と、いうのが、同人誌の楽しみだったんですよ 小浜さんとファンジンの話をしました(短めに) 20170806版

この文章のPDF版(注もついています)は以下からダウンロードできます。 

http://7ri.o.oo7.jp/fzc/dl/fzt_170806.pdf

「SF初心者カフェ ~同人誌の回~
supported by ドンブラコンLL」
2017/1/29(日)
於:「オタク・サブカルBAR Swing-By(スイング・バイ)」
http://swing-by.tokyo/
配信:日本SF大会チャンネル(ニコニコチャンネル)
http://ch.nicovideo.jp/sfconch

登壇者のひとりである七里寿子が再構成した。
文中は基本的に敬称略とした。
< > として配信中によせられたコメントを掲載した。

関係者各位には、誤認の指摘、追加の情報、また感想などがありましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。

登壇者紹介

小浜徹也(こはま てつや)
SFファン活動研究家。「SF初心者カフェ」では各方面のゲストスピーカーから話を引き出しつつ、補足(ツッコミ)をしている。東京創元社編集部。

七里寿子(しちり としこ)
「SFファンジンコレクション」レトリーバー。第45回日本SF大会みちのくSF祭「ずんこん」(2006年)実行委員長。大学入学および日本SF大会初参加は1991年(第30回日本SF大会i-CON)。

昔、というか1990年代のこと

小浜 むかしはね。昔はっていうと25年くらい一気に遡っちゃうんですけれど。
七里 25年というと1990年くらい?
小浜 90年くらいまでは、SF大会 に行くと、SFの同人誌ってみんなそろってたんだよね。でなくても、そのローカルコンベンション というか、ミニコンベンションというか、SFセミナーであるとか、京都SFフェスティバルであるとか、DAINA☆CON(ダイナコン・名古屋ファンダムの「大名古屋コンベンション」)であるとか、に行くと、みんな自分の同人誌持ってきて売ってたんだよね。
七里 今でも持ってくる人は持ってきますよね。
小浜 でもねえ、すっげえ減ってる。SFの同人誌っていうのが、本当にあれは、90年にTOKON9 ってのがあって、その時のディーラーズルーム っていうか同人広場なんだけど、そこに行って俺、愕然としたんだけれど、めっちゃめちゃ減ってんの!同人誌が!で、最新号持ってきたってのも激減してたって記憶があって。
で、まあ90年代ってのはそのころからコミケ が隆盛していってて、例えば学生がSF大会に来るのに、お金がかかるっていうので、コミケにがんがん流れ始めた時期でもあるんですよ。で、SF大会めざして同人誌を作るってことがなくなっていて、そこからちょっと見えなくなっていったってのもある。
あと、昔は徳間書店の『SFアドベンチャー』 っていうのに同人誌紹介コーナーっていうのがあったんだけども、それが、まあなくなり、アドベンチャーもなくなり、っていうことがあって。あの、マスにむけて同人誌事情を紹介する媒体ってのは無くなっちゃったんだよね。
で、それまでは、そこをチェックしていたら分かったんだよ。あるいはSF大会行ったら分かったんだよね。
<TOKON9は、コミケと日程が重なったんでしたっけ?>
で、今のコミケを想像してくれたら良いんだけれど売り手と買い手の直のコミュニケーションとかがなりたってた時代があったんだけれども、それが、90年代にいっぺんに失われて、その時に、代わりに出てきたのがネットファンダム なわけですよ。
その、例えば、それをチェックしたら同人誌では、どこにどんな奴がいて、何をやっているっていう、アマチュア活動の面白さが確認できて、自分もそれと関わりあいになれるかもしれない、という楽しさがあったのが、なにか、手がかりがどんどん失われていった時期。っていうのがある。それを、あの、七里は、もう一回、回復したいのかな、って。
七里 できたら良いですよね~。
小浜 うん。でも、昔はそうして媒体チェックしてたんだよね、いちいちお手紙書いて。
七里 手紙、便箋を出して、こう、手書き 、ですよね。
小浜 いちばん簡単なのは往復葉書なんだよね。
七里 往復葉書?!
(会場から)八潮 あと、返信用封筒。往復はがきと同時期に。
小浜 どこで、あんたの同人誌を知りましたと。ついては、ゆずってくださいと。どうしたら良いですかと(問い合わせる)。
たいていの場合、郵便為替、定額為替(小為替)で、いくらを送ってくれたら良いですよ、と(返事が来る)。そういう手続きを経て、お金を送って譲ってもらう、というか、買うっていうのがあったんだけど。
昔は雑誌とか読んだら、連絡代表って言って、窓口になっている人の住所が載っていたわけですよ。でも、そういう文化が失われつつあるじゃない?
会場から 奥付ですね。
七里 あ、ファンジンの、同人誌の奥付にリアル住所 が載ってたって話?
<平井和正はファンレターで病んでしまった>
小浜 そう、それで、さらにいろんなところで公開していて、俺に、連絡くれたら売ってやるよ、という役割の人がいたんだけども、そういうことも無くなっていき、逆に、コミケ的な即売会のような対面販売しかなくなってきた、という現実もあるにはあるんだけどもね。

昔、というかファンジンということばが生まれたころのこと

小浜 あのね、同人誌交換ってのがあるんだよね。
七里 ありますね。
小浜 うちの同人誌あげるから、ちょうだい、みたいな。
七里 今でも、コミックマーケットでブース の隣になったところが、本日の新刊ですのでお納めください、と隣に手渡す、というような。あ、こちらも、というようなの。(会場の若年齢層に)今でもやってます?
若手 やってます。はい。最近は少なくなってるって聞きますけど。あと、同じジャンルの中でやってたりとか。
七里 これがね、やっているところと、やってないところがあるみたいで。
(運営)ぱぱりん 島 によってもある。
<物々交換ですかー>
<歴史ジャンルで出てたころは交換してたなあ。>
八潮 大手とお向かい、とか。
小浜 それ、昔、商業誌の世界でもあってね。
交換広告ってのがあった。うちの雑誌があんたの雑誌の広告載せてやるから、あんたの雑誌に載っけてね、とか。70年代に非常に普通にやられてた。部数とか、そんなこと気にしない場合ですよ。で、まあ、そういうことは、商業もアマチュアもあまり変わらないということですね。
で、補足しておくとファンジン(↓)、という言葉、ファンジ(↑)ン、とも発音するんですが。
(進行)甘えび どっちが正しいんですか?
小浜 さあ?
会場 (笑)
小浜 でも、これっていうのは、アマチュアがファン、なわけですよ。で、ジンっていうのがマガジンのジン。これに対抗する概念としてプロジンってのがあって、これが商業誌なわけだけど。
で、その間に位置するものがあって、半分商業、半商業誌(はんしょうぎょうし)というんだけれど。
80年代前半に、例えば、当時、異常に専門的なことを言うと、総会屋系雑誌の撲滅みたいな時期があったり、あとは80年代にISBNが導入されることがあった時代なんだけれど。それが、あいまいだった時期ってのがあって。
<反商業誌連合>
今回チラシ に載っている『綺譚(きたん)』 っていうのも、そういう、あの、雑誌だったり、したんだよね。
七里 これ、同人誌扱い?
小浜 いや、同人誌では、ないです。これは、書店で売られていました。
で、『奇譚』って、奇譚社って、栗本(くりもと)薫(かおる) さんとも関係が深いワセダミステリクラブのOBがやっていた、プロの書き手が、エッセイとか集めてやっていた、まあ、同人誌っちゃ同人誌でありまして。
その、半商業誌社会で言うと、『SFイズム』 とか『SFの本』 とかっていうのが昔ありまして、これもそういう中のひとつ。
七里 『SFイズム』は同人誌? 半商業誌?
小浜 半商業誌。ただ、三木書房がついていたのでね。現実にはいえないんですけども。
それで、立派な同人誌を書店で売るっていう時代があったんだよ。
七里 どういう書店でですか?
小浜 どいうのって、実は、70年代とか80年代半ばには、普通の本屋が、同人誌を置いてたんですよ。
80年代いっぱいでも、同人誌を持っていったら賭け率は非常に低いんだけれども、売ってやるよ、といっておいてくれてた店があったの。で、1970年から80年代にかけて、神田の三省堂本店で、エスカレーター上がった2階の一等地に、SFの同人誌がずらーっとあったの。
こう、いわゆる今でいツラ見せですよ。こう、差すところに、ずらっと。
七里 雑誌棚みたいな。
小浜 そこで、主要な同人誌は、三省堂本店で買えたのよ。
七里 へええ!
<今でも漫画専門書店では委託販売してますよね>
<お茶大SF研の『コスモス』も神田三省堂で売っていたな。 @バラ宮崎>
小浜 これはね、ビリビリ酒場 で、亀和田(かめわだ)武(たけし) さんたちが70年代の「一の日会」の思い出を話したイベントがあってね、その時に行ったら、亀和田さんはなんと、あの、書店で『宇宙塵』買ったのが最初だと言ってた。
名古屋の、名古屋じゃない、神戸のジュンク堂、今のジュンク堂が全国展開する前に、三宮に拠点があった時に、俺は81年に初めて行って、そこで『宇宙塵』ってのを本屋で買うわけですよ。
だから、あの、同人誌ってのが書店で買えた時代があって、だから、本当にちっさい書店に同人誌のスタンドというのがあって、そこで、たとえば、私の詩集、買ってくださいみたいなのがあった。当時からみんな、印刷とか造本とかこってて、みんなきれいで、かわいいんだよね。
七里 大きさはどんなかんじです?
小浜 大きさは、まあA5版、ないしそれより小さい。
こんな70年代のミニコミブームってのがあったの。
ここで「ファンジン」という言葉に戻るんだけど、なんで、こういう言葉を使ったかとうと、もちろん、アメリカのSFファンダムから始まった言葉ではあるんだけれども、なんでぼくらは同人誌といわなかったか、ということを言っておかなきゃいけない。
というのはなにかっていうと、70年代いっぱいぐらいまで、同人誌というのは「地方文壇」だったのね。それぞれの都道府県に地方文壇というのが存在して、まあ、純文の地方組織なわけですよ。いわゆる文藝同人誌、ですよ。
七里 俳句を作りました、とか、そういうかんじ?
小浜 それは、結社 っていって、またべつなんだけどね。
七里 結社。同人結社。
会場 (笑)
小浜 あの、「同人誌」っていうのはそういうものの、文学の用語だったので。
<地方文壇。><大いなる助走の世界ですね>
それは50年代、57年に柴野(しばの)拓美(たくみ)さんって人が『宇宙塵』って同人誌っていうか、同人サークルを立ち上げるときに、ぼくらはそうじゃなかった、少なくともぼくはそうではなかった、という言葉があり。
<秘密結社株式会社>
62年に『宇宙気流』っていう第二のメジャーな同人誌がはじまった時にも、これは言えるし。
わかりやすいのが、夢枕(ゆめまくら)獏(ばく) さんがね、あの人は70年代の半ばに出てくる人なんだけれども、あの、同人誌、いわゆる文芸同人誌に所属した時にものすごい温度差を感じた、と。
きみにとって原体験とは何かね、と必ず聞かれると。さっぱりわかんない。原体験、原風景か。
七里 ああ。
小浜 原風景って何かと聞かれると。その話をきかれると。あなたにとって一番つらいことはなにかと聞かれると。
七里 私小説的な。さらけだせといわれる、と?
小浜 そうそう。で、それを、小説にすることが文芸だって。で、獏さんは、バカかっていって、SFに合流するわけですよ。もともとSFファンだったわけだし。
っていうふうなことがあって、いちばんわかりやすいのは筒井(つつい)康隆(やすたか) さんの『大いなる助走』 っていうのがいまでも手に入ると思うんですけれど、も! ここで、中央文壇と地方文壇として、パロディとして語られる世界ってのがあって、(SFの「ファンジン」は)それとは違うもんだっていう認識は、おそらくSFファンの中にあったんだよね。
で、自分たちのコミュニティ、自分たちの世界でSFの活動をする、今で言ったらサブカルの一ジャンルでしかないんだけれども、っていうのを自分たちの文化だったというので、SFの世界では積極的に「同人誌」って言葉は使わなかった時代があった。で、それが、おそらく80年代いっぱいまで、僕らはファンジンです、同人誌ではありません、って。
ところが同人誌って言葉が文芸同人誌ではなくて、いわゆるサブカル系の同人誌ってのがメジャーになっちゃったわけですよ。
<DAICON以前かな?>
<むかし現代用語の基礎知識で、ファンジンは文芸同人誌よりミニコミ誌に近いという説明があった(記憶頼り)>
甘えび いまちょっと、コメントのほうで、<むかし現代用語の基礎知識で、ファンジンは文芸同人誌よりミニコミ誌に近いという説明があった>と。
小浜 ほら、俺、言ったじゃん! 今、だから。
で、それはSFだけの世界の話じゃなくて、今日持ってくるの忘れたんですけれども、そういう、ミニコミ系同人誌を網羅した研究カタログっていうのがあって、そこで、もやっぱりいわれることで、かれらは、「ジン」と呼んだ。
これはね、新潟にいるあぶとくって奴もね、彼はジンってすぐいうんだけれども、いわゆる雑誌的な物、ミニコミ的な物もジンと呼ぶ。で、商業誌だって、基本的には運動体なわけだから、ある種の。そういうことに対する、コミュニティ的な求心力を夢見たことばだったのかもしれない、と思うわけですよ。
特に70年代、学生運動が終わった後、政治的主張ってのがいっぺんに失われていくわけですよ。四畳半フォークみたいなものがでてきて、ニューミュージックに変わっていく時期があって、政治活動ってのが若者文化から無くなっていく中で、サブカル的なものがぶわっとでてくるんだよ。そういう時代と、足並みをそろえていたように、俺は、思う。
っていうのは、ついついSFの歴史を語るとSFの同人誌だけを、こう、セグメント化して語りがちなんですよ。もうすぐに、その話に移りますけれども、『宇宙塵』から始まるファンジンの歴史っていうのを語るんだけれども、でも、そんなことは無くて、やっぱり、ある種のコミュニティを選んだ活動だったわけですよ。もっと違う人生あったかもしれないんですよ、俺だって!
会場 (笑)(拍手)
小浜 だけど、この世界がいちばん居心地が良かったというか、得意だったわけで、やってきて、いろんなサブカルっていうのがあるのが本当だと思うの。バンド文化 みたいな盛り上がりも、あったわけだし、もっといろいろあったわけだけど、そういうのと隣接していたと、ぼくは論じたいんだよ。いわゆるSFファンジンというものを。
もちろんSFファンジンが80年代中ごろまではすべての情報が共有される時代というのがあったので、たとえば、その、この同人誌の影響を受けてこれをつくりました、というか、縦の影響ってのは絶対あったんだよ。
<わかるわかる>他所のファンジンに憧れて作る>
小浜 俺だって、学生の頃同人誌作ったころは、先行する同人誌にすごいあこがれて、あの、当時は、グループごとだったので。
七里 グループ?
小浜 地方のグループが自分たちの会誌として同人誌を作っていたわけですよ、ユニット的な同人誌とか。個人っていっても、やれることはたかが知れていて。
<昔のファンジンはとにかく労働集約的だったからなあ。>
七里 その当時、個人ってなかったですよね?
小浜 いや、あったあった。ガリで、ペラ一枚とかね。
甘えび ガリ!
会場 (笑)
小浜 ガリ版 で。あるいは、コピーのほら、両面印刷して折って4頁とか。
七里 こういう形 でございますね。

まねきねこ通信 
まねきねこSFファンクラブ有志 2016/10/1

小浜 そうそう、これは、小奇麗だけどね。
これが手書き文字だったり、した時代ってのがあって、でもやっぱり、それは個人の名刺代わりのコミュニケーションをとるためのものだったりしたんだけども。
その、SFの中の歴史で語るのは大事なことで、それは語らなければいけないことなんだけれども、やっぱ、その伝統っていうのは、90年代に入って断絶した感じがあってね。
で、だから、今回のテーマのように、同人誌っていうものがあって、その中でのSFというセグメント、という形で語らなければいけないという時代にいつの間にか変わっちゃっている、と認識しているんですよ。

ファンジン紹介色々 (七里寿子セレクション)

小浜 で、それはともかくとして、今回、スピーカーとして、この七里寿子をですね、お招きしたのが、これです。

SFファンジンコレクション(仮)カタログ2015 
SFファンジンコレクション(仮) 2015/7/1

『SFファンジンコレクション(仮)カタログ2015』!

SFファンジンコレクションカタログ2016 
SFファンジンコレクション 2016/7/1

七里 と、2年目は『SFファンジンコレクションカタログ2016』。
小浜 つまりですね、七里寿子が、去年 ぐらいから、今SFの同人誌ってのは何が出ているのかと、いうことを、ちょっと収集して回ろう、というか情報を集約して回ろうと、思って、こういう、ね、同人誌に集約してみようということをやってきたわけですよ。
具体的に同人誌売り場を回っていたり、友達がくれたり、したの?
七里 私の定点観測は、日本SF大会のディーラーズルームとあと、コミックマーケット、夏冬に行われる、いちばん日本国内で行われる大きいであろうコミックマーケットというイベントで、そこでこの前の夏までSFというジャンル(独立ジャンルコード) がありました。
小浜 無くなっちゃったんだよね。
七里 去年、2016年の冬(C91)から無くなりました。
昨夏(C90)まではあったのが無くなり、でも、だいたい評論のSFのところと学漫(がくまん)、会場のお若い方もご存じの学生漫画のところで、何件かSFがあるってところ(くらいにSF関係のサークルが配置されていました)。で、安心していたら、やっぱりだめで、≪星界の紋章≫ のサークルは、1日目 の、小説ファンクラブだったり、明大 SF研さんは、2日目の創作の歴史のところだったりで、予想外のところもありました。
で、来年とか次とかどうなるかわかりませんが、私のためにジャンルコードを復活してくれるといいなとは思うんですが(笑)
<しかしこれは初心者向けのテーマではないのでは?>
<テーマについては突っ込まないで!笑@甘えび>
小浜 でも、おもしろいよね、SFって評論にセグメント化されるってとても面白くて。
七里 そうそう、評論の。私、ここ、使ってない申込用紙 があるんですけれども。
小浜 はい、ん?
七里 ここの、評論のところに「SF・FTの評論を含む」って書いてあるんですが、それなんで、できればここに寄せて欲しいという話になっているの、かなあ、コミックマーケット側では、と思います。
小浜 でも、それはねえ、ある種やっぱり、感触的に正しいところがあって、SFの同人誌ってまあ、創作やっているところはあるんですけれども、翻訳とか書評とか今の感覚で言ったら評論に近い立ち位置だったりするので。
でもSFの同人誌って、コンテンツありきで作られることがあまり多くないような気がするんだよね。
ひょっとしたらSFの世界で二次創作ってきわめて少ないんだよね。で、マンガ文化もきわめてちっちゃいんだよ
まあ……逆に言うと、マンガ文化の中のSFは大きいんだけど。
七里 小さくない、ある程度あるんだけれども、それを、ひろうだけのリソースが私に無いので。
小浜 でもさ、マンガの話にしてもアニメの話にしても特撮の話にしても、それはSFにってありえるんだけれども、おそらくそれを僕らは文章の形で、いろいろ意見表明していた、っていうのが多いってのは、ちょっと思いましたね。
七里 はい。
小浜 さびしいな、って思いますが。
七里 さびしいなって思いますが、まあ、すごく増えたら考えなくもないよっていうのがコミックマーケットさんの見解でありましょうことなので。
小浜 はい、で、まあ、七里が去年、今年と集めてきた、まあ、もっと前から集めてきたSFの同人誌というものを、みんなに紹介して欲しいな、ということで。
七里 えーそんなに、これは無いよ、見たこと無いよ、というのは無いかなってところなんですが。
小浜 俺、でもねえ、三分の一くらい知らないよ。うん。
いきましょう。七里が解説して、俺が突っ込みいれる。お前紹介間違ってるよ、とか、そういうこと言う。

宇宙塵 199 宇宙塵 2005/6/30

七里 じゃ、はい! 『宇宙塵』です。
小浜 『宇宙塵』です。1957年創刊、日本最古のSF同人誌でありまして、ちりともいわれます。ウチュウジンっていうのは最初、いちばんさいしょ、同人誌作る時に人だったんだよね。
七里 ヒト? 宇宙の人の宇宙人?
小浜 人。スペースマン。エイリアン。で、それを、印刷屋に原稿入れる直前に、その、主催だった、とても立派だった、日本SFファンダム の父と言われる、 柴野(しばの)拓(たく)美(み)さんっていうひとが、ヒトよりもちりがかっこいいな、って。これがひとだったら、もうつぶれてるよね。
会場 (笑)
小浜 という、200何号 をもって、3、4年前にもう、おわりを宣言した同人誌なんですけれど、日本の『SFマガジン』 と同じに、SF界を動かした同人誌であって、全盛期には1000部くらい作ってたんだよね。
<いきなりトリビアに突入>塵>
七里 2005年の199号というのを、たまたまもってきたんですが、持ってきてあれ、と思ったのが、その当時の、第87号の『宇宙塵』ではこのようなファンジンの話をした、とかいうのが、再録されてたんですよ。
小浜 (この号には)むかし、柴野さんがやった同人誌レビュウっていうのを、あの、復刻したっていう頁があって。はい、これはね、『宇宙塵』っていうのが、日本のSFの同人誌のターミナル的な位置づけを果たしてですね、主催の柴野さんが、非常に几帳面な人で、いろいろな同人誌が送ってくるのを、全部いちいちコメントしてたのね。だから、この、『宇宙塵』の同人誌レビュウのコーナーが、ひどい時は20頁くらいあって、それで、もう、ここで、とりあげて、コメントしてもらうってのが、全世界の、全世界じゃない(笑)全日本のSFファンのあこがれだったのよ。俺は何行コメントしてもらった、って。
甘えび 行!
小浜 行を競っていた、という。
会場 取り上げる冊数が多いから。
八潮 それこそね、言ってもらえた、というだけで。
小浜 『宇宙塵』っていうのは基本的に総合誌で、創作、評論、翻訳、エッセイって、すべててんこもりだった雑誌であって、創刊のころっていうのはSF界のオピニオンリーダーだったわけですよ。そしてまた、柴野さんがこれを新聞社に送るわけですよ。そこでけなされていると、言論の世界に影響があるわけですよ。
で、それに、むかっとして怒ったのが福島(ふくしま)正美(まさみ) だった。

宇宙気流 No.88 SFM同好会 2014/12/18

七里 そして、それで、『宇宙気流』の話に行きます。
小浜 あ、『宇宙気流』っていう、また、これがですね、1962年に日本SF大会の第1回 っていうのが開催されまして、その第1回SF大会っていうのが、実は、この『宇宙気流』の発足の会合を兼ねていたんですよね。「SFマガジンファンクラブ」というのをたちあげるぞと、いうのをはじめて。
実はその時の発起人になったのが、紀田(きだ)順一郎(じゅんいちろう)さん、という、非常に有名な書誌研究の人。博識な、ミステリや幻想文学でも有名な。それと、脚本家で有名な、SFでいえばですね『ふたり』 という赤川次郎の原作の、アレを書いた桂(かつら)千穂(ちほ)さん、このふたりっていうのが、ある日、柴野さん宅に行くわけですよ。柴野さん、日本SF大会っていうのやりましょうよ、って。だから、柴野さんがワールドコンというものを知っていて、日本SF大会をスタートしたとは必ずしも言えないんではないかと。
で、このふたりは、すぐ、すっといなくなっちゃう。で、あの「SFマガジン同好会」(SFM同好会)というのが発足して、そのあと、「一の日会」ってね、御茶ノ水で、喫茶店に1のつく日に集まろうと。
会場 渋谷。渋谷。
小浜 あ、渋谷か、渋谷で、1のつく日に集まろうと。1日、11日、21日、31日、と、1日が連続していたらふつか、連荘だったんです。
甘えび 連荘でもやってたんだ。
小浜 やってた。
(会場から)御前(みさき) なんで1のつく日にしたかっていうと、31日と1日と、ふつか続けて集まれるからと。
<御前せんせいの声が聞こえる。>
甘えび そこが、理由なんだ。
小浜 その会合も、始めたっていう流れにつながっていくんですけれども。
七里 それは、カスミ ?
小浜 それは違うでしょう
八潮 79年か8年か9年くらいから、土曜日になっちゃったんですよ。
小浜 毎週土曜日。
この間もね、この『宇宙気流』が、「SFマガジン同好会」ってものが無かったら、ちょっとそらおそろしいよね、って話になって。
『宇宙塵』からは作家がすごい出たんですよね。あるいは『SFマガジン』に連絡があったら、ちょっと同人誌紹介するよ、みたいな流れがあって、たとえばね、あれね、山田(やまだ)正紀(まさき) さんだったんじゃないかな、SFファンでSF小説書きたいって時に、SFマガジンに大胆にも電話したの。
そしたら、電話に出た人が──きっと、南山(みなみやま)宏(ひろし) だと思うんだけど!──。
会場 (笑)
小浜 『宇宙塵』っていうのがありますよ、って紹介されるとか、そういう行き来があった。逆に、柴野さんが受け取った原稿を、いや、これちょっと良いんじゃない、っていってSFマガジンに渡すとかね。っていう関係性があったのですよ。
で、『宇宙気流』っていうのは、どっちかというと、研究家や翻訳家をたくさん輩出した団体で、親分だったのが伊藤(いとう)典生(のりお) さん、で。
七里 この号にも書いてますね。
小浜 あと、いろんなプロも合流してるんですけれども。本当にアマチュアだけで終わった人もたくさんいるんですが、あの、たとえば鏡(かがみ)明(あきら) さんであるとか、横田(よこた)順彌(じゅんや) さんでであるとか。
八潮 森下(もりした)一仁(かつひと) さんとか。
小浜 森下さん、は、でも、そんなに、ここは大きくないんじゃないかな。あのぉ、っていう人たちが、毎晩毎晩、麻雀 していたという。
会場 (笑)拍手
七里 ちなみに、これは、2016年の第88巻号で。
小浜 はいはい、これはね、『宇宙気流』ってのは、70年代の半ばに一回とだえるんだけれども、その時の幹部、まあ幹部っていうと適切じゃないんだけど(笑)世の中的には幹部ですよ、林義隆さんというお医者さんがいて、その人が、平井(ひらい)和正(かずまさ) の、≪ウルフガイ≫シリーズで、リンセキリュウ(林石隆・リースールン)っていうかっこいい人がでてくるんですけれど。
会場 あれじゃない、超革中。
小浜 ウルフガイにも出てくるよ。最初は超革中 なんだけども、まあ、まあ、超革中よりも、ウルフガイのほうがとおりが良いと思って言っただけなんですけども。で、この名前だけモデルになった人で、本人はわりともっさりした人なんですけども。
会場 (笑)
小浜 彼が現役を引退して、シルバーになって、またはじめた、と。
七里 あ、そういうことなんですね。
小浜 最近の、同人誌は、シルバーが、がんばる!
甘えび 若くない(笑)
七里 ちゃんと奥付に郵便振替の番号とか入ってます。
小浜 うん。

SFファンジン 第59号 (復刊5号) 
全日本中高年SFターミナル  2015/08/14

七里 じゃあ、もうすこし、古い話、古いのを続けようと思うんですけども。
小浜 はい、またシルバー。
七里 シルバー、『SFファンジン』 No.59
小浜 年に一回ね、もう、5,6年。
七里 もう、復刻5号になってます。
小浜 はい。
七里 で、これ、プロの寄稿もたくさんあります。難波(なんば)弘之(ひろゆき)さんをSFのプロっていうかというと、あれなんですけども。
小浜 いやいや、そうでしょう、そうなんだけれど、結局これは、ですね、あの、今、還暦を迎えたような、70年代にファン活動をしていた人が、また再結集した、もので。「イスカーチェリ」ってものと、「BAMU」ってのと、「科学魔界」ってのと、一時代を画したグループがあったんですよ、で、それが、彼らがそれぞれで、なかなか出すのが、しんどくなった、というか、みんなでやろうよ、という、ことで始まった同人誌ですね。
七里 えー、はい、これは、発行が、「全日本中高年SFターミナル」で。
会場 (笑)
小浜 で、この「中高年SFターミナル」というのは、「青少年SFターミナル」というのが昔あった、という。パロディなんですけども。
七里 だからなんですね。
小浜 1960年代の後半に、すごい、中高生のSFファンダムってのがあったんですよ。ものすごい、中学校にもSF研があった時代で、いちばんファンダムが若かった時代でもあるんだけど。まあ、若かった?まあ、まあ。若い層が出てきた時代でもあるんだけど、その時に出てきた名前を、ちょっと、こう、ね、もじって使ってます。生え抜きなのは、それこそ、難波さんじゃないかな? この中では。難波弘之さんっていう有名なキーボーディストの人がいて、音楽の人です、はい。
七里 これ、夢枕獏さんとかも書いてます。
小浜 獏さんも、ちょっとあとではあるんですけど参加しています。これ、とても、読み応えがあります。

我らの昨日のすべて-イスカーチェリ年代記 広島保生 2015/09/13 
付録:日本SF研究会小史

七里 ええと、もう少し、昔話をしましょう。
小浜 はい、「我らの昨日のすべて」!これは、さっきもでてた、イスカーチェリっていうところに、波津(はづ)博明(ひろあき)さんっていう、名物親父がいましてね。ねえ、みなさんねえ、死ぬまでに、本当に、いちどは交わって、て死んでで欲しいってくらい、面白いオヤジです。読売新聞で、編集局次長までやって、大妻の先生に、あ、いっちゃった、女子大の先生に、とっても面白い人で。僕はもう、学生の頃からとっても世話になっていて、この人が、そのイスカーチェリっていうファングループを、70年ぐらいかな、北海道で始めた時から、自分たちが何をやってきたかってことを、本当に涙なくしても読めない、自分たちの青春活動記なんですね。
だから、それをわざわざ本にした、広島(ひろしま)保生(やすお)ってのも、頭がおかしいんですけれど。
会場 (笑)
これはね、何よりもびっくりするのが、この波津さんたち、ってのが、自分の活動を克明に記録しているんだよ。どういうナルシシズムだって思うよ!
<これはいい本だ>
七里 付録もここに。
小浜 彼らがね、「イスカーチェリ」っていうのが、これ、冒険者って意味かな、ロシア語の。
<探求者です>イスカーチェリ>
七里 ロシア語、ですか。
小浜 ある時、彼らは、アメリカとかイギリスの話をするってのは、あの、もういいと! 俺たちは、英米圏じゃないSFの話をするんだと、で、ならば、当時SF第二の大国と言われたのがロシアだったの。
八潮 (当時は)ソ連。
小浜 ロシアを、俺達はテーマにするんだ、と言い出したら、メンバーが、みんなロシア語を始めたっていうの!おかしいよね。
甘えび 勉強熱心~
七里 でも、北海道だと、やっぱりロシア語って。
会場 (笑)
甘えび それは偏見だと思う。
七里 いや、でも、身近なんですってば。
<今なら新潟でもできますね>ロシア語>
会場若人 町にもロシア語の看板あります。
小浜 その視点は無かった。いや、知ってる知ってる、冷戦が終わったころね。冷戦が終わった時に陸上自衛隊の戦車が、北海道から撤収して、みんなその時に自衛隊員がやめたって話でしょ? っていうのがあったんだよ。
御前 冷戦時代には、ソ連は北海道に上陸したり、普通に交易したりしてなかったの。
小浜 ま、まあ、それが関係があるとはともかく。それで、今有名な露文の、『ソラリス』 訳した……。
七里 深見 さんじゃなくて?
小浜 いやいや、まあ、深見さんも合流するんだけど。
沼野 さんね、沼野さんとかも合流して行って、波津さんもお友達だったの。という、非常に立派な。ただ、波津博明の誇大妄想狂っていうのが、ここには、あって、これについては非常に夢見る世界として、後世にに語り伝えたいなと、いう気がしますね。
会場 (笑)
小浜 波津さんよんでも良いよね、大会チャンネルに。
大日本 と戦った人ですね。愛国戦隊論争ってのがあって。もうめっちゃめちゃおもしろいですよ、愛国戦隊論争。
(会場から)吉田 『イスカーチェリ』が完売したという

ローダンとは何か 「宇宙英雄ローダンシリーズ」第500巻刊行記念論集
rlmdi.(ローダン研究会MDI) 2015/07/15

七里 もう、ちょっと。
小浜 あ、はい、きました。ローダン 。
七里 ローダンのファンクラブの。
小浜 これ、いつ出た?
甘えび ちっちゃい(文庫版・A6版)
小浜 (読みながら)説明して。
七里 これはですね、おととしじゃないかな、2015年です。500巻記念で、あの、まとめたそうです、ローダンファンクラブの人が。
小浜 これ良いね、これ面白いね。
七里 こういうのも作っちゃったんですよ、500巻記念でって。この年の自由部門 取ってますよね、たしか。
小浜 あ、ローダンがね。この、若林雄一さんっていうのが、本当に30年ぐらい前から、ローダン一筋っていうと申し訳ないかもしれないけれど、ローダン及びドイツSFについて、在野の研究家としてやっていた人。
ローダン研究会mdiっていうのが、当時ローダンのファンクラブがいくつかあった中では一番質実剛健なところで、そこでずっとやってた人たちですね。ローダンの途中の刊を訳したりしてね。誰もついていけない。この人は、本当に頭が下がるよね。

浮遊(ぷらんくとん)ふぁんじん No.89 執行モードデストロイ 
石田純一 2014/12/21

七里 ええと、こちら。「浮遊(ぷらんくとん)ふぁんじん」です。これが、個人誌という。
小浜 個人誌、ですね。今までと違って、コピー誌で作っています。コピーの、片面印刷を袋綴じしたものです。
七里 小学校の文集の、自分で製本するような感じです。石田(いしだ)純一(じゅんいち)さんが作ってます。
小浜 この石田純一さんって方が、柴野拓美賞 をうけているんですけども、80年代の半ばからこれ始めたんですよ。
七里 これ、91号。
小浜 まだ91号なのか。まあでも年3回くらい出てるのか。
ブックレビュウをやって、えらいのが、『SFマガジン』を毎号読んで『SFマガジン』について考察を加えているのとか、あとは自分の創作が必ず巻末についているとか。でも、創作よりも、この人の書評っていうのは、本当に面白い。在野で一番、今、ブックレビュウっていうのが面白いのは、この石田さんかなと思っています。

星の詩 21 みかんのかんづめ 2015/12/30 

七里 ファンクラブ系から。≪星界の紋章≫のファンクラブです。
小浜 長いですね、星界の。
七里 ちょっと、このような色みの。マンガです。
小浜 これは、森岡(もりおか)浩之(ひろゆき) ファンクラブというのとは、また違うの?
七里 森岡浩之じゃなくて≪星界の紋章≫ファンクラブだと、思うー。
小浜 あ、そうなんだ。
七里 でも、森岡さんの新刊が出ると、嬉しいです、ねっていうような、ニコニコするような感じです。
これが、(C91では)1日目の、ファンクラブのところに移っちゃって、SFとはまた別の日で。
小浜 星界のってあれだよね、コンテンツ系のファンクラブができてくるっていえば90年代。それ以前というと、≪グイン・サーガ≫なんだよね。
七里 グイン・サーガのファンクラブ、あったんですよ、この前まで、(コミックマーケットの)SFの島に定番で配置されていたんですけども。
小浜 あ、そう。
七里 SFの島から、ファンクラブ系がざっと、なくなっちゃったんですよ、だからSFの島で会えなくなっちゃって。
小浜 SFって70年代までは作家のファンクラブはたくさんあったんだけど。ないと恥みたいなかんじで。
でも、コンテンツというか、作品のファンクラブは、なかったんですよ。基本的に。それの最初が、おそらく、≪グイン・サーガ≫。
七里 『クラッシャージョウ』 とどっちが先?
小浜 クラジョウ、ん、なかったですね。
七里 無かったですか。
<ウルフの会 より古い?>
<銀英伝は?>
甘えび コメントで銀英伝はなかったですかって。
七里 銀英伝 は、もうちょっと後なんだ。
小浜 銀英伝のファンクラブができるっていうのは、今の、コンテンツ系のファンクラブの時代に、近づいてくるんだと思いますよ。

すたあとれっくぼのぼのジェネレーション 
湖のひみつ
スターシップ小林丸 2015/12/30

七里 パロディ的な感じで『すたあとれっくぼのぼのジェネレーション』という。
小浜 これ、良いんだよね、ピカード船長とぼのぼのが戦う話です。
七里 かわいい本です。
小浜 で、ホロデッキとかが必ずネタになるという。

20120324走れ急げ言葉 
高山羽根子 2012/03/24

七里 ええとですね、SFの人たちは、昔、やれイベントだと言っては本を作り。
小浜 うん。
七里 結婚したと言っては本を作り。
小浜 あ、高山(たかやま)羽根子(はねこ) のやつね
七里 高山羽根子さん結婚おめでとうございます、という本を、作ったものです。(「20120324走れ急げ言葉」)
これ、中身が面白くて、リレー小説です。高山羽根子さん。ええと、うどん?
小浜 『うどん、きつねつきの』の高山さんですね。
御前 アンタの時のは、ないの?
七里 私ん時 は、時刊新聞しか、もらえなかった、なあ。本までは作ってくれなかった、新聞だった。

時刊新聞縮刷版 縮刷版 第52回日本SF大会 こいこん  
時刊新聞社 2014/07/19

七里 と、いうことで、時刊新聞というのがあります。そこにいらっしゃる御前(みさき)憲弘(のりひろ)さんがはじめた、えーと、何年でしたっけ。1981年 。日本SF大会の企画のひとつで、このような新聞を作って、時刊というので、なんとなく、1時間に一回くらいで、出して、配布して回る、配達して回っています、新聞少年、だった人たちが。
御前 ただで。
七里 無料配布しております、無配です。
小浜 強制配布っていうんだよね。
七里 で、毎年やっています。それの縮刷版というのが、でてます。
小浜 これがね、面白かったんだよね。
七里 毎年、年度で作っていますので、これは、こいこん の時をまとめたもの、です。
小浜 けっこう、バラエティ豊かに持ってきてるね
七里 そうです?

夏色の想像力 第53回日本SF大会なつこん記念アンソロジー 草原SF文庫
 夏色草原社;(第53回日本SF大会なつこん実行委員会)  
2014/07/19

参考:原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー 創元SF文庫 東京創元社 2010/12/18 

七里 じゃあ、次、これが、ネタのひとつで(『原色の想像力』)何が出るかわかったと思うんですけれども。
小浜 あー、はいはい。
七里 これの、パロディ本というのが作られています。SF大会記念。「第53回日本SF大会 記念アンソロジー夏色の想像力」
小浜 こういうふうな、ね、SF大会記念出版的なね、本であって、本格的でした。なつこんっていうのも、つくばでやった人たちは、その前史としてはるこん っていうものを日本のどこかで、関東圏のどこか──ああ、去年は関東圏じゃなかったけれど──でやってきてる。
っていうので、翻訳の同人誌出版をやっていて、そういった、あの本作って売っ払うっていうのを、あの、熱心にやっていた人たちが、わりと新人目の作家に声をかけて──といいながら瀬名(せな)秀明(ひであき) が書いてるんだけど──これは、まあ、同人誌です。
甘えび うっぱらうって

水玉螢之丞画業集成 雑誌篇ver.1.0 
田中すけきよ 2015/08/01

七里 で、研究系から「水玉螢之丞画業集成 雑誌篇ver.1.0」
小浜 はいはいはい。研究系っていうか、資料系ですね
七里 水玉(みずたま)螢之丞(けいのじょう) さんっていう、しばらくまえにお亡くなりになられたイラストレーターさんの、ここで、こういうふうなしごとをしていた、というのを集めた本です。
小浜 これ、すけきよ君でしょ。
七里 ですです。
小浜 だから、ものすごいマニアの奴がいて、ですね、それが、水玉さんっていうのが、生前自分の仕事をまとめなかった人なんだよね。それを亡くなった後、水玉さんが、あの、生前だったら嫌がっていたであろう同人誌を作っている、ということで。

STUFF66 Theme『青春』 
福島大学SF研究会 2015/08/16

小浜 『STUFF』きました。
七里 で、残り、大学SF研から3つ。
福島大の『STUFF』これ、無配で、無料配布で頂いちゃって。
小浜 そうなんだ。というか、まだ続いてるんだ、えらいねえ福島大。
七里 66巻ですね。
小浜 これねえ、80年代からやってる。誌名がかわってないところも偉い。
甘えび 大学のサークル系ってただで配っているの多くないですか?
七里 そう、今、大学のSF研とかってただで配っているのが、それなりにあります。
小浜 そうなの。へえ。まあ、会費で賄っている、のがあるのかもしれない。
七里 なんですかねえ。

Higami MAGAZINE VOL.13 
明治大学SF研究会 2015/08/14

テクノクラートの聖母 VOL.1 
明治大学SF研究会 2016/8/14

小浜 おう!
七里 明大SF研さんです。
甘えび めいだい?
小浜 名古屋、じゃなくて、明治大学ですね
七里 明るいほう。『Higami (MAGAZINE)』というのをしばらく出していて、真面目な悪ふざけがとても楽しかったんですけれど。去年の夏、なんか模様替えしてて!
(以前は『Higami MAGAZINE』を)見ていたら、SF色は薄いんですけどー、と言われ、で、なんか、今回は、(『テクノクラートの聖母』)今までと路線違うんですけども大丈夫ですか、って言われて。
小浜 っていうか明治のSF研元気なのかあ。これ、ずっと続いてるのかね?
七里 1巻目、去年の夏。
小浜 あ、だから、明治大SF研っていうのは、60年代にカワセさんっていうかたが一回作って、何度かの興亡のうちに、83、4年の、2、3年かな、後に徳間書店で『SF Japan』 というのとかデュアル文庫を作ったりした、大野(おおの)修一(しゅういち)という人がいて、彼が再興した。
七里 大野さん、明治大学なんですか。
小浜 そうそう、大野修一はそうなん、ですよ。で、あの、(『SF Japan』の)創刊号が山田正紀特集だったのがすべてを物語っている。
<明治大SF研は下ネタが面白い>
<浮遊ファンジンの石田さんも明大SF研OB。>
小浜 それが、連続してるのかどうかはちょっと分からない。
七里 連続しているんですかね?風間(かざま)賢二(けんじ) さんのインタビューとか。
小浜 風間賢二はね、明大で教えてたの。授業持ってたの。
七里 あ、先生だったのね。
小浜 しかも、本名でやっているので、風間賢二だとみんな気が付かなかったんだよ。

本当はこのループ作品がすごい!-円環の理 Rebellion- 大阪大学SF研究会 SF Review vol.10
 大阪大学SF研究会  2014/08/17

七里 で、最後、SF研のなかで、こちら。
小浜 きれいだね、どこ?
七里 大阪大学SF研。
<阪大SF研かぁ。>
小浜 あっら!ほら、ataさん!
(会場から)ata 知ってるよ!
小浜 え、知ってるの。これ、立派だね。
七里 毎回テーマ決めて作られていて、
小浜 これ、いくら? 1000円でこれか。これ、すごいな。200頁あって。
これ、今回のグランプリ同人誌これな!
七里 で、このループSFの回は、特にひきが良くて。
小浜 これ、何、あの、レビュウの中身っていうのは、しっかりしてんの?
七里 でも、これだけ数あれば、集めるだけでもすごいし、それなりに、見ていて私へーって。
小浜 こんなのあるのか、って? ループってね、ちょっとね。
七里 (ネタバレにならないように紹介するのも)難しいですねー。
小浜 SFの立場からすると、いかがなものかっていうのがあって、ですね。

第56回日本SF大会 ドンブラコンLL プログレス・レポート第1号
第56回日本SF大会実行委員会 2016/11

七里 で、員数外。日本SF大会のプログレスレポート 、持ってきました。
小浜 まあ、これもね、同人誌だもんね
七里 公式ページからダウンロードできるし、もうすぐ次ができる、と思うんだよね。
小浜 これ、ドンブラコンの?
七里 ドンブラコンLLの。
小浜 はいはい。
七里 というところでございます。
小浜 七里はこういうの集めていて、さっき楽しいですよ、と言ったけれど、どう楽しいの?
七里 多様性が見えて楽しい。
小浜 多様性!多様性ですか。
小浜 トランプ 死ね、みたいなかんじですかね。
七里 いやー、いやー、多様性が見えて楽しい、っていうところと、やっぱり、いろんな本観れて楽しい、いろんな人といろんな人が見れて楽しい。同じか。
小浜 んー、あの、なんか、自分では気が付きもしなかった、こういう興味の持ち方、とか、そういうこと?
七里 あのぉ、そおですね。あと、若い人がいるのがうれしい。
小浜 ははは(笑)
七里 それはですね、80年代の、毎週ファンジン出してました、毎日ファンジン出してました、には、かなわないのかもしれないですけど、いる、のが、あ、意外に、いるねえ、と、思った。
小浜 あの、僕はね、だから、81年から85年まで学生なんですけども、世の中には自分が知らない面白いやつがこんなにいるんだ、と、いうのが、同人誌の楽しみだったんですよ。そういう面白いやつらがいるんだったら、会いに行きたいな、というのが。
そこで、ファン活動と同人誌読者っていうのが、と、僕の中では全く同じだった。
<ファンジンを作れる人は社会がディストピアに転んでも地下出版で対抗出来るな(笑)>
だから、会いに行きたいっていうのが、大会の同人誌売り場っていうのがもう、最大の社交場だったわけじゃない。いつも、毎号買っている、俺だぜ、俺、みたいなかんじとか。
そういう楽しみかたっていうのが、精神においては変わってないと思うんですよ、そのマーケットが、変わっちゃっているっていうことに対して、どういう風に情報を統合したら、また楽しい時代が戻ってくるのかな、って中で、七里がやっているこの活動ってのは、俺は、非常に頼もしいと思っているんだけど。
<つまりファンジンとは人である、と>
やっぱり、その、SF大会のチャンネルでもあるし、いちから言わなくても良いのかもしれないけれど、、話題とか趣味とか共通する人間の中で、もっと面白いやつがいるんじゃないか、っていうことって、とても大切な原動力だと思ってですね、そういう興味が、いまでもどっかに残っていて、嬉しい、な。ってな感じですか。
<80年代はファンジンの定期購読という制度があったな。>
<うちのサークルはファンクラブだから作者をネタに遊んでるという感じだしなぁ>
七里から、ファンジンコレクションに対して、みなさまの、参加を要請を、っていうか、コメントない?
七里 そうですね、まあ、本作って、楽しく本作ってください、そして私に知らせていただけると嬉しいです、っていう、こう、非常にこう。SFファンジンコレクションの twitter IDはですね、@fzc_sf です。
小浜 本当に七里は、そういうところ、コツコツした奴なんだよねえ。
七里 いやあ、ウッカリがあるのが、すごいこわいので!ので、ウッカリがあったら教えてください。訂正とか、やったりしないといけないことが、あると思うので。
小浜 うんー。
<SF専門でなくても良いかな?<同人誌>
甘えび ついでに、今、コメントのほうで、同人誌のほう、SF専門でなくてもSFの物だったら良いんですか、という質問が
小浜 専門誌じゃないと、ダメですか?
七里 いや、わたしは、なんでもウエルカムで。
小浜 そう、SFを扱っているものってあって、SFの境界、隣接領域を扱っている、特集の同人誌はいっぱいあって。
七里 わたしは、良いと思う。
甘えび 毎回、テーマが違って、今回のテーマはSFです、みたいなやつでも。
小浜 そう、逆にね、そういうのは昔ありえなかったので、今そういうのがあるのはすごい豊かなことだと思うよ。
たとえば、今、ミステリのサークルだとされているんだけれど、東京大学の「新月お茶の会」、これも80年代から始まって35年の歴史がある。
七里 なんとか猫?
小浜 そう、『月(つき)猫(ねこ)通り』 だ、月猫ってのは毎回いろいろなサブジャンルを特集してやっているところで、そいういうところで、SFないしはSFのお隣さんみたいなの特集することもあるし。
<あれ、じゃあ、立川ゆかり さんの「天気図」もOKか。光瀬龍研究が載ってたはず。>
小浜 わりと、みんなやりたがるのは、新人賞、「メッタ切り」みたいなね、この、新人賞取ったの、全部レビュウします、みたいなの。そういうのは、ありますよね。そういう特集号は、とても歓迎されるんじゃないですか。
<奇想コレクションの全巻レビューをどこかのSF研がしていたよね。>
七里 逆にうもれやすいので、そういうの知らなかったよ、というのがあるので、私は教えていただければ、そしてむこうが嫌がらなければ載せたいと思います。
小浜 だいたい、七里の友達が買ったら教えろって話!
七里 そうそう、買ったら教えて、情報だけでもください。本体くれても良いけれど。
で、私がわざわざ、なんで『SFファンジンコレクションカタログ』を年刊でだしているのかというと、まだ、ぎりぎり、バックナンバーが買えるかもしれないから。
小浜 うん。
七里 で、さっきの大阪大のとかも、(即売会に持ってきているのは直近の)何年分かだけなんだけれど、それ以外に、何の特集が欲しいんですけれども、ちょっと前なんですけれども、っていったら、たぶん部室には何冊かあるんだわ。あると思うんだ私、売って良いようなものが。
小浜 うん。
七里 毎回持っていくほどじゃないけれど、言われたら出して良いよっていうのがあると思うので、欲しかったら、ちょっと連絡とってみるのが良いんじゃないかな。
小浜 それはね、基本、基本。「この間知りましたけれど、昔の号も、あるだけください」、ってのは基本。それは何も変わらない。

ファンジンといえば

小浜 「ネットプリント」って何?これオンデマンド ?
七里 ネットプリントはまた別で、今回も登録してみた(イベントおよび配信期間に合わせてネットプリントに『同人誌についてさらっとはなしてみた』を登録していた)んですが、コンビニで印刷できるものです。
小浜 ああ、そういうことね。
七里 ので、これは、(作成者が)WEBにアップロードした物をそのまま、うちのプリンタじゃなくて、(最寄りの)コンビニのプリンタで(読者が)印刷できる、ってしくみなので、やったことない人、やってみてください。普通のコピー機、頭のよいコピー機 がセブンイレブンに置いてあるので、そこでできます。
小浜 AKB の話して良い?
七里 AKB?!
会場 (どよめき)
甘えび いきなりとんだな。
小浜 この前、年末のNHK紅白選抜 ってあったじゃん、さや姉(ねえ) が1位とった。あれで、なんと、コンビニで応援チラシがハードコピーできますって。
七里 そう、それ!
小浜 で、100円とか取ってるんだよね、あいつら。AKS は。
七里 あ、それは、公式だから、使用料とか載せてるんですかね?
小浜 そう、だからゆいはん を応援したい奴はこれで、なんかチラシをプリントアウトして貼れと。布教用とか言って、6分割できるものを切って配れとか、いや、すっげえ商売してるなと思って、感心したよ。
会場 (笑)
七里 そういうのは、ちゃんと公式のほうに(権利金とか?)上がるんでしょうけれども、これは、私が(コンビニエンスストアの無料サービスを)借りているだけなんで、私のほうにはお金は入ってこないんですよ。
八潮 でも、印刷費は払わなきゃいけないんだよね。
小浜 金はそうか、ユーザーが払わなきゃいけないのか。
七里 1枚につき(A4だと)20円くらいかかるので、普通のコピーよりは高くなりますが、自分以外の、番号さえ共有すれば、ということなので。
小浜 あー、面白いね。
七里 だからその、プラカードやサッカーの応援にも使ってたりするらしくて。
(会場から)川合 安全保障法案反対の時もやりました。
会場 (笑)
七里 そうそう、デモの時とかにも、みんななんで同じようなの持ってるんだろうな、と思ったら、配布されていて。
小浜 それ持って、国会に行って反対って、それで怒られるっていうやつね。
七里 っていうのが使えるんじゃないかと思うので、興味ある人はやってみてください。
同じようなものを、ローソンとか、セブンイレブン以外のところでもやってる(ネットワークプリントサービス)んですけれども、(発行者・登録者の)私個人についている番号なので、ここと同じ番号(E63WG2KLPP)で、私がやっている、SF系イベントを楽しむメルマガ『eSFe Letter SF系イベントを楽しむ会からのおたより』 が隣にあるので、それも印刷できます。
その名の通り、SF系イベント情報を、集められたのを、メールマガジン形式で配信しています。
小浜 だから、SF系のイベントと言っても、いわゆる大会とか言われるコンベンションだけじゃなくって、もうちょっとアマチュア、ファン交流会だとか、書店イベントだとか、そういうものまで網羅していて、非常に面白い。
七里 網羅、とは言いませんけれど。
小浜 それも面白いよね、良く言われるのが、東京で、いろんな細かいイベントがあるじゃない? ゲンロン にせよ、ビリビリにせよ、あるんだけど。
そのとき必ず言われるのが、関東圏の人はイベントがあっていいねえ、って。SFに限らず言われることなんだけれども、地方イベントまで網羅すると面白いよ。
七里 地方イベント集めたいなあ。
甘えび 名古屋ぐらいだったら、名古屋大阪位だったら、情報集まりそうでしょうね。
小浜 なんかいろいろやってるねえ、七里は。
<電子書籍なども最近は頒布されています。>(運営)
小浜 でも、あれでしょ、最近同人誌もネット書店に、登録できるんでしょ?
マスター雷門風太 ああ、できます。(kindle で配信中)
甘えび 最近KindleのKDPであれ、出してって、いうのも同人誌じゃ?
七里 ので、そういう風な新しいプラットフォームもこれから増えてくるかと思います。
KindleのKDP とか、pixiv 経由だったりとか。
(運営)ぱぱりん BOOK☆WALKER(ブックウォーカー) とか
七里 BOOK☆WALKERもですよね、電子販売とか、そういうところで、できると思います。
<電子書籍は老眼にとても親切ですw>(運営)
甘えび そしたら最近、SF雑誌 とかもできましたね、
小浜 うーん。
七里 最近出た。あれは、でもプロじゃないんですか?
小浜 や、関係ない、観測者の、観測した人間がいて、なんぼなんだよ。
<SFのファンクラブ回報とかもあり?>
甘えび 今、コメントでSFのファンクラブ会報とかもふくまれます?って。
小浜 あたりまえですよ。
甘えび それがファンジンですよね。
小浜 そう、そもそものファンジンなんですが。
<うちは年回報は同人誌で出してますし通販もしてます>
<うち、ではなくなるべく具体名お願いしますー@甘えび>
<甘えびさん>谷甲州黙認FC青年人外協力隊です>
七里 会報も、どこまで、って問題が。あと、私のマンパワーの問題もありますので。
小浜 それはね、大変です。もちろんそう。
七里 会報とかも、会報、ってなんかおかしくない、まあいいや。
小浜 会報、うん、身内の連絡誌みたいな。
七里 連絡誌で、微妙なのが、これをだしたら、怒られないだろうか、っていうような。
小浜 なにそれ?あ、他人に見せたら怒られる?
甘えび 一般に販売されていないものとか。
七里 販売されていないものある。
小浜 それはねえ、でもねえ、昔、すごい厳密に考えたことがあって、線引きをね、外に出さなかったら、それは存在を観測されていない同人誌なので。観測をされたいんであれば、外に出しましょう。
七里 でも、とある地方イベントで私は参加しなかったんですけれども、偶然、アフターを、レポートを、手に入れまして、「アフターレポート」 といわない。
小浜 うん。
七里 記録出版物をいただきまして、これを表に出すなよ、みたいなのが書いてあって。
小浜 ややこしいね! とてもややこしいね。
七里 身内だから話せる、こうクローズドな。
小浜 それはね、もうジャーナリズムの問題になっちゃう。たとえばね、「秘密同人誌」ってのがあるの。
会場 (笑)
七里 秘密?
<秘密同人誌かぁ、地下出版っぽくて香ばしいな。ぬふふ。>
<秘密同人誌というと、昔の『THATTA』 とか『新少年』とか。>
<戦時中のエロ同人誌がそれだな。(笑)>
小浜 そういうことだよ、これを、存在を公けにするなって。フリーメイソンみたいなのが、ずっと、あるの。これを、どうやって、なんていうの、伝えるか。
七里 というのは?
小浜 いやいや、そういう事態に直面したことがあったの。友達、っていうか先輩がね、主催していた秘密同人誌。俺は、昔、『日本SF年鑑』 ってのがあったとき、それを存在するファングループとして書いた。そしてあとで怒られた。
甘えび 秘密だからな。
小浜 さあ、正義はどちらにありますか、という、とても深い深い、ジャーナリズムの問題なんですよ。
たとえばね、一人がコツコツと立派な同人誌作ったとしてね、一冊も売りません。この同人誌は存在したのか?
七里 深い問題になりますよ?!
小浜 そうそう。
七里 観測の問題です?
<シュレディンガーの同人誌>
<きわめて深い問題だ>
小浜 でもね、同人誌って、そこまで考えざるをえないものがあって。
七里 ひとりの落書き帳なのか、出版物になるのか、って
小浜 そうそう、肉筆回覧誌は、はたして!? あ、肉筆回覧誌わかんないか。
七里 回覧しているからそれは……。
小浜 でも、第三者には無いじゃん。仲間内だけで
甘えび 購入できないし。
小浜 そう、そう、購入って概念をどこに置くかっていうのがまたあるわけですよ。
たとえばね、ゆうきまさみ さんが、去年漫画家生活何周年っていって、河出でムック が出たんだけれど、なんだっけ、飯田橋にあった、喫茶店 、マンガオタクが必ず行ってたという? 本当にそれはSFにはなかなか無かった世界で憧れなんだけれど、そこで、肉筆回覧誌ならぬ、肉筆のスケッチブックがあったんだって。
そこに若かりし、あの人や、この人が、ずっといろいろな落書きをしていて。
七里 アニメイトに置いてあるような感じですかね? 昔の。
小浜 あ、そうなの?
甘えび 昔、本屋にノートが置いてあって交流ノートがあるとか。
<肉筆回覧誌。バブル前は学生喫茶では普通にあったんじゃないか?>
小浜 そうそう、あるいは、部活のね、部誌サークルとか。でもそれは、その場にいた人間しか観測できないわけで。じゃあ、どうやって観測できるかというと、だれかが、こんなのもありますよ、ってぶっちゃけないと観測できないわけですよ。

これからの話を

(会場から)川合 はぁい。この店の常連の川合と言います。たまたま、SFファンでもあります。
会場 (笑)
川合 あのね、「白の乗り手」 という、SF、じゃないファンタジーサークルの会員なんですけれど。
小浜 トールキンファンクラブですね。
川合 小谷玲子さんから数年前から。
七里 小谷(こたに)真理(まり) さん(それとも、ひかわ玲子(れいこ) さん?)
川合 ごっちゃになっちゃった。小谷真理さんから勧められているのが、あんたんとこ、もう30何年やってるんだから、終活、そろそろ考えたらって。就職じゃないですよ。
会場 終わる活動ですね?
七里 終わるほうの終活?
川合 そうそう、終わるほうの。で、うち、35年間毎月出してるんですよ、連絡誌。
小浜 うん、「サロス」?
川合 それは「ローラリアス」 のほう。
小浜 あ、そうか。
<終活…。>(運営)
川合 うちは、『エラノール』というんですけれども。
<人生の黄昏同人誌!!!>
川合 で、それをね、明治の図書館に寄付してはどうか、と言われて。
<米沢嘉博記念図書館 >(運営)
小浜 あ、それは、したほうが良い。
七里 私思いますに、明治大学の図書館もそうですけれど、国立国会図書館のほうが良いと。
小浜 国会のほうがはるかに良い。
七里 二つとも送って良いかと思います。と、言いますのは、今、国会図書館は、若干それにがんばって集めようモードになっていて。
それで! 『宇宙塵』の欠号 があるんですよ、あなた。
小浜 あなたって、なに(苦笑)
七里 いや、みなさん、国会図書館で『宇宙塵』の無い号があるんですよ。
小浜 そりゃあ、あるでしょう。どれくらい、ないの?
七里 けっこう。けっこう、なんですけれど、みなさんの力をもってすれば、うまるくらい。
甘えび そろそろ死に始めるSFファンの蔵書を寄贈すれば補完されるって。
小浜 それはねえ、また、2回ぐらい放送ができる大変なテーマなので。超どシリアスな話になるので。
七里 終活とアーカイブに関する会をもうけなければなりませんね、きっと。
<野田コレ とか岡田コレのようなことですね。>
小浜 だから、それは、まあまあ、話がでかくなるんだけど。それは、まあ、自分たちの作ってきたものを、やっぱり、次の世代にっていうのは、とても大事なことだと思いますし、誰かが、──それをこいつが活用してくれる、っていうんじゃなくて、誰か──みしらぬあなたに託すっていうのは、これ、すっげえSFじゃん。
七里 ロマンがありますねえ。
小浜 ロマンがありますよ、なんだっけ、カール・セーガン がさ、宇宙に放った。
七里 『コンタクト』?
小浜 『コンタクト』じゃないよ。
七里 『コスモス』の。で、次の世代に。
会場 (笑)
小浜 次の世代に行く前に、今の世の中にいる人たちに、もうちょっと、同人誌に関する情報を。
もちろん、作ってくれるのがいちばん楽しいんだけれど、それを、いろいろな人の手に渡るようなことで、楽しい時代が戻ってくると良いな。
大会で、同人誌の情報交換する部屋とかやろうよ。今、ディーラーズとか機能してないじゃん。
七里 あれはあれで面白いです。
小浜 まあ、じゃあ。機能してないとは言わないけど、じゃあ、同人誌の祭典としての場所ではなくなっているっていう意味で。
七里 それはまた、企画として考えないと。
小浜 うん。
七里 でも、いま、大会でいろいろな企画があるので、いろんな企画詰めすぎちゃって、企画として枠取ったとしても、みんな、これるんじゃろうかと、いう。
<初心者カフェ?w>
小浜 ああ、そうなんだよ。それ、あるんだよ。そういうことに興味があるやつは、みんなスタッフやってるから、無駄っていうのがあって。
会場 (笑)
七里 そういうところで、本日はありがとうございました。
小浜 ありがとうございました。
七里 じゃあ、次回また、よろしくおねがいしまーす。
<お疲れ様でした。ぱちぱちぱち。>
<888>


以上で 本文おわりです。

以下は投げ銭用の「フリートーク」です。(ありがとうございますとか書いてあるだけです)


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