『鋼の錬金術師』 4巻 感想
概要
著者:荒川 弘
初版発行:2003年
デジタル版発行:2012年
発行人:田口 浩司
発行所:株式会社スクウェア・エニックス
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発行者による作品情報
感想
ヒューズ中佐あああああ(´;ω;`)
そうです。ヒューズ中佐が「軍がやばい」事態の奥に気づいてしまい、それ故に殉職するのはこの巻です。時系列的にも話数的にも前になる「エルリック兄弟間の軋轢と和解」が主人公なのに霞むくらいの哀しみです。
短い出番でしたが、色々な意味でインパクト絶大なキャラクターでした。ただの親馬鹿父ちゃん("愛妻家"超えて"夫馬鹿"でもある)と思いきや、年長者ならではの経験を感じさせる言葉を何気なく与えたり、些細な手がかりからことの真相を見抜いたり、ラストに一太刀食わせる程度の腕前はあったり。ほんとうに「ザ・味のある年長者キャラ」って感じのいいキャラクターだった(それだけに序盤での退場が惜しまれる)以外の言葉が出ません。
ヒューズ中佐の葬儀後に行われたマスタング大佐とアームストロング少佐の会話は、さすが荒川先生としか言いようがありません。雲をつかむような問答のやり取りに思わせて、巧妙にヒントを送っている。緻密なストーリー作りに定評のある荒川先生らしい、知性を感じさせるシーンでした。
今はまだ言えませんが、ヒューズ中佐が気づいた真相は、本当に「軍がやばい」です。これはこれで"闇の荒川先生"とでも言うべき、実に残酷な真相です。
先程は「(ヒューズ中佐の殉職のせいで)霞むくらい」と書きましたが、エルリック兄弟の心境も重要なターニングポイント。
エドは勝手な単独行動をロス少尉に咎められ、周り(の大人たち)を信用し、頼ることを促されます。一方のアルもバリーに言われたことがきっかけで「自分の存在」に疑心暗鬼。少年漫画ではよくあることですが、両者ともに「若者特有の精神的な焦り(及びそこからくる視野の狭まり)」が根底にあります。だからこそ、お互い腹の内をさらけ出してぶつかることで、そこに気づき、「元の身体に戻る」という決意をより強く固められた。所謂「雨降って地固まる」というやつです。
一方のおまけは、相変わらずの通常運転。先程とは別の意味でさすが荒川先生。
やはりこう豪語する方は違う(褒め言葉)。
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