高い温泉
②石川県金沢市 深谷温泉『元湯石屋』

次はどんな温泉に行こうかな。

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