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わたしに十二国記が還ってきた。

18年ぶりに『十二国記』の書き下ろし長編が発売された。小学生のころからずっと読んできたファンのひとりとして、胸が熱くなった。

『十二国記』は多くのかたがご存知と思うけれど、ご紹介します。

1991年から読み継がれる小野不由美の代表作!
日本のファンタジー界に衝撃を与えた壮大な物語!


我々の棲む世界と、地図上にない異世界〈十二国〉とを舞台に繰り広げられる、壮大なファンタジー。
二つの世界は、「蝕」と呼ばれる現象によってのみ、行き来することができる。〈十二国〉では、天意を受けた霊獣である麒麟が王を見出し、「誓約」を交わして玉座に据える。選ばれし王が国を治め、麒麟がそれを輔佐する。しかし、〈道〉を誤れば、その命は失われる。気候、慣習、政治体制などが異なるそれぞれの国を舞台に、懸命に生きる市井の民、政変に翻弄される王、理想に燃える官史などが、丹念に綴られている壮大な物語である。
引用:公式特設サイト

まず特設サイトがとても工夫が凝らされていて、興奮が高まる。『十二国記』について北上次郎さんをはじめとする著名人のほか、書店員さんのコメントも掲載されていて、書店員さんのコメントにはもう、泣いた。
そうだよな、十二国記の言葉に鼓舞されて生きられた時代が、わたしにもあったし、みんなにもあったんだ。

ページを遷移するときのギミックがこれまたいいので、見てみてほしい。

小学生から中学生のころ、地元のイトーヨーカドーの書店で、平積みにされたこのシリーズに、もう本を持っているのに胸が高まっていた。
女の子向けとされるホワイトハート文庫の本を、父はなかなか簡単には買い与えてはくれなかったけれど、知り合いのお母さんが「この本は、買ってあげたほうがいいわ。子ども向けの本じゃないのよ」と父に言ってくれた。

買ってもらった本を、繰り返し、繰り返し、なんども読み返した。

まだホワイトハートやティーンズハート文庫のころの小野不由美さんの本には(とくにゴーストハント)、無理してハートマークを使ったりするあとがきと、重厚な本編の落差が激しくあって、そんなところもおもしろかった記憶がある。実家にあるので、少しおぼろげな記憶だけれど。

続きはまだかな、と待ち続けて、もう小学生だったわたしは、30歳になった。そして『白銀の墟 玄の月』を読めた。続きが発売される11月が待ち遠しい。

第1巻の初版部数は、"新潮文庫史上最高"となる50万部なのだという。わたしだけではなく、多くのひとがこのときを待っていた証だろう。

これまでの物語も読み直して、懐かしい登場人物たちと再会しながら、わたしは昔のじぶんとも再会している。きっと、そんなひとが日本中にいるんだろうな。こんな夜更けに、文庫本を開くひとたちが。

小野不由美さん、いや小野主上、ありがとうございます。
こんな本が読めるしあわせ。感謝があふれている夜です。

さいごまで読んでくださり、ありがとうございます! サポートしてくださったら、おいしいものを食べたり、すてきな道具をお迎えしたりして、それについてnoteを書いたりするかもしれません。