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あんず酒を仕込んだ梅雨の夜。

2019年6月25日、深夜。
あんず酒を仕込んだのです。

長野県で買ってきた生のあんずで。

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真っ暗なひとり暮らしの部屋に帰ると、パジャマに着替えて化粧を落とし手をよく洗い、さっそく取り掛かった。

朝のうちに洗ってヘタをとったあんずの実は、ふきんの上に並べてある。2015年に梅酒を漬けてた大きな4Lびんを空にして洗い、乾かすのは昨夜のうちに終わらせておいた。準備はOKだ。完璧と言ってもいい。

まずは、びんにホワイトリカーを少量入れる。お酒でびんを消毒するのだ。蓋をして全体に行き渡るように回し、一度捨てる。

ホワイトリカーというのは、よく果実酒を漬けるときに使われる。度数が高めのお酒だ。度数が低いと失敗しやすい上に、発酵したりしやすいので法律に引っかかるらしい。よく知らないけど。そのうち知ってるひとにインタビューしたいな。
とにかく、35度ほどあるホワイトリカーなら安全だ。よくスーパーにも果実酒を漬けるびんと並べて売っている。

消毒したびんに、あんずをそっと入れていく。このとき、あんずを売っていたおばちゃんに教えてもらった通り、包丁でヘタ側に十字に切れ込みを入れる。こうするとエキスが出やすいと言っていたのだ。

あんず酒を漬けるのははじめてなので、いろいろと調べてみた。やっぱり梅酒と一緒で(比べると作ってる人口は少ないけど)「おれのカレー」状態、いろんなレシピが出てくる。果実のなかのタネが大事ということで、まるごとのあんずだけでなくタネを足して漬けてるひともいたな。

散々調べたのだけど、結局は長野でおばちゃんに教えてもらったレシピで作った。やっぱおばちゃんが正しいと思う、毎年のように作ってるんだから。調べたのは保険だ。

びんのなかに二段くらいあんずを並べたら、氷砂糖を入れる。
すこし甘めにするため、そしてエキスを多く出すために氷砂糖は多めにした。浸透圧で果実からエキスが出てくるんだけど、そこらへんもめんどくさいから、とくに説明はしないね。

いつも調べるわりに、ざっくりの知識で生きてる。

ミルフィーユ状にオレンジ色のあんずと白い氷砂糖が重なる。分量がぜんぶ入ったら、そこにホワイトリカーをそっと注ぐ。

いま、梅酒はブランデーで漬けているのだけれど、あんず酒はホワイトリカーにした。理由は、色だ。長野でおばちゃんがつくったあんず酒を見せてもらったのだけれど、濃くてとろりとした色がうつくしかった。ブランデーベースのお酒は茶色いので、色を楽しむために透明なホワイトリカーを選んだのだ。

梅酒とちがい、3ヶ月経つともうおいしく飲めるらしい。梅酒もそのくらいで飲みはじめることはできるけど、おいしくはない。一年くらいはおいたほうがいい。あんず酒を飲めるのが秋頃。おばちゃんが言ってたみたいに、実を取り出してお湯割りにしたら、寒くなってきたころに嬉しいだろうなあ。

もうすでに、秋にわたしの部屋に遊びに来る友だちと、一緒に飲む約束をしました。どうかおいしく仕上がりますように。

「おいしくなあれ」

と言いながら、これから毎日びんを揺らしていきます。

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