忘れられない通学路

学校から駅まで約1km。いつもの帰路。

その日は空が高くて晴れていた。
もう季節も時間もわからない。夏にしては暑くなかった。秋にしては明るかった。春の記憶もない。
仲のいい子と歩いていた。

始まり。
狭い道路の向こうには、おじさん。軍手をはめてダンボールを縛っている。
後ろのシャッターは閉まったまま。狭そう。隣には広い更地があるのに。。

その前を通る自転車の女性。帽子が風で飛んで、落ちた。
おじさんが目の前に落ちた帽子を取る。軍手はとっていた。優しい。

帽子を届け、挨拶する2人。

その手前を通過する軽トラ。2人が見えない。
すると荷台にいるおじさんが「いい天気だなぁ!」と大きな独り言。手をかけ身を乗り出し、笑う。ああその気持ち、わかる。
終わり。

仲のいい子と見ていた。
10秒の出来事だったけれど、その一連で盛り上がる。

始まりから終わりまで完璧だった。完璧の比較対象もない。最後の一言で爽やかな気持ちをさらに締めるあの感覚。滑らかだった。
これからこれを超える10秒間はあるのかな。

#忘れられない #通学路 #おじさん #10秒間

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やませ

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