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『鋼の錬金術師』 1巻 感想

概要

著者:荒川 弘

初版発行:2002年
デジタル版発行:2012年
発行人:田口 浩司
発行所:株式会社スクウェア・エニックス

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発行者による作品情報

兄・エドワード・エルリック、弟・アルフォンス。2人の若き天才錬金術師は、幼いころ、病気で失った母を甦らせるため禁断の人体錬成を試みる。しかしその代償はあまりにも高すぎた…。錬成は失敗、エドワードは自らの左足と、ただ一人の肉親・アルフォンスを失ってしまう。かけがえのない弟をこの世に呼び戻すため、エドワードは自身の右腕を代価とすることで、弟の魂を錬成し、鎧に定着させることに成功。そして兄弟は、すべてを取り戻すための長い旅に出る…。
(C)Hiromu Arakawa/SQUARE ENIX
Apple Books|荒川弘『鋼の錬金術師1巻』

APPLEブックレビュー

天才錬金術師エルリック兄弟の旅と戦いを描く長編ダークファンタジー。鋼の錬金術師エドと、鎧の体を持つ弟アルは、人体錬成という禁忌を犯したために失った肉体を取り戻すため、賢者の石を探す旅をしている。焔の錬金術師ロイ・マスタング大佐など、さまざまな人物と出会い、助けられながら目的に近づくが、たどりついたのはおぞましい真実と国家を巻き込む陰謀だった。スチームパンク風の世界観も人気が高い一大スペクタクル。コメディ含みのなごやかな人間ドラマが国家の動乱に発展していき、クライマックスでは壮大なカタルシスを味わえる。兄弟の絆はもちろん、マスタングら綺羅星(きらぼし)のようなキャラクターたちとの共闘も熱く、群像劇としても確かな読み応えがある名作。
Apple Books|荒川弘『鋼の錬金術師1巻』

感想

 遂に来ました。ダークファンタジーの金字塔です。

 最序盤から名言のオンパレードです。

──そういやどっかの神話にあったっけな
「太陽(カミサマ)に近づきすぎた英雄は蝋で固めた翼をもがれ地に墜(お)とされる」…ってな
デジタル版 23頁|第1話 二人の錬金術師
立って歩け
前へ進め
あんたには立派な足がついてるじゃないか
デジタル版 92頁|第2話 命の代価

 言葉のチョイスといい、セリフやコマの魅せ方といい、そりゃあ『月刊少年ガンガン』の大看板にもなるわなって感じです。
 カバー用著者コメントで荒川先生が仰っていた「『なんじゃこりゃ!ムチャクチャだ!』と思いながらもあれよあれよと最後まで観てしまう」、まさにその感覚にドッップリです。作中の"錬金術"は現実のそれとして見たらはちゃめちゃに暴れ野郎ですが、他の魅力がそれを打ち消してなお余りある。それどころか(ストーリーは非常に緻密な作りということもあって)そのムチャクチャさが作品の"味"にさえ思えてくる。そんな作品です。

 巻末のおまけや、紙媒体でのカバー裏表紙イラストもついています。こちらも非常にコミカルで面白いので、ぜひ読んでみてください。

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