見出し画像

香取慎吾NIPPON初個展観覧記

※はじめに、このテキストにはネタバレが多分に含まれております事をお断りしておきます。

絵心もなければ何がすごくて何が綺麗なのか等の感性も乏しい私ではあるが、これは観にいきたかった。それはアイドルとしての彼が好きだからとは別の純粋なる好奇心でもあった。何故ならまずその会場がよくある美術感やギャラリーではないと言うことがひとつ。今回の会場はあろうことか豊洲にあるIHIステージアラウンド東京と言う「劇場」なのである。しかもどうやら客席が360°回転する仕様らしいのだ。「なんだかおもしろそう」って思わないわけがない。

座席についてムービーから始まるOPとゆーのがそもそも初体験。そして香取慎吾の大事なモノが仕舞われているはずの禁断のジッパーを下げてドキドキしながらその中を覗き込むかのように誘われればそこはもうステージの上でありスクリーンの向こう側のエリアAである。大中小の数多の作品群、柔らかな光と微かに聴こえる不思議な音楽、ヘンテコなオブジェ。嗚呼そうか、今自分は香取慎吾に食べられたのだ。これからゴクンと飲みこまれる寸前で咀嚼されてる。唾液が自分に絡みつきぐちゃぐちゃにされる。好きと嫌い、有りと無し、キモいと可愛い、面白いと悲しい、相反する感想がカオスとなり目に飛び込んでくる。すべてがグロテスクである。暗い闇の向こう側からニュるりと手が伸びてくるかのような不気味でネガティブなグロテスク感もあれば、笑うしかないようなユーモアを含むポジティブなグロテスクもある。どっちかじゃなくてどっちもある。さて、飲み込まれて胃の中に落ちる途中で彼の心臓の脇を通った。温かくて力強い鼓動。震えながら打つ脈の速さ。まるで彼に強く抱き締められているような感覚。呼応して自分の心臓もドキドキするかのようだ。あああーと叫ぶ刹那彼の胃液に溶かされる。自分と言う個は分解されて彼の栄養分になっていく。「見られてないと死んじゃう」と言う彼を見に来たが故、彼の栄養になれた。うむ、余は満足じゃ!と思いながらエリアB→Cへと移動していき、最後の最後に彼からのギフトを受け取る。彼の腕のオブジェと指切りげんまんをしてその写真を貰える。なんの約束?また遊ぼうねって約束でいいのかな。「約束の場所」でまた会えるよって思ってていいんだなあとぼんやりしながら非常に快適かつ気持ち良くポーンと排泄された。まさに私は彼に食べられ咀嚼され飲み込まれ消化されうんことなって排泄されこの世に戻ってこれたのだ。その間の彼の体内を覗く旅はほぼ宇宙旅行のようだった。香取慎吾のうんこちゃんとして再生した私はどうやら「いい感じに気持ち悪い」と言うのが癖になりそうで、あと数回通うだろう。そしてこの沼に何も知らない子羊をどうやって引き摺りこめるだろうかと人選を始めてしまっている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?