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『どうする家康』 第40回「天下人家康」 感想


概要

放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年10月22日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
     2023年10月22日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)

脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ

番組公式サイト リンク

感想

うわあ!いきなり曇らすな!

 亡き豊臣秀吉に誓った通り、"戦なき世"を実現するために動く石田三成と徳川家康。ところが、そのアプローチ方法も周囲からの感触も正反対でした。
 「一人に権力を集中させるのではなく、複数人が知恵を出し合い話し合って政を決める」という政治を目指し、愚直にことを進めようとする(故に周囲の反発を避けられない)三成。対して、方針転換故にたまる不満のはけ口となりつつ、"人望"という名の"天下人への布石"を順調に積み上げる家康前回三成に抱いていた不安が見事的中です。しても嬉しくないけど
 どっちが主人公かわからなくなりそうな運びですが、それも無理からぬ話。「権力を含めた"力"が絡む場所で『お手々繋いで仲良しこよし』なんてことはありえない」「性善説の繋がりは、だまし討ちに弱い」という事実を体感している(さらに言えば、その"だまし討ち"が原因で妻子を喪った過去を持つ)家康からすれば、三成の理想像は実現させるにはあまりにも拙く幼い。三成も彼なりに一生懸命考えて動いてはいるんですけどね…。いかんせん乱世のど真ん中にいなかったが故に、"自分の理想"しか見えていないというか、猛者どもの手綱を握るには浮足立たざるをえない面が目立ちます。
 他作品の言葉を借りれば、漫画『ONE PIECE』でドンキホーテ・ドフラミンゴ41歳が言っていた「"平和"を知らねェ子供共と"戦争"を知らねェ子供共の価値観は違う!!!」ってやつです。(この後起こるであろう展開を考えると、続く「正義は勝つって!?そりゃあそうだろ 勝者だけが正義だ!!!!」という言葉も刺さってしまうのですが…。)

 とはいえ、三成と家康が決別するシーンは辛い。「私とあなたは、最初から"同じ星"を見ていなかった!」という台詞は、第35回で三成が天体観測をしていたことに掛けている…のは言うまでもありませんが、「最初から」という部分がお辛い。つい心の中で「違うんだ三成。"同じ星"は見ていたけど、見る角度が違うだけなんだ」と訴えてしまいました。
 このドラマ、もっと言えば大河ドラマに限った話じゃありませんが、同じ目標を掲げていて、それ自体は依然変わらないのに、アプローチ方法が異なるせいで決別する展開は見ていて辛い。なまじ『真田丸』の堅物よりは好感の持てる三成だっただけに、家康と肩を並べて共闘する世界線を見たかったです。

 そして現実は非情なもので、反比例するかのごとく人望を集める家康と、周囲から反目される三成。史実をベースにしたドラマだから当然ですが、"関ヶ原の戦い"は避けられないようです。悲しいなぁ。

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