初玉子に出会いました。
初玉子を、あなたはご存じだろうか。
夕方、商店街のお肉屋さんの前を通ると、焼き鳥のタレの香ばしい匂いにつられて、つい視線が吸い寄せられる。そこに手書きの「初玉子170円」の文字があった。170円。スーパーのふつうの価格と比べても安めだ。
すみません、と店主のおじさんに声をかけた。にこにこしたおじさんが、顔を出す。
「この『初玉子』いただけますか?」
規則正しく並んだプラスチックの容器ではなく、透明なビニール袋に入って輪ゴムで縛られた玉子を、注意深くそっと受け取った。割れちゃいませんように。
「あの、どうして『初玉子』って名前なんですか?」
「ああ、若い鶏が初めて産むから、こう呼ばれるんです。玉子を産めるようになってから3週間くらいのあいだのものだけが『初玉子』。だから、ちょっと小さいでしょう」
薄暗い通りで、お店からの灯りに照らされた白い玉子に視線を落とす。そう言われると、確かによくスーパーとかで見るMやLサイズの小さいかもしれない。そうかあ、だから安いっていうのもあるのかな。
「若い鶏が産むと、なにかいいことがあるんですか?」
「うーん、健康! ってことかな!」
3%の苦笑が混じった笑顔で言われて、ちょっと後悔。質問し過ぎて困らせてしまったかなあと思って、家路に着いた。あとはじぶんで調べてみよう。
初玉子。スマホで検索してみると、こんなふうに出てきた。
初たまごとは、若鶏が初めて産んだピチピチとした新鮮な卵。通常より小ぶりで数も限られるため、市場に出回っておらず、「幻の卵」ともいわれています。(中略)ヒナのときから蓄えてきた栄養素もぎゅっと凝縮していて栄養価もバツグン。
引用:(株)落水正商店
レアな玉子なのか。今まで買ったことないもんね。どんな味なんだろう。
せっかくだから、明日は新米を炊いて、玉子かけごはんにしよう。しっかり味がわかるように。だしは入れずに素材の味が際立つ玉子焼きにしてもいいかもしれない。
どんな味か、おいしかったらお肉屋さんの店主さんに感想を言ってみよう。そんでもって、焼き鳥も一本買ってみようかな。
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