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餅だけに伸びてのびて引っ張る新年会

2019年初めての豊島は、大好きなおとうさんと豊島のおかあさん、おねえさんの4人で外食。「(店を)予約したから。そういうのおねえさんが得意だから」と聞いていたので、おとうさんの車に4人で乗って行ったら、お店は貸切でした。

香大生が豊島の餅事情を聞きにおかあさんのところへ明日来るというのが、今日の話の始まり。香川は白味噌仕立てのあん餅雑煮というけれど、同じ県内でも地域によって味は違います。ここ豊島は醤油仕立て。長老もそうでした。
おかあさんの場合は、出汁に醤油で味を整えた澄まし風。丸餅は焼かずに、お澄ましに入れて柔らかくするところは聞いたけれど、具材はなんだったか。今度改めて聞いてきます。

数え年91才のおねえさんは、餅を喉に詰まらせたことのあるツワモノ。「こう、引っ張ってもひっぱっても、餅だけに伸びてのびてなかなかきれないんですよ。なにやら柔らくして伸びる粉が入っていたんじゃないかと思うんです」と口に手を当てて巻き取る様子を再現してくれる真面目な表情に、大笑い。
「そうや、餅は気をつけなんだらあかん。こまこう(細かく)してな、食べたわ」と、おとうさんもニコニコ顔。

餅つきの場面ではおねえさんの観察眼が生きます。「臼の周りに藁をしくんですよ、豊島で藁を敷くのを初めて見たので、どうしてだろうと思って見ていたら、ある時お餅がポーンって飛び出して、藁の上に落ちたんですよ。ああ、なるほどと思いました。藁をささっとのけたら、餅を臼に戻してまたつき始めたんです」

「わしは藁はしかなんだな」と、おとうさん。「玄関入ってすぐの庭でついた、竈(かまど)があってな、近いから」というので、よくよく聞いてみれば「土間」でした。「庭」というのはおとうさん独特の言い回しです。。
豊島石でできた臼は、石の性質上柔らかいため石の破片が餅に入り、白石の臼に変えました。おとうさん、家を建て替える時に、その石臼はもう使わないからと台座を切り取って、丸い部分を庭にうめて小さい水場に。以後は蒸し器のついた電気の餅つき機で。

「1臼2升、6〜7臼はついたな」という時代、お餅はご馳走でした。黒豆ともち米を一緒に蒸して、「つくというより、合わせるようにな」と豆餅もついたと聞きました。豆餅! 関東にはないお正月の食文化(栃木はあるようです)。のし餅にしたの? どうやって食べるの? 食べてみたいと盛り上がったところで「家に一切れありますわ。そんならなみちゃんに」とおねえさんがおっしゃるので、最後の一切れをいただくわけには参りません。丁寧に遠慮したのですが、どうやらおねえさんは豆餅を冷凍したようです。おかあさんから報告がありました。

次回、ありがたくいただこうと思います。


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