所定労働時間を超えなくても、法定労働時間を超えることはあり得る。



所定労働時間は7時間30分でも残業代が必要なとき。


会社で決めた労働時間は所定労働時間。法律で決めた労働時間は法定労働時間。この2つ、似たような名前でどっちがどっちか分からなくなる方もいらっしゃるはず。

勤務シフトで、例えば14日の木曜日は10時から17時30分まで、金曜日は13時から20時30分までと決めている場合、この時間は所定労働時間です。会社で決めた勤務時間ですからね。

一方、法定労働時間というのは法律で決まっている時間で、1日に8時間まで、1週間では40時間までです。この法定労働時間を超えて働くと、割増賃金、つまり残業代が必要になります。

1日8時間を超えなければ残業代は必要ないのですが、場合によっては8時間を超えていなくても残業代が必要なときがあります。

例えば、

月曜日:7時間30分。
火曜日:7時間30分。
水曜日:7時間30分。
木曜日:7時間30分。
金曜日:7時間30分。
土曜日
日曜日:休み。

このように勤務した場合、勤務時間の合計は37時間30分です。


では、

月曜日:7時間30分。
火曜日:7時間30分。
水曜日:7時間30分。
木曜日:7時間30分。
金曜日:7時間30分。
土曜日:7時間30分。
日曜日:休み。

何らかの理由で、土曜日にも出勤したとしましょう。

その場合、勤務時間の合計は、45時間になります。

月曜日から土曜日まで、1日の勤務時間は7時間30分ですので、残業代は必要なさそうですが、どうでしょうか。

残業代は必要でしょうか。それとも必要ないでしょうか。





残業時間には2つの基準がある。


先ほどの例では、確かに1日8時間を超えていないので、割増賃金である残業代は必要なさそうです。

しかし、勤務時間の合計は45時間ですから、1週間40時間という枠を超えていますよね。

そのため、40時間を超えた5時間分の割増賃金が必要になります。

会社で決めた所定労働時間は7時間30分ですし、土曜日も所定労働時間内で仕事を終えているので、残業代は必要ないだろうと思ってしまうかもしれませんが、残業時間には基準が2つあります。

「1日8時間」、「1週40時間」この2つです。

8時間が労働時間の上限だという点は良く知られているのですが、それだけだと、知らずに1週40時間を超えてしまう場合があります。


月曜日:休み。
火曜日:休み。
水曜日:休み。
木曜日:休み。
金曜日:休み。
土曜日:9時間30分。
日曜日:10時間。

極端な例ですが、土曜日と日曜日だけ働く人がいて、土曜日の勤務時間は9時間30分。日曜日は10時間だとしましょう。

この場合、残業代は必要かどうか。

答えは、「必要」です。8時間を超えた部分、土曜日ならば1時間30分。日曜日は2時間。合計3時間30分が残業になり、割増賃金が必要になります。

1週40時間という枠を超えていませんが、1日8時間を超えているので残業なのです。

先ほど例では、1日8時間を超えていなかったものの、1週40時間を超えていましたよね。


余談になりますが、土曜日と日曜日だけ働いても、休日割増賃金は不要です。

「土曜日と日曜日は休み」というイメージが定着していますが、その日に働いたからといって必ずしも休日割増賃金が必要なわけではないのです。

月曜日から金曜日まで、5日間の休みがありますから、これが休日になります。そのため、土曜日と日曜日は "労働基準法的には" 休日ではなく平日として扱われるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?