煙草森誠のこと〜ミステリというなかれを見たあとのクソデカ感情を吐き出したい〜

超ネタバレです!
本編(出来ればドラマ、原作ともに)見てから読んでください!








バスジャック編の運転手、煙草森誠。
ファーストインパクトはドラマの森下能幸さんの演じた怪演だったわけですが。


原作も読んだ上で、ドラマの煙草森には、プラスアルファの意味付がなされているように感じたんですよね。

以下、その感じた事を書いていこうと思います。


一つは、森下さんという俳優の年齢です。

原作では30代からせめて40代の大柄な男性ですが、森下さんは年齢、体格ともにかなりイメージがちがいます。

「いつか親に謝りたいと思います」
金魚の一件で言う彼のセリフは、その年齢差でかなり印象を変えてしまうように思うのです。

見えなければok.という彼のその性質を放置してきたその親は、あの年齢の煙草森に対して、未だ「親」として健在であることを示しているように思うのです。

原作と違い、煙草森誠の部屋は出てきませんでしたので、ドラマの設定上煙草森誠が実家住まいなのか一人暮らしなのかはわかりません。

ですが煙草森誠の後ろに、親子関係の歪さとその影響の長さを感じたのです。

2つ目は、煙草森があまり話さないことです。

トロッコ等の印象的な会話がカットされた部分も大きいとは思うのですが、それだとしてもドラマの煙草森は会話に入っていきません。

この描写で、彼の会社での立ち回りが見えてきます。
原作の煙草森誠が会社でうまく立ち回っているのに対して、おそらくドラマの煙草森誠は、会社でもコミュニケーションをあまり取れていないのではないのか。

故に誰も彼の異常性に気が付かなかったのではないのか。

そういった彼の先天性の欠落と、それを是正し得なかった環境、そういったエクスキューズが加えられた制作側の意図、それを経た演出だったのではないか、と思うのです。

賛否はあるものの、ドラマの意図としては煙草森誠のインパクトは絶大でしたし、それをやってのけた森下能幸さんという俳優に、称賛の拍手を贈ります。

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