皆勤手当はもう廃止してもいいんじゃないか?

皆勤の定義は1つではない。


皆勤手当は1ヶ月間皆勤だと支給される手当ですが、この場合の「皆勤」という言葉の意味は1つとは限りません。

辞書では、「一定の期間,一日も休まず出勤・出席すること」と定義されています。これだけを読むと、「意味は1つだけなんじゃないの?」と思うところですが、何をもって皆勤とするか。この定義は会社ごとに違います。

皆勤手当を支給する条件として、欠勤だけでなく、遅刻せず、早退もせず、休暇も使わないという条件を満たした時に限る場合。もっとも厳しくした定義した場合がこのパターンです。

次に、早退しても皆勤手当を支給するというパターンがあります。欠勤や遅刻はダメだが、早退をしても皆勤判定に影響しないという定義です。

さらに、早退だけでなく、遅刻をしても皆勤手当を支給するパターンも考えられます。

あとは、遅刻といっても、寝坊などのような本人に原因がある場合と、電車の遅延のように本人には原因がない場合があります。この場合、前者の遅刻だと皆勤手当を支給しないが、後者の遅刻の場合は皆勤手当を支給するというように分けるのもパターンとしてありそうです。もちろん、理由を問わず、両方共、皆勤手当の支給対象から外すのもアリです。

他には、休暇を取得した月に皆勤手当は支給されるかどうかという論点もあります。有給休暇を取得したら皆勤手当は支給されるのかどうか。アニバーサリー休暇、結婚休暇や弔事休暇を取得したらどうかなど。


遅刻してもOKなのか、早退はどうか。休暇を取得したら皆勤手当は出るのか。

皆勤の定義が揺れているために、皆勤手当を支給していると厄介な処理に遭遇します。




全員が皆勤手当を受け取っている。


皆さんの職場でも、休まずに仕事に来るのが当たり前であって、滅多なことでは休まない。そのような人がほとんどではないでしょうか。

病気や怪我で休むのはあるとしても、毎月病気になっているわけではないし、毎月何らかの怪我をしている人もいないでしょう。

となると、ほぼ全員が皆勤手当を支給する対象者になってしまいます。

出勤に対するインセンティブとして使われるはずの手当ですが、所定の出勤日に出勤するのが当たり前になっている職場では、皆勤手当は有効なインセンティブを与えることができていません。

手当の金額は1,000円とか3,000円。無いよりはあった方がいいけれども、無いからといって生活に支障が出るほどでもない。上記のように事務対応の厄介さを考えれば、廃止してもいいぐらいです。

ただ、毎月のように皆勤手当を受け取っている人がいると、それが既得権になっていますし、廃止するとなると就業規則の不利益変更と言い出す人もいるでしょう(僅かな金額ですが)。


どうしても皆勤手当を廃止したくないならば、判定期間を延ばすのもいいでしょう。従来のように、1ヶ月単位で皆勤を判定するのではなく、3ヶ月単位や6ヶ月単位で判定すれば対象者は減るでしょう。さらに、1年単位にすれば、まず対象者はごく少なくなるはずです。

判定期間を延ばす代わりに、皆勤手当の金額を1,000円から10,000円に増額するのも良いですね。1年間、1日も休まず、遅刻せず、早退もしないとなると、これは表彰物ですから、10,000円の手当を支給するのも妥当なところです。受け取る本人の気持ちとしても、毎月チョロチョロと貰うよりは、1年分の皆勤に対してポンと1万円を支給される方が嬉しいでしょう。


期間を延長するのではなく、皆勤手当を廃止するならば、それに替わるものを用意するのも手です。

例えば、他の手当を拡張する、住宅手当を増やすというのはどうでしょう。他には、有給休暇を年間で1日プラスする(仮に、1年で12日の有給休暇が付与されるならば、1日プラスして13日に)のもアリです。


手当というのは、作るのは簡単ですが、廃止するのは厄介なのです。軽い気持ちで就業規則に皆勤手当について記載したために、後々になって面倒な場面に遭遇してしまいます。


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