深山木ねここ

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ただいまお布団。みやまぎねここです。のんびりゆったり見たものや感じたものを書きつけていきます。ついったはこちら⇨https://twitter.com/miyamaginekoko

最近の記事

『小さい魔女』の焼き林檎

小さな頃何度も開いた児童書と言えば、何冊も思い浮かびはするが、特に思い出深い一冊がある。それがこの度目出度く映画化の運びとなったのは喜ばしい。 タイトルは『小さい魔女』。 ドイツの児童文学だ。魔法が下手でまだ若い(100歳は超えているが、魔女基準での話である)小さな魔女が、ある年のワルプルギスの夜に会場のブロッケン山 へ忍び込む。バレないはずもなく意地悪な嵐の魔女、ルンプンペルおばさんにこれでもかと騒がれた挙句、箒は真っ二つに、服はめちゃくちゃに、髪もボロボロにされ、丸一日

    • カレーうどんを噛む夜

      肌寒い夜が続いている。コンビニエンスストアの目に眩しいほど白い店内で、この頃地味ながらも確かな存在を放つものがある。 カレーうどんだ。温かいうどんに適度な香辛料の辛味が合わされば、外を歩いて冷えた体も内側から暖まろうというものである。 店員の「あたためますか?」を断り、早足で帰路につく。玄関にたどり着き、後ろ手に鍵をかけ、廊下をコートを脱ぎながら歩く。部屋につく手前に電子レンジがあるのでカレーうどんのプラスチックのやたらと軽い器をぽんと放り込んで、スタートボタンを押してから荷

      • 花屋のチャンチョにプティットマドレーヌ擬きを見た話。

        写真を撮ろうと思い立った。撮りたい写真には花の1つや2つがあるといいなと思い、最近花屋をちょこちょこと覗いたりしていたのだ。 花に特別造詣が深いわけでもないので、普段から花屋に行っても、「これはユリ……これはパンジー……いやビオラ……?」程度にしかわからないのだが、バナナよりバナナ色で、パプリカみたいな質感の植物にふと目が奪われたのである。 花?というのか、その植物の名前は「フォックスフェイス」というらしい。一目見て連想したのが『オシャレになりたい! ピーナッツくん』のチャ

        • 『魔法使いたちの料理帳』とスネイプ先生の授業

          セブルス・スネイプ。彼の名前を知らない日本人はどれほどいるのだろうか。知らない人などいないのではないかと思うほど、『ハリーポッター』というシリーズは名作児童小説であり、名作映画だ。 この作品の登場人物は実に多く、それぞれに違った魅力があるので、人気のあるキャラクターも数多くいるのだが、スネイプ先生はその中でも群を抜いて人気のあるキャラクターだ。下手をすると主人公の仲良し3人組をも上回る人気の程である。 原作でも「べたついた黒髪」などと形容される容姿に加え、嫌味で怖い教師の彼

        『小さい魔女』の焼き林檎

          三次元的ストーリーテラーたちの集い

          新国立美術館で開催されている、『話しているのは誰? -現代美術に潜む文学-』展へ行ってきた。端的に言えば、文学を視覚的に表現してみた、がコンセプトの美術展である。過去に音楽を視覚的に表現してみた展示がとても興味深かったので、行ってみてもいいかなと少し前から目をつけていたものだった。 公式HPにもある通り、この展示には所謂文学作品の展示はない。各作家の展示空間そのものが、ある種の物語性を持っているので、来場者はその世界観に足を踏み入れて、自分なりに読み解いて行かねばならないの

          三次元的ストーリーテラーたちの集い

          その音楽が心臓を支配した。

          黄色を名に冠しながら、赤が好きというその人を知ったのは7、8ヶ月ほど前の話だ。YouTubeをラジオ代わりに垂れ流していたら流れてきた音楽に、視線が画面へと吸い寄せられたのを覚えている。 『辛うじて、息を吸って吐いてる 青酸なんとかだったら終わりって笑えるね』 ポップなギターの旋律に乗って耳に届いたのが、予想以上に厭世的な歌詞だったからだ。画面には一面黄色のポップなイラストで構成された、可愛い分類に入れても構わなさそうなMVが流れている。それなのに、 『愛したいんだ、居

          その音楽が心臓を支配した。

          上半身が手に入ったので撮影をした話

          蠢く体を得たことだから、今度は動画を撮ろうと思い立った。 Vtuberと言えば当たり前だがその活動フィールドは動画だ。何故私は文章を書こうとして動画を撮る準備を始めているのか、今となっては皆目分からないが、時にノリと勢いというものが大切だったりするわけで、つまりこの行為は決して間違いではないのである。 PCの前に座って、FaceRigの録画ボタンを押して、映るか確認をしながら気がついた。iPhoneのイヤホン、私のPCに挿さらないではないか。これでは無音動画になってしまう。

          上半身が手に入ったので撮影をした話

          自分の身体を錬成したという話

          このnoteを開設して、Twitterのアカウントを作ったその時に、別段「そんな」つもりはなかった。それは間違いないと思う。 久々に全くゼロからネットの海に漕ぎ出して、不安感に苛まれ、友人にはまだ一言も発言していないうちから「ネットコワイ」と連絡したほど、震えていた。得体のしれないものは怖いのだ。広大な、見知らぬ土地は怖いのだ。 それでも一歩踏み出して、ここで言葉を紡いでみようと決めてしまったから、せめても怪しくないように身分を明かさねばならない。見えない顔よりは見える顔

          自分の身体を錬成したという話

          予防摂取

          日毎足を運ぶのは、砂の色をした海だ。 人生の夏休みも終わる頃、ケアンズの街に来た。誰も自分を知らない所へ行きたいと言いながら、来るのは3度目のこの街を選んだ辺り、妙に寂しがりな面が出たようだ。 起きたらマーケットで積まれていた安売りのプラムを口に突っ込み、適当に着替えてモーテルを出る。 信号の怪しい横断歩道をいくつか渡ると直ぐに海だ。 チョコレート菓子の甘ったるさを水で流し込みながら気の済むまで波を眺める。 真っ青な綺麗な海ではない。水はきっと綺麗で透明なのだろうが、砂

          ダークヒーローの概念の裾を掴んだ日

          マーベルは好きだ。映画はスパイダーマンの一作目しか見たことが無い。 私にとってマーベルは、世界的ネズミのチャンネルでやっているアニメだ。特にアルティメットなスパーダーマンのやつ。アイアンフィストが一番好き。 スーサイドスクワッドが公開された当時、私は偶然海外にいて、ステイ先の姉妹に誘われるがまま、台詞の99%を理解できないままに見たのが、DCと私の出会いである。出会いとは言えど、その後DCコミックにはまったわけでもなければ、別作品を視聴したわけでもない。ただひとつ、かの有

          ダークヒーローの概念の裾を掴んだ日