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地震そして停電#総括 北海道室蘭より

モラル

数年前の大停電のときもそうだったけれど、信号がついてなくても譲り合って、高度に状況を読みあってちゃんとうまく走る。むしろ信号がないほうが事故が減るんじゃないかと思うくらい、みんな神経を使って運転をする。信号で警察が誘導しているから普段より長い待ち時間になるけれど、それでもちゃんと待っている。警察に文句を言う人を私は見かけることはなかった。

スーパーもコンビニのレジもガソリンスタンドも、ちゃんと並ぶ。当然横入りで小さないざこざはあるんだろうけれど、基本的にはみんな順番を待つ。

地震当日の朝と、翌日にコンビニに行ったけれど、買い占める人がいない。ちょこちょことかごに入れる人たち。

はたらく人たち

セイコーマートで「お店開けててくれて助かります」と言ったら「いやー!そう言ってもらえたら本当にありがたいです!」と答えるレジの女性。
お店を開けてくれる人たちだって、家は停電しているかもしれないし、ろくにガソリンを入れることもできない、お客さんと同じ状況の人たちなのだ。幸いにも私は仕事が休みになったけれど、この人たちははたらいてくれている。そのおかげでジュースと大福が買える。本当にありがたかった。

道新も発行された。地震の朝も配達されたし、翌日も印刷されて配達された。新聞が家に届くまでに実に多くのはたらく人が関わっている。その人たちも、停電した家から出勤しているかもしれない。

今まで見たことがない、広告が抜けたテレビ欄。自粛なのか、入稿が間に合わなかったのか、どういう理由で広告がないのかわらかないけれど、それでもこの広告が抜けた状態ででも印刷して届けようという気概を感じる。


Twitter

いつも災害が起きると「○○地名○○大丈夫」がトレンドに入る。いままでそれをなんの感情もなく見ていたけれど、今回「北海道大丈夫」と書いてあって、嬉しいなと思った。
そして、よく被災地の人が「ここで何が起きているのかわからない」というけれど、本当にそうなんだと実感する。でもTwitterで厚真や札幌市清田区里塚の状況を知ることが出来た。

【大仏建立の機運高まる】非常時の目印や避難場所として優秀な大仏に備蓄・発電機・燃料・電話基地局をつけてハイブリッド大仏にしたらいいんじゃない?」という記事も見た。こんなときに何をふざけたことを言ってるんだ、と思う人もいるかもしれない。でも私は、気持ちが和んだし、発想がすばらしいと感じた。

ちなみに停電の間、一番助けられたのは「特務機関NERV @UN_NERV」のアカウント。情報が早く、的確で、視点が多角的。
一番心を揺さぶられたのがこのツイート。

そっか…スマホの電池が減るから、必要なことにだけ使おうと思っていたけれど、音楽を聴いてもいいんだ。と思った。


お年寄りたち

TwitterやFBで流れてくる情報を町内会の掲示板に貼ったら、見に来る人がけっこういた。

ネットでしか入ってこない情報をネットが使えないお年寄りたちに伝える方法が必要だとつくづく思う。
路線バスが運行していないのに、バス停でバスを待つ人たちがたくさんいたと聞いている。そういう人が少しでも減るように、何かしら情報伝達の工夫をしないとだめだ。

停電を楽しむ

停電で大変な中、空を見上げると満天の星、洞爺湖で打ち上がる花火、家で花火を楽しむ人々に強さを感じる #北海道地震

私も満天の星をみた。うつくしかった。
実は停電も楽しんでいた。家でランタンを使ったり、暗くなったら寝るとか、工夫をしてごはんを食べるとか。特に静かさがすごく心地よかった。何のファンの音も聞こえない、無音と呼んでもいいような時間。

お湯が出ないし、気温が高いから、水で髪を洗っちゃおうとかも楽しかった。
冷凍している肉がとけちゃったから、どうせなら外でバーベキューをしようっていう発想もわかる。

今回停電を味わいながら『海辺のカフカ』(村上春樹)に多く出てくる言葉を思い出した。
タフ。
主人公はタフになることを追い求めていた。
そう。人はタフであったほうがいい。
普段は見せなくてもどこかにタフさを持ち合わせていれば、こういう時をたくましく過ごせる。
実際、停電中にはたらいてくれた多くの人々も、文句も言わず順番待ちをした人々も、電気がつくのを待っていた人々も、みんなタフなのだ。

今は、そういう人たちに感謝の気持ちしかない。

タイトルに「総括」とは書いたものの、もしかしたらこの後「本震」があって、この続きを書かなければならなくなるかもしれない。
そうならないことを願う。


(文・吉田一美@私にはこんなに大好きな人がたくさんいるのに期待を持って生きていくことを見限ろうとしていた。でもまだまだ見限るにはもったいないと思った。そして私が追い求めてるものはもっと大きくて、それは贅沢なことだとわかっているから小さく出来ればいいんだけど出来そうにもないから、そのままどうしても追い求めたいし手に入れたい。手に出来る可能性がとても低くてもだ。(←ちょっと中二病っぽいけど見逃してください))

この記事のつづきはこちら
地震そして停電#1日目 北海道室蘭より
地震そして停電#2日目 北海道室蘭より

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