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58.31314 第93回 諦め、辞め時、見切ること

(音声:21分3秒、テキスト:約6500文字)

♪~ BGM:Crazy Glue (Instrumental Version) by Josh Woodward ~

【0分15秒~】

こうやさいさしです。ラジオ、58.31314(ごじゅうはってん さんいちさんいちよん)、始めさせていただきます。よろしくお願いします。

今回は、諦めること、辞め時、見切ることについてお話ししようかと思います。なぜこの話をしようと思ったのか、事の発端はですね、私がオリンピック出場選手のインタビュー記事を読んだことにあります。

『スポーツが教えてくれたこと』っていう連載記事があるんですけど、その記事にはですね、選手の過去とか、怪我からの復活、あとは女性の体の事情、いわゆる生理の時の話とか、国籍が日本国籍がないからちょっと苦労したみたいな話が、されてましたね。いろんな話があったんですけど、共通しているのは、皆さん苦しくても逃げなかったとか、諦めなかった、っていうようなことを口にしてました。

確かにすごいことです。結果、オリンピックに出場するまでの力があるっていう証明にはなるんですけど、同時に、諦めたからといってそこで人生が終わるわけじゃないとか、逃げた後には違う人生があるとか、そういった反発みたいな感情が出てきました。

オリンピックに限らず、取り上げられるっていうのは、続けること・逃げなかった・諦めなかった、で、結果でたってお話ばかりなんですけど、でも実際、生活してとか、社会に出て、何かを辞めなきゃいけない、諦めなきゃいけない、見切らなきゃいけないっていうことが、でてくるんですよ。でも、それって誰も教えてくれないじゃないですか。特に教育現場では。諦めない事が美徳とされているような雰囲気すら感じますね。

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実際、生活していると、というか主に働き出す、例えばお客様だとか、取引相手だとかに、迷惑をかけないために諦めなきゃいけないというか。

【2分42秒】BGMオフ

まぁそもそも失敗は許されない、失敗をしないために諦めなきゃいけないとか、自分の技量が足りないから、自分では達成できないから、他の人に任せなきゃいけないとか。

あとは、それこそ今、ノー残業デーとかって言ってるように、時間制限があるからできないことも出てきますよね。社会としては残業しないとか、転職したりとか、あとは、人生の終わりを考える、終わり方を考えるということで「終活」とか、そういった変化はあるにしても、未だに美徳とされているのは、「諦めないで結果を出す」、このセットだと思うんですよね。

すごいことの一個であるんですけど、その逆って全然取り上げられてないような気がするんですよね。逃げた先にだって何かあるし、一つのことを諦めました、それで人生終わりです、お先真っ暗ですじゃないんですよ。

【3分43秒】

ここで私の祖父のお話をしましょう。父方・母方の祖父がいて、二人のことを並べるっていうか、考えた時に、対象的だなと思いました。

父方の方、先日逝った、死んでしまった、のお話なんですけど、彼はいわゆる田舎暮らしで、田畑が広がるような所に住んでて、農薬を売る仕事をしていました、なんちゃら商店っていう名前でね。

で、その商店を、生涯現役と言っていいでしょう。95歳で先日逝ったんですけれども、今年の年明けまで、歩けなくなるまで、もうやってました、ずっーと。車も運転してたし、なんなら年末調整だってやってたし、歩けなくなるまでずーっとやってて、歩けなくなって、逝ったというような形でしたね。

もう担い手がいないので、うちの父も、息子であるうちの父も、あの、役所で働いてますので、農薬を扱うのに資格が必要なんですけど、その資格はもちろん無いし、そもそも後始末もできないんですよね、実際は。今はとりあえず書類上のお店を閉めるっていう事をやってるみたいなんですけど、未だに農薬とかっていうのは倉庫にあるままです。

で、片や、母方の祖父、こちらまだ存命なんですけども、東京の超一級地っていうんですかね、超一級地に住んでて、会社を立ち上げから運営、やって、でもう一線は退いてます。他の人に譲ったちゅうか、あとは任せたというような感じで、でもまだちょっとやってるっていうか、相談役みたいな形で、仕事は、まだ続けてるっていう感じですね。

二人とも自慢の祖父ではあるんですけど、とはいえ、やっぱりその、終わりをつけずに、逝った後の始末をどうするかっていうのを自分に置き換えた時に、自分のことは自分できっちり終わらせたいなというような意識がありました。

まあ、ある意味諦めというか、辞め時をどうするかとか、そういったことを考えましたね。

【6分23秒】

あとは、私の学生時代のお話。

私は小学校の頃の習い事の一個で、水泳、スイミングスクールに通ってました。私が通ってたスイミングスクールでは、もちろん、初期設定...じゃねぇや、初期の、水に顔をつけられるとか、ケノビができるとかっていうところから、クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライって、4泳法やって、そのあとに選手育成コースっていうのがあって、ここでタイムをいかに縮めるかっていう、そういったことを習うっていうか、求められることになるんですけれども。

私は、習い始めの時はそこまで意識してなかったかと思うんですけど、泳げるような形が増えていくことにつれて、「選手育成のコースはやりません」と、「バタフライの試験受かったら、もう辞めます」っていうふうに言ってました。母親も特にそれに関しては反対せずに、「辞めまーす」ってすぐに、スイミングスクールの受付に電話してくれましたね。

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ただ中学に上がると、本当に諦めないこそが美徳というか、常に満点至上主義っていうような雰囲気になりまして、うん、なんかね、ハードルをあえて低くすることすら許されない雰囲気になりましたね。

あの、試験とか模試とかもあるたびに、書かなきゃいけないんですよ。目標点は何点ですっていうか。まぁ、私は常に「合格点取れてりゃいいや」っていう感じで、その点数書いてたんですけど、そこにすら文句つけられましたね。そう、まだ結果すら出てない段階で、「何でこんなに目標点数が低いんだ」っていうことは何度か言われた覚えがあります。

【8分27秒】

あとは、働き始めて、今の所で働きながら感じるのは、時間とか自分の技量とかで見切ること、これが大事だなと、感じています。

ここ一ヶ月で、15分以上の残業は許可制になったんですよね。例えば、4時に上がんなきゃいけない、だけど、退勤を切るところに行こうとする途中にお客様から話しかけられた、ってなったら、その時点で、上司に報告しなきゃいけないんですよ。で、報告しても、「他に変われる人いませんか」っていうようなことで、探してそれでもいない場合は、「じゃあ、お願いします」っていう形になるんですよね。

で、もちろん、私も、まだ仕事は慣れてきたにしても、スピードはそんなに速くないんで、どうしても、時間内に自分の仕事が終えることができないってなったら、他の人に任せるしかない。とか、あとは、コロナウイルスの影響があって、まあそもそも、元々こういうサービスはしてたけど、まぁお客様との接触をできる限り抑えるっていうことで、そのサービスが出来なくなったりとか、制限がかかっている、それは強く感じますね。

で、自分からやってみようっていうふうになって、目指すとか、それこそ続けるっていう事は“良い”にしても、外部から、逃げるな・諦めるなとか、そういった「諦めなかったら、こういうことができるよ」とか、「こういうこと達成できました」っていうことを執拗に見せられるとか。そういったことを受けても、結局やる人はやるし、やらない人はやらないんですよ。

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さらに厄介なのは、真面目な人ほど、返ってそれが逆効果になってしまう。自分にプレッシャーをかけて、精神的に壊れてしまう。そういったこともあり得るんですよね。重要なのは、そういった、やる・やらないっていうことじゃなくて、環境が大事だと思うんですよ。やりたい人はやれる環境、諦める人は諦められる環境、それが大事だと思いますね。

【10分59秒】

そう、そのインタビューの連載の中でも、田中理恵さんっていう体操選手のお話があって、彼女の家、っていうか、家族全員が体操やってる。で、お父さん・お母さんがコーチだと。田中さんが学生時代、放課後に練習するんだけど、まぁいわゆる青春みたいな、お友達とキャッキャするとかね、そういった青春は全くなかった。で、練習自体がすごい辛くなっちゃって、お母さんかな?、まあ、親に言ったらしいんですよね、「もう、体操辞めたい」って。それを受けた親は、「辞めていいよ」っていうふうに言ったらしいんですよね。

<<スポーツが教えてくれたこと 田中理恵>>

で、彼女は、実際に、元々練習してた時間を遊びに回しました。お友達と、お友達と過ごすことに当てたんだけど、結局、「あ、もう一回体操やりたいな」っていう気持ちになって、また戻ったっていうお話があったんですよ。

これがね、非常に大事だなと思いました。なんか、諦めるとか、辞めたい、「じゃあ、二度と戻ってくんな」っていうふうに言うんじゃなくて、もう1回戻れる、そういった環境があるのはね、非常に良いなと思いましたよ。

【12分22秒】

この記事を読みながら、自分の過去を振り返るとねぇ、私は、努力とか諦めなかったことっていうよりは、諦めたりとか、逃げたことの方が圧倒的に多いんですよね。だから、正直、記事を読んでるとね、後ろめたさっていうのを感じました。

さっきも言った水泳もね、結局そのあと、まぁ泳げるにしても、じゃあ、市の運営しているようなプールに行くかつったら行ってないし、習い事でやってたピアノとか、英会話とか、まあそういったことも、もう辞めてからね、やってないし。ま、大学も辞めましたし、ギターも中学の頃、サークルの入ってたからっていうので弾いてましたし、サークル自体は楽しく活動してましたけど、そのあとは全然やってないですね。

そう、ピアノとギターに至っては、実家に行けばいつでも弾ける状態にはしてあるんですけど、実際、実家にはお米貰いに行ったりとか、遊びに行ったりとかしてるんで、やろうと思えば環境的にはできるんですけど、私の気持ち的に、そこまで好きじゃなかったんだなぁ...みたいな感じですね。

ピアノとかギターはね、発表する場があったから、曲を弾けるようになるまで練習する。で、その舞台で披露するっていうことが、私は非常に楽しかったつうか、その舞台があったからこそ弾くことができたっていう感じだったんで、そこまでエンジョイしてなかったとも言えるかなと。

あとは、仕事に関しても、正社員にならないかっていう話もあったんですけど、それは蹴りました。選びませんでした。

さらにですね、一週間くらい前に母親からLINEが来まして、「何ケ月分のお家賃振り込んでおいたから確認してね」っていう、悪意とか皮肉ゼロのLINEが来たんですけど、私はそれに罪悪感を勝手に感じてましたね。罪悪感っていうか、なんか未だに一人立ちできない、背徳感みたいな。

【14分51秒】

じゃあ、現状を否定するのか、こんなんじゃダメだと思うのかとか、手元には何もないのかって言われたら、それは、私はそれを否定する。私は現状を肯定しているし、昔やってた事は、今はやってないにしても、新たに始めたこともあるんですよ。

それこそPodcastなんかが代表的なもんですけども、ピアノとかギターを弾くことに似ている部分はあるんですよね。それこそ、発表する場があるとか、一つのものをいい感じに仕上げるっていう共通部分はあるんですけど、それをやってる時に、過程すら楽しいんですよ。テーマとしてこれを攻めよう、で、がーーーって書くことも楽しいし、こうやって話してることも楽しいし、編集も結構面白いというか、いかに編集時間を短くするかとか、音質をいい感じに数字を変えるかとか、それすらも楽しいっていう感じでやってますね。

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あとは、働くことに関してなんですけども、正社員の話を蹴って、それまでの仕事を辞めて、で、なんなら全然違う会社で働き始めましたけど、あそこ辞めて良かったなと、今、痛感してます。あそこは、「なんだったんだろう、あれ?」っていうか、自分が納得できないままに、あそこで働いてなくて良かったなって感じです。正社員にならずとも、あそこで働き続けてたら、またストレスで鬱になるかどうか分からないにしても、かなりストレスが多い状態で働かなきゃいけなかったなと思いますね。

今のところは、もう全然違う。まあ、会社の規模も違いますし、空間の大きさが違うっていうのが一番大きいかなと思います。人と人との距離があるなー、それが非常に私にとってはやりやすいっていう感じですね。

あとは理不尽がない。それが一番でかいな。お客さんはお客さんで理不尽っていうか、「お前なんなん?」っていう人は勿論いますけど、仲間内でのいざこざがないっていうのがね、非常に大きいです。そこの人間関係のストレスがないっていうのはね、働きやすいです。

【17分23秒】

で、話をまとめますけども、やらないっていう選択をしたから、諦めたから、逃げたから、それを見切ったから、からこそ掴めたもの、掴めるものが、必ず何かあると思うんですよ。

ビックアップされがちなのが、諦めなかった・逃げなかった、そういった人達ってあって、続けなかった人達だって、ストーリーとか、新たに掴めたもの、新たに得たものは、必ずあるんですよ。

だから、逃げないからこそ掴めるものもあるって言いますけども、それだけが正解じゃない、それだけが人生じゃないんです。若造が何言ってんだと思われるかも分かんないんですけども、それしか正解がないようにピックアップされるっていうのがね、なんか、「まだ言うのそれ?」って感じを受けます。

続けるにしても、一回離れてみるっていうことも大事だと思うんですよね。離れてみて、新たに掴めることがあるっていうのも、感じてもらいたいなと思います。

で、そん時に、戻りたければ戻ればいいし、じゃなかったら戻らない、戻らないにしても終わりじゃないんです、別の道が続くだけなんです。そういったことも、なんかそろそろ取り上げてよって感じですよね。

私、苦手なんですよね、大きな夢に向かっていくとか、目標を達成するとか、希望があるみたいなふうにはどうしても思えないんですけど、だからって自分の人生に絶望してるわけでもないし、毎日毎日、ちっちゃな、本当に小さな目標はあるし、そういったことの積み重ねっていうことにも、そろそろフォーカスしてもいいよねと。そろそろ、そういったことを評価してよ、そういった時代でしょう、みたいなふうに思います。

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私はあんまり、他人の成功に励まされたりしないんですよね。どういった逃げ道があるとか、そういった方に興味がありますし、そういったことの方に励まされるっていうか、私は、そこまで大きな挫折とかは、何だろう?、心をへし折られたっていう感覚はないかな。いや無いけど、めちゃくちゃ逃げてきてるけど、って。あれをしなきゃよかったとは思わないけど、なんかすごい辛い時期にはあったよなと思いますね。

で、まあ、現状、そっから回復はしたんですけど、それを努力したとか、成功の積み重ねだったとか、そういったことも言えないなと思います。何か良い感じにやってきたなーって感じですよね。やっぱり、努力はしてないかな... でも、努力したって言えないけど、周りから見れば、あれは頑張ってたとか、そういったことを言われるのは、素直に嬉しいなと思います。

【20分33秒】

なんか、今までで1番まとまりのない終わり方になりましたけども、まあ、諦めとか、辞め時とか、見切ることも大事だし、

♪~ BGM:Pop Acoustic Guitar Loop by danke ~

そのあとにだって、色々と続くもんはありますよ、というようなことを言いたかった回でした。

以上でございます。ここまでお聴きいただきありがとうございました。それでは皆様、ごきげんよう。さようならー。

らじお詞黒板

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こうやさいさいし

20190414-こうや_text


Podcast 58.31314


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