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フランソワ・ポンポン展 動物を愛した彫刻家

ポンポン⁉そんなかわいい名前の人、気にならないわけない!
ということで行ってきた。

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■フランソワ・ポンポンについて

(1855年~1933年)
・フランス ブルゴーニュ地方に生まれる
・初期は人物彫刻による大成を志すが、なかなか認められることなく50歳ごろから動物彫刻家へと転身する。
・それまではオーギュスト・ロダンの下堀り職人や大理石職人の合間に自分の作品を制作などしていた。
・動物園に通い、園内で販売している絵葉書を収集していた。
・エジプトに興味を持っていた。


○ポンポン様式が生まれる

ポンポンの生きものの輪郭を捉え、つるりとした表現のこと。これは「太陽の逆光で一話のガチョウを目にした経験」より生まれた指針であったそう。(33歳頃)

初期の動物の作品は、顔まわりの表情にこだわっている様子で、ていねいに形作られていたり、毛並みが掘られていたりしていた。さらに手のひらに乗りそうなくらい小さなものが多かった。

だんだんと彼の特徴である、羽や毛並みが省略された体のシルエットを捉えたなめらかなものへと変化していく。
同時に、スケッチも実際の牛の大きさを計り書き込まれたスケッチから一筆書きのようにシンプルな線で描いたものが大きくなり、だんだんとスタイルが確立されていったことがわかる。

○ポンポンの作品を目の前にして

彼のつるりとした生きもののは、どれもキャラクターのようにかわいらしく見えた。それは丸みを帯びているからという理由だけではないような気がした。
生きものの細かな動きをよく観察し、要素を削りながらも特徴をしっかりとつかんでいるところに作品の愛らしさや表情が浮かんでいるように見えた。


○彫刻を鑑賞ここがおもしろい

あまり彫刻の展覧会に足を運んだことがなかったので、絵画とは違う楽しみ方があると感じた。

・360度眺められる点
作品むき出しやガラスケースで展示されている作品は、好きな角度から眺められることに面白さが感じられた。

たとえば、真後ろ。真横。
動物園に行けば見られるかもしれないが、彼らはたいてい長く静止してはいない。

・ガラスケース特有のたのしみ方
作品が際立つ薄暗がりの展示室であるため、照明の関係で、ガラスケースの内側に作品が鏡のように写り込んでいるのだ。
それがあたかも作品が自分自身と退治しているような図に見え、鏡の国に迷い込んだイノシシ…のように見えた。


○とても気に入った作品

 猪(1925~1929)石膏

イノシシくんを見た時、本当にかわいくて何度も眺めてしまった!
なんと、ジャンプしているその瞬間を切り取った作品なのだ。
宙を飛ぶイノシシ。
階段状の台座にはお腹のほんの一部にしか接地していない。そのバランスが余計に飛んでいるように見える。
この子は箱型の透明ガラスケースの中で飛んでいたので、どの角度からも眺めることができた。

まるまる、白くつるっとしたイノシシくんはどこか東洋的な表情をしている。「エジプト的にも日本的にも評される」と図録にあり、なるほどと納得。展示のライトで本当につややかなのだ。
そういった素材の特徴とポーズも相まって可愛さ倍増だった。


アートボード 9-100

▲撮影OKコーナーのしろくまくん

アートボード 1 のコピー 6-100


アートボード 1 のコピー 7-100


○イラストを描くモチベが下がったわたしへ

図録に掲載されていたポンポンさんの生い立ち、作品の移り変わりについての解説の中で、彼は長い下堀り職人としての仕事をしつつ、建築関係や大理石職人としても働き、その合間に自分の作品を作成していたとあった。

ポンポンさんの父親も職人だったらしく、創作を辞めない、追求こだわる姿勢は自然と身についていったのかもしれない。しかし、国から買取を何度も拒否されながらも創り続けることは簡単なことではなかったと想像する。

想像するしかないが、作品を残す、広く認めてもらう…ということはそういう努力が不可欠であるということを改めて実感することができた。

✣今後、モチベーションが落ちたら、図録の8ページ目を読む。


【参考図書】
・フランソワ・ポンポン展 図録


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