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箸袋採集に向き合ったら「好き」を肯定できた

ごはん屋さんのお箸の袋を収集している。
もう10年以上続けている趣味だ。自分の中では読書と同じくらい染みついており趣味というより習慣といえるかもしれない。

見てもらった方が早い。こんな具合だ。

コレクションの一部

ご覧の通り箸袋はお店の名刺になっている。
あまり店名が書かれたこうしたオリジナルの箸袋は少なくなってきているように感じる。
それゆえに、出会えるととても嬉しい。

就職活動をしているとエントリーシート上で「趣味欄」に出くわす。
わたしはしばしば多趣味と言われる。読書や映画鑑賞は確かに生活の一部になっているし、身体を動かすことも好きだ。
別にそれを誇っても恥じてもいないのだが、趣味欄に書くような趣味とは何だろうかとふと考えた際、真っ先に浮かんだのが箸袋採集だった。

ただ、それを趣味欄に書くのはどうなのだろう?
人事ウケを考えると、当たり障りのない文言を並べるのが吉なのではないか?とわたしの中の小心者な部分が囁く。
そもそも箸袋採集だって、習慣であって趣味というほどの情熱はあるのか?などと考え出す始末。

という、趣味欄をきっかけに箸袋採集について初めて真正面から向き合ってみたわけなのだが、向き合ってみたらなんだか箸袋を他の人にも見せてやりたくなった。
というわけで、昨年秋頃からInstagramを開設してみた。

開設してみてから分かったのだが、あまり箸袋をInstagramに載せている人は少ないみたいだ。
全く界隈が盛り上がっていない。
わたしが先駆者ってわけか。にんまり。

たまにいいねがくる。意外とウケはいいみたい。
散歩界隈からのいいねがよく飛んでくる。
街にある面白い看板や建物をアップしている彼らとの親和性が高い分野なようだ。

ここで興味深い発見があった。
世の中には、どうやら色々な界隈があるらしい。

たとえば先ほど紹介した散歩界隈。
そこから派生して「街に落ちている片方だけの手袋」の写真を投稿するアカウント、街の中に潜むラスタカラー(赤・黄・緑)の物の写真を載せるアカウント、閉店のご挨拶の貼り紙だけを載せるアカウント…などさまざまなアカウントが存在していることを知った。

また、ピクトグラム界隈も存在していた。
ピクトグラムといえば非常口やトイレで見かけるマークである。
昔『ピクトさんの本』というナイスな本を読んだことがあったから愛好家がいること自体は把握していたが、Instagram上にも進出していることは知らなかった。

肝心なのは、このようにたくさんのわたしが知らなかった界隈が存在するわけだがその人たちは皆ほかの投稿者に対してかなり敬意を示しているということを発見した。
その写真面白いですね、自分も興味が湧きました、教えてください…などの言葉が飛び交う。
なんと素敵なインターネット。

自分の投稿にも肯定的なコメントがついた。

良いんだ、と思った。
これを趣味と認めて良いんだ。
これを好きだって言って良いんだ。
何だか救われた気がするし、他の人の「好き」も好きで良いんだよと声高に主張したい気分になった。

だからわたしは「趣味欄」に堂々と箸袋採集と書いている。
人事ウケが良いとか悪いとかは知らない。
わたしが好きであることを好きと言える人間であることが伝わればそれで嬉しいのだ。

#コレクション #趣味 #箸袋

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