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花布

私が知らないことを知っている。尊敬、それだけで関係性は続く。
恋の仕方を忘れたと嘆くなら、自分の細胞と遺伝子に足りないものを問うては、どうか。

悠太は、何を教えてくれたんだっけ。とりあえず、寝たんだから、私は、きっと何かを教えてもらったはずだ。

それとも…この指か。ささくれだっていて、洗っても洗っても落ちないほどの黒い油汚れがついた爪。皮が厚くなって、乾燥しているけれど、手のひらごと包むように触れる、この指が好きになったのか…

しきりに、指をさする私に何を思ったのか、彼の顔が近づいてくる。あぁ、この早とちりも好きかもしれない。

(内容に合わせたのではなく、シンプルな装丁だけど、花布の刺繍が素敵だったので)

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