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悲愴ベートーヴェン

 790文字

  こんな風景でも春めきが見える。
  心の何処かがぽよよーん、ピンクとスカイブルーとレモンイエローの風船が、パステルカラーの風船が空気一杯でお空に、ぽよよーんフラフラ登って行く。
 木々の中で一番乗りで葉っぱを出すのが柳の木、柳の花粉が飛び交っている、もう少しすると柳の花は地面に落ちる。
 ある日、お天気は輝きそよ風が吹きヒバリが空の高い所、声の主を探して見つけた事がないが、そんな日にポヨポヨと散歩にお出かけ、まだまだ緑の物などない枯れ葉色の風景。
 目に飛び込んで来た幼虫、ギヤーギヤーと心が叫び、その現場で心臓をキュンと止めてフリーズした。
 私はフリーズするとリスの様にその場に、微動だにしないで石ころになってしまう。
 私の嫌いな虫の幼虫に見えてしまった、それも身体をくねらせた幼虫、4~5センチの幼虫が所狭しと地面に居るではないですか!!!
 フリーズが解けて2~3メートル逃げ、落ち着いて恐る恐るその幼虫をじっくり見つめた、柳の花が落ちたのね、胸を撫で下ろした事があった。
 そんな季節が今年も来たわ。

 車のオーディオ、タッチパネル wq! 突然うなり出すラジオ放送、指先が画面に触ったのだろう、慌ててOFFスイッチ、タッチミス、慌てて何処かを触る、ババババーンとCD、ベートーヴェン悲愴、ピアノソナタ第8番が、私の意思など関係なく流れ出した。
 走行しながら止めようとして左手が僅かに動いたが、待てよと手が止まる。
 ぽよよ~んの春の陽気に似合わない、それも朝~次々に風景は過ぎ去り風もまばらで青空に、ベートーヴェンの悲愴を聞きながら2時間程運転してしまった (笑)
 
 停車して写メ~ ムムムッ 深呼吸するのを辞めてしまった。
 畑に栄養補給しないといけません、大きな一億のお値段の機会が畑の中を行ったり来たり、尿散布、たい肥散布、私は未だにこのかぐわしい香りに慣れずに息を止め、少しづつ空気を吸う季節が来ちゃったわ。
 

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