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スマホが水没した。

これは筆者のスマホが旅先で水没した時の記録である。大袈裟に「水没」と言ってみたが、決してスマホが水面の下に浸かった訳ではない。水しぶきがかかった程度である。それにも関わらずスマホは緩やかに寿命を迎えた。
特にまとまりもなく長文だらだら垂れ流すので読みづらいところがあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。

前提

  • 筆者が使用していたスマホはiPhoneXSであり、買ってから5年目である。

  • 筆者は以前、iPad mini 4 を水没させた苦い経験がある。

  • 筆者がスマホのデータの中で最も大事にしているのは写真である。曰く、「お金はまた働いて稼げばいいけど、写真はなくなったら二度と返ってこないから」

  • 筆者はiCloudを信用していなかった。

  • 上記にも関わらず、筆者はiPhoneのバックアップを半年ほど怠っていた。端的に言えばアホである。

ここからが、ハワイ旅行中に起こった当日の記録である。

17:00

筆者は旅先のワイキキビーチで、iPhoneを片手に浅瀬(水深約30cm)のところで立っていたら、想定外の大波がやってきて、足元を掬われて転ぶ。
iPhoneを持っている手はかろうじて水面の上を維持するが、水しぶきがかかる。(水面の上を維持したと断言できるのは、動画で大波の様子が残っているため)

18:00

ワイキキビーチを十分堪能した筆者たちは、Discordでいつものサーバーの通話に入り、カメラをオンにしながら砂浜を後にする。
途中から通話の相手が筆者の声に全く反応しなくなったので、音声トラブルかな?くらいの軽い認識でDiscordの再起動などを試みるが、治らない。

19:00

ホテルに戻ってシャワーを浴びた後、念のためボイスメモなど他のアプリも試してみたところ、やはり筆者の声が入っていない。なので、ハードウェアの問題と判断して、ワイキキにあるアップルストアに行くことを決める。この時点ではまだそこまで深刻に捉えていない。毎週金曜日はワイキキビーチで花火があがるらしいと聞いて、ついでに近くのアップルストアにも寄ってみるか、くらいの気持ちである。

19:30

アップルストアに到着する。Genius Bar に予約が必要か聞いてみたところ、混んでないのですぐに入れるとのことだった。そこで店員に症状を軽く説明し、一旦花火を見に行きたいので花火が終わったらまた戻ってくると伝え、アップルストアを後にする。

20:00

花火は音だけ認識したけど視覚では確認できずに終わったっぽいので、アップルストアに戻る。
道中、iPhoneをモバイルバッテリーに接続してみると、液体を検出したため充電を中止した旨のメッセージが表示される。ここにきてやっと、iPhone内に海水が入り込んだ可能性に気づき、焦る。店員に症状が増えたことを伝えたところ、店員がLightningジャックの入り口部分をイソプロピルアルコールのウェットティッシュで拭くことで水分を除去し、再び充電できるようになる。ここで一旦安堵してしまう。
その上で店員から、まずやるべきはiCloudにバックアップをとることだと言われる。iCloudは無料の5GBでは到底足りるわけもなく、写真だけで5000枚以上20GB以上はあったので、iCloudを50GBのプランに課金することを決断する。残念ながら閉店時刻間際なので他にできることはあまりなく、翌朝また来店して欲しいと言われる。
ところで筆者のアップルIDのリージョンは日本で固定されていたが、iCloudに課金するにあたりリージョンをアメリカにしたほうがいいと考え、新しいアップルIDを作成する。これが後にとある影響を及ぼす。

20:45

アップルストアを後にして、iPhoneで写真を撮影しようとすると、画面がチラついていることに気づく。症状が増えたため、急いで閉店直前のアップルストアに戻り、先程の店員に説明すると、店員も事態を把握したらしく、以下のアドバイスをする。

  • 速やかにiCloudで写真のバックアップをとること。

  • そのために、ホテル等Wi-Fiの安定した環境に行くこと。

  • バッテリーを切らさないように充電すること。

21:30

ホテルに戻る。もうこの時点で画面は半分が緑色になっており、誰がどう見ても死期が近いことが明らかとなる。海水の塩分は電解質で、回路をショートさせながら徐々に基盤を蝕んでいることを実感する。
まだかろうじて画面の文字が判別可能なうちに、ネットバンキングで自分の普通預金口座にお金を集めておき、デビットカードで大きな出費ができるように備える。

22:00

筆者と共に旅行中の友達から、彼が持ってきたMacBookでiPhoneのバックアップをとることを提案される。ありがたく提案に乗るものの、iCloudの設定などで手間取る。この時点ではiPhoneの画面はほぼ黒一色で、たまにかろうじて暗い灰色で文字が読める程度である。友達のMacBookに接続し、iPhoneの画面でパスコードの解除やMacBookを信用する操作をする。
無事にMacBookへの接続が完了したiPhoneは、バッテリーが何%かを確認する手段がMacBookの画面のみとなる。iTunesを開き、ローカルにバックアップをとろうと試みるものの、既にiPhoneの画面は黒以外の何も映さなくなっており、パスコードの解除に失敗したため、ローカルへのバックアップが不可能になったと悟る。残るはiCloudへのバックアップが無事に終わることを願うしかないという、不安な状況に陥る。

23:00

友達が見つけてきたサードパーティーのソフト「Dr.Fone」により、iPhoneの中のデータをサルベージできる可能性が伝えられる。友達に感謝し、$84という決して安くないソフトに課金することを提案される。もしiCloudだけで足りたら不要な出費ではあるが、そもそもバックアップ手段がひとつしかないことがリスクであり精神的負担の原因であったこと、筆者にとって5000枚の写真の価値は$84よりも高いと判断したため、即断する。

24:00

1時間弱ほどバックアップを行い、写真が無事に救済されたことを確認し、やっと安堵する。あとはiPhoneのバッテリー残量に気をつけながら眠りにつく。

07:00

起床する。iPhoneはこの時点で既に文鎮である。iCloudのバックアップが終わっていることを願う。

09:00

自分の中で自分へのハワイ土産として新しいiPhoneを購入する意思決定を固める。朝食の後、友達と別れて一人アップルストアに向かう。

09:30

早く着きすぎる。アップルストアの開店時刻は10:00なので、特にやることもなく、一旦ワイキキビーチに向かうことにする。筆者はここで初めて本当の意味でのハワイの時間の流れ方を体験する。スマホがあったらつい覗いてしまうこの現代社会で、スマホがない時の最も贅沢な時間の使い方を身をもって知る。

10:00

アップルストアの開店と同時に入店する。入店と同時に新しいiPhoneの購入意思があることを伝える。ここから古いほうのiPhoneXSを旧iPhone、新しく購入を決めたiPhone14を新iPhoneと呼ぶことにする。
新iPhoneはハワイ土産のため、ハワイっぽい色としてブルーを選択する。またケースはOtterboxの水色を、画面保護はBelkinを選択する。仕上げとして、新iPhoneにハワイっぽい名前をつける。かくして、新iPhoneを見るだけでハワイ旅行を思い出せる設定が完了する。

10:30

新iPhoneの設定を始める。最初は旧iPhoneから直接データの移行を試みるが、文鎮は何も反応を示さないので断念する。次にiCloudからのバックアップを試みるが、アップルIDへのログインには旧iPhoneや自宅のパソコン等他のデバイスでの認証または電話番号の認証が必要であると表示される。他のデバイスは使えないので、電話番号での認証しか残されていないこととなる。旧アップルIDは日本の電話番号と紐づいているため認証不可である。即ち昨日作成したばかりの新アップルIDと紐づいているアメリカの電話番号での認証が事実上唯一の手段となる。
まずは新iPhoneを工場出荷状態のデフォルトに設定する。携帯キャリア会社に連絡し、eSIMの移行を完了させる。そして新iPhoneをリセットし、eSIM以外のデータを削除、改めて新アップルIDにログインする。

11:00

iCloudのバックアップからの復元に関して、写真のみ復元が成功したことを知る。アプリ等のデータはバックアップされていなかったため、ゼロから設定しなおす必要があることを店員に告げられる。また新アップルIDはアメリカのアップルストアでのみ入手可能なアプリをダウンロードできる一方、日本のアップルストアでのみ入手可能なアプリは入手不可能であることを再確認する。但し既にダウンロード済みのアプリに関してはアップルIDを切り替えても削除されないので、旧アップルIDを使って必要なアプリを揃える裏技を伝授される。
自宅のパソコンは旧アップルIDでのバックアップが残っているので、復元できる可能性があることを示唆されるものの、当面の間必要になるアプリは手動で再ダウンロードするしかないと伝えられる。
とりあえず、YouTubeとDiscordとDuolingoをダウンロードする。

11:30

筆者は不器用なので、店員にBelkinの画面保護をやってもらう。YouTubeでGoogleアカウントのログインに手こずるが、旧iPhoneなしで電話認証のみでの復旧に成功する。全ての認証をスマホ任せにしていると、スマホが死んだ時にどれだけ不便になるのかを改めて思い知らされる。
AirPods の旧iPhoneとのペアリング解除が上手くいかずに困り果てるが、旧iPhoneとのペアリングを残したまま新iPhoneとのペアリングも可能だと教わり、言われたとおりに設定し、無事に新iPhoneでもAirPodsが使えるようになる。
午前中のうちにDuolingoで1レッスンをこなし、スピーキングで私の声が入ってることを確認する。

12:00

旧iPhoneはもう電源すら入らない状態であることが店員により確認されたため、リサイクルに出す。

以上。

結論

これが約19時間で起こった事の顛末である。元はといえば筆者の愚かさに起因するものの、もし迅速に行動していなければ写真は永遠に失われ、筆者にとって悪夢のような旅行になっていただろう。予定外の出費を痛くないといえば完全に嘘になるが、今はいろんな幸運に助けられて写真が無事に残ったことに感謝したい。
スマホの水没を舐めてはいけない。時間差でゆっくりと、しかし確実にスマホを蝕んでいく。水没の可能性に気づいたなら、一刻を争う事態だと認識したほうがいい。
最後に、筆者はiCloudには入っておいたほうが良いという結論に辿り着いたことを報告する。

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