中国語初心者が北京の真ん中で中国人の温かみを感じた話___1_

中国語初心者が北京の真ん中で中国人の温かみを感じた話。


こんにちは、Ryu(@6y_ce)です。
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さて、本題に入る前に、
タイトルと画像ぜんぜん関係ないよね?
そもそもサムギョプサルって韓国料理ちゃう?
って思いますよね。大丈夫です、ぜんぜん関係あります。

この記事では、
(1) 僕の留学のはじまり
(2) 留学中にサムギョプサル店を訪れたこと
(3) お店でのおじさんとの出会い
(4)「中国」に対して思うこと

ここらへんを綴っていこうかと思います。

留学早々先生を驚かせた僕の圧倒的な中国語スピーキング力。

前回の記事では、僕が約一年間、北京にある大学にて交換留学していたこと、そして僕の留学先がほんの少しだけ特殊な大学だったことをお話ししました。

▼読んであげてもいいよって方はこちら

中国語がほとんどできない状態で中国に渡航した僕は、留学生活のほとんどの時間を中国語学習に費やしました。

どれくらい中国語ができなかったかを分かり易く説明するために、留学開始時、クラス分けテストで受けた面接での先生二人と僕のやりとりを、そっくりそのまま載せておきます。

先生A:「(超ゆっくり)今天的天气怎么样?」今日の天気はどうですか?

僕:「........?」

先生B:(先生Aを見つめる)

先生A:「(もっとゆっくり)今 天 的 天 气 怎 么 样?」

僕:(曇りとか晴れってどうやっていうんやっけ...)
  「.........好。」良い

「好(ハオ)。」

【【【語彙力。。。】】】

先生A、Bが数秒ほど顔を向き合わせた後にこちらを振り向いたときの、あの驚きと焦りと哀れみの混じった複雑な表情。

その後なぜか僕一人だけにあった、教室と先生を代えての二次面接。

今でも忘れません。


これは後日聞いたのですが、面接前に受検したペーパーテストで当てずっぽうが当たりまくり、無駄に高い点数をたたき出してしまっていたようです。先生、期待させてごめんなさい。

数日後、クラス分け結果が寮や教室棟の廊下に貼り出されることとなったのですが、僕の名前が初級クラスの欄に記載されていたことは想像に難くないかと。

こんな初心者でも、英語に頼ることなく中国で一年間生き延びられたんです。語学力に不安があって留学を躊躇しているなんて勿体ない!自虐でしかありませんが、不安であれば僕のことを思い出して勇気を出してください。

サムギョプサルが食べたかった日本人留学生の僕。

そうそう、その後の留学生活のことを少しお話しします。

当然のことですが、いきなり現地学生が受講するような授業に出るなんて、できるはずもありません。長い時間、一単語も聞き取れない教室内で死んだように過ごすくらいなら、同じ時間を公園でマダムたちの「広場舞」観て過ごす方が何千倍もハオいです。(以下、広場舞/广场舞)


話を戻します。

留学中は多くの時間を同じ語学クラスにいる外国人留学生たちと過ごしました。記憶が正しければ、韓国人、タイ人や○○スタン系の学生が多かったです。

クラス構成の関係から、韓国人留学生たちとの交流は特に深く、韓国の情報や言語をたくさん教えてもらいました。

留学序盤に完璧に覚えられた韓国語フレーズがこれ。

「なぬん、さむぎょぷさるる、もごしっぽよ!」

ハングル表記だと「나는 삼겹살을 먹고 싶어요.」
中文だと「我想吃五花肉。」

僕の経験上、このフレーズは最強です。

留学中に出会った韓国人留学生たちは、日本人の僕がこのフレーズを言った途端、ニコリ(時にはニヤリ)と笑って「よっしゃ行くかー!」とテンション上げてくれました。最高。

正直、上の文章の「僕の経験上」の部分は「僕の統計によると」と書くつもりだったのですが、ちょうどTwitterのTL上でこのツイートを見かけ、3秒で書き換えました。

日韓留学生数人で悲願のサムギョプサル。

常日頃からニヤニヤしながらこのフレーズを唱え続けた結果、日韓の学生でサムギョプサルを食べに行くことになりました(実際そんな何遍も言ってない)

日韓留学生で机を囲い、ソメの入ったグラスを片手に、キムチをつまみ、サンチュに包んだサムギョプサル様を口いっぱいに頬張る。

▼当時の僕の脳内イメージ(頭の悪い人には~~~の画像を一部引用)

ちなみに、ソメ(소맥)はソジュ(소주/韓国焼酎)とメクチュ( 맥주/ビール)を混ぜ合わせた最強ドリンクのこと。(パッチム付きなのでソメッとかソメクとかって表記するのが正しいのかな?分かる方教えてください)

写真を探したのですが、荒らぶりすぎたピンボケ写真しかなかったので、代わりにこの記事に助けてもらいます。

「じんちゃ、ましっそよ~(まじで、おいしい)」

「もごもご!(食べや~!)」

「こぎ!こぎ!(肉!肉!)」

覚えたての韓国語をこれでもかと披露する僕。
この時、韓国人の友人から見た僕のIQは、たぶん23くらい。

隣卓のへべれけ老北京おじさんが食い気味で絡んできた。

中国留学中なので、留学生同士のコミュニケーションは、9割以上が中国語によって行われます。(もちろん、アメリカ人ともイタリア人ともフランス人とも共通言語は中国語。今思えばあれはなかなか貴重な体験でした。)

僕たち日韓留学生は、その日もいつもと同じように拙い中国語で必死に会話していました。

「回宿舍的时候咱们顺便买Coco奶茶怎么样?」
(帰り道さ、ついでにCocoでタピってかん?)

「你们真的每天都吃泡菜吗?」
(韓国の人たち毎日キムチ食べてるってほんま?)」

そんな他愛もない話をしながら、僕は隣卓の中国人グループのうち一人が、こちらをちらちらと見てきていることに気付いていました。

数分後、僕たちの奇妙な中国語を聞いて疑惑が確信に変わったのでしょう。

彼は突然、お酒の回った荒めの口調で「君ら、外国人か?!」と一言。

「酔っ払いのおじさんに絡まれる≒面倒」という認識で生きてきた僕は、「反日・反韓思想の人かな...どう対処しよか...」「『おいこら小日本(日本及び日本人に対する蔑称)!』とかって言われたらどしよ...」などと考えを巡らせながら「そうです」と答えました。

そのおじさんの次の言動に身構える僕たち。
しかし僕たちの予想に反し、おじさんの口から出てくる言葉は、

「你们汉语说得很好啊!(中国語上手いな!)」
「在哪个大学的?(どこの大学居るん?)」
「在北京过的好不好呀?(北京での生活どんなよ?)」

など、優しめの言葉ばかり。。。
さっきまで身構えていた自分をしばき倒したくなるくらいいい人たちでした。

彼は、僕たちのテーブルの上に目をやった後、「おいお前ら酒もうちょいでなくなるじゃねえか!ビールでいいか?!」と半ば強引に僕たちのためにビールを追加注文してくれました。

僕たち留学生側が訳も分からないうちに、「干杯(ganbei)」の合図とともに、日中韓の宴会が始まりました。

僕たちの中国での生活のこと。
彼らのテーブルに座っている一人のおばさまが(詳しくは覚えてないけど政府系の)めちゃくちゃ偉い人ってこと。
北京話(北京訛り)にみられる巻き舌発音のこと。
おすすめの北京料理のこと。

ここには書ききれませんが、本当に色々な話をしました。

最後のおじさんの言動に全北(ぜんべい)が泣いた。

帰国して一年が経ってしまいました。けれども、会話の途中におじさんがふと口にした言葉は、自分でも驚くほど鮮明に覚えています。その言葉がこちら。

中国,韩国,日本。这三个国家有缘分儿。虽然我们国家之间有好多摩擦,不过我们还是兄弟姐妹。我们一定要互相帮助。

その後、彼らは
「北京生活で何か困ったことがあったら、俺たち老北京人たちにいつでもなんでも相談しな~」という台詞と、微信(WeChat)の連絡先を残し、店を去りました。

※ちなみに「老北京」は先祖代々北京に住んでる生粋の北京人(江戸っ子みたいな)や北京の古い町並み、郷土料理などのことです。

僕たち留学生は、笑顔で彼らを見送り、少しだけ話をしてお会計をお願いしました。

僕たち:「服务员~买单!(すみません、お会計で!)」

従業員:「あ~...」

僕たち:「?」

従業員:「さっきのお客様からもうもらってます。」

............。

気付けば、WeChatを開き、先ほどもらったばかりの連絡先にお礼を送りつけている僕たちがいました。

このようにして、老北京たちの振る舞いと素敵な出会いに感動した僕の、その日のインスタのストーリーがこちら。

授業や友人との交流を通して好きになっていた「中国」に、また一つ好きなポイントが追加された、そんな一日でした。

追記ですが、「全北が泣いた」の「北」は北京(ベイジン)の「ベイ」とかけてます。今僕に教えられるまで気付かなかった人、ボケた人自らそのボケを説明しなければならないという一番恥ずかしい状況をつくり出したのはそこのあなたですよ。恥じてください。

中国を好きと言える理由と、僕が今後大切にしたいこと

皆さんは、中国人に対してどのような印象を抱いていますか。

よく聞く声の一つに「マナーの悪さ」があります。
日本人がなぜ中国人のマナーを悪く感じるのか、少し検索をかけてみると、こんな記事を見つけました。

同時に、こんな記事も見つけてしまいました。

確かに、日本人からすればおかしい習慣もたくさんあるし、空気が汚い日だってあるし、反日思想を抱えた人だって一定数います。

「悪いところを隠していいところばかりをアピールする(もしくはその逆)」という、切り取りだらけのどこぞのメディアと同じようなことはしたくないので言いますが、

中国には、僕の好きなところが数えきれないほどたくさんある一方、もっとこうだったらいいのになと思う残念な点もいくつもあります。

しかし、総合的に判断した結果、僕は自信を持って中国が好きだといえます。

それはおそらく、中国について考えるとき、「中国」というものに対する「解像度」が少しだけ上がったからだと思います。

中国という「なんだかよくわからないひとまとまり」ではなく、そこで訪れた場所、感じたこと、出会った人一人ひとりの顔などが、ひとつひとつ直接僕の頭に浮かぶようになったからだと言えば分かり易いでしょうか。

なんていうか、結局何が伝えたいかというと、何か自分にとって新しいものごとが目の前にあるとき、なんだかよくわからないからといって、とりあえずみんなと同じように嫌いと言って遠ざけてみる、ネットに挙げられた本当かどうかもわからない一情報のみを信じ込んで判断してしまう、そんなしょうもないことは僕はこの先したくないし、皆さんにもしてほしくないということです。

少しだけ調べてみる。
少しだけ考えてみる。
少しだけ体験してみる。

低次元な努力ですが、こうしたちょっとの手間をこれからも大切にしていこうと思います。


そして、最後に追加でもう一つ、TwitterでRTするときと同じくらい軽率に、僕が気になった記事を貼り付けておきます。

相手に対して何か攻撃的な感情を抱いたときこそ立ち止まり、「相手からして自分はどうだろうか」と、少しだけ考えてみることをしてみませんか。

後半になるにつれて、どんどんまとまりがなくなってしまいましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

以上。

再见。

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