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『風間公親 教場0』 第2話「ブロンズの墓穴」 感想


概要

放送局:フジテレビ系列
放送日時:2023年4月17日(月曜日) 21時00分~21時54分

原作:長岡 弘樹
 『教場0 刑事指導官・風間公親』(小学館)
 『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)

脚本:君塚 良一
音楽:佐藤 直紀
プロデュース:中江 功、渡辺 恒也、宋 ハナ
演出:中江 功
制作著作:フジテレビ

番組公式サイト リンク

感想

 色々と辛い話でしたね…。
 子供のいじめと、それに対する教師の最低最悪な対応に端を発する殺人事件。学生時代と教師、特に小学校のそれに対してろくな思い出のない僕としては、瓜原の過去も見ていて非常に辛いものでした。ついでに言えば、いじめ問題に対して表では「知らんがな」的な対応をし、そもそも裏ではいじめを扇動していた今回の被害者(小学校教師)に冷たい悪感情が募り、同時に加害者の執念("子を愛する気持ち"の裏返しでもある)に対して畏怖すら覚えました。当然、その事情と"殺人犯"として裁きを受けることは別問題ですが。

 だからこそ、最後の瓜原の「(『自分が逮捕されたら、息子はどうなるのか』『息子が可哀想だ』という)その言葉を、被害者家族の前で言えますか」という言葉が重くのしかかりました。
 「被害者がどんなクズだとしても、犯罪被害に遭えばその家族は悲しむ」という冷徹な十字架と、「加害者にどんな同情できる理由があろうと、罪は罪として扱わねばならない」という警察官としての責務。瓜原はただでさえ優しい人物(であるが故に、安直に捜査対象に同情し、思慮が浅くなってしまうという刑事としては致命的な短所を併せ持っていた)であるうえに、彼自身かつて陰湿極まりないいじめを受けていた過去を持つだけに、そう言い放つには大きな葛藤があったでしょう。しかし、そこでかつて自分の母が取った行動の真意を思い出したため、躊躇いを振り払うこと(=先述した短所の克服)ができた。警察官として、大きな成長です。

 一皮むけた瓜原は、無事風間から認められます。「その優しさは刑事として短所だ。だが、短所は長所にもなりうる」という(これまた個人的には落合博満さんの指導論に通ずるものを感じる)激励と共に一人前の刑事として送り出されたのでした。

 ところで、風間が折に触れて言う「出来ないのなら、君には交番に戻ってもらう」という台詞。番組公式Twitterによると、次のような意図があるそうです。

 そういうところも落合っぽいのよな、風間公親。

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