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会社に行かなくていい日


命からがら逃げた先に、大勢の人の背中…廃墟に駆け込み、助かった。と思ったら、全員、ゾンビ。みたいな駅。
黙々と、下を向いてスマホをいじっている。外は快晴。照明の落ちた駅構内に巨大なイソギンチャクが君臨したようだ。改札で運行情報を確認するまでもなかった。
 私は、イソギンチャクの間を抜ける気力もわかず、踵を返して、たった今とめたばかりの車に向かう。駐車料金には目をつむる。

「来ることなかったのに」

傷つく。心配からくる言葉とわかっていても傷ついた。

24時間、命を預かる仕事。やれる人がやればいい、
でも、ミサイルが飛んでも、大雨が降っても、大震災が起きても…会社に向かう人々。

何かあったら、やらなくていい仕事なんで、最初から、やらなくていい仕事。私がいなくても成り立つ仕事。私はいなくてもいいとは思いたくないから、今日も仕事に向かう。

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