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あの場所、あの匂い、あの味

何気なく行った場所が
いつかの思い出の場所だったりする

たまたま通りすがった人が
いつかの思い出の匂いだったりする

自販機で好きな人が買ったあのジュースが
いつかの思い出の味だったり。


いい思い出も悪い思い出も詰まってしまっているこの世界で、この先どううまく生きたらいいんだろう…

ある日、好きなバンドを見に某ライブハウスに行った時、「やっぱりあの柱、邪魔だよなぁ」と思う。この会話はあの人としたな、そういえば公演中流されて終演後、あの人は柱で何も見えなかったと言っていて私は笑ってしまったな、と思い出す。今となってはいらない思い出だ、と思う。

ある日、東京タワーに行った時、赤からオレンジと色が少しずつ変わるその電波塔とその横のホテルや公園、中のお店を見た時、「あの階段は何段あるんだろう、私たちに登れるかな?」と、結局エレベーターで登ったな、またいらない思い出を思い出す。

ほとんど人のいないホームの1番端、陰になっているところに立った時、「割と都会の駅なのに、人がいないな、寂しいけどいいね」またいらない思い出を思い出す。


この間、コンビニの店員として働いている時にとても気さくに話しかけてきてくれる男の人に出会った。その人は毎週月曜日の23時、閉店ギリギリにいつも駆け込んでくる。いい匂いが、する。私はその匂いの正体を知ってる。すごく好きな香水の匂いだったから絶対間違えていない、と思う。今は嗅ぎたくない、思い出したくない匂いでもある。だけど好きな匂いだな…と思うのは変わっていなかったな。

私が大好きな金木犀の時期がもうすぐ来る。
この世で匂うものの中で1番好き!とも言えるくらい好きな金木犀、そりゃたくさんの思い出が詰まってる。
いらない思い出も、大切にしたい思い出も、たくさん詰まってる。ずっと好きでいたいな


暑くなるとコンビニとかで特によく見るようになる「ソルティライチ」っていう、とっても美味しい飲み物、大好きだった。ただこれには本当に嫌で怖くて思い出したくない思い出が詰まってて、ここ数年見ても、飲めなかった。

この間の暑い日、今お付き合いしてる大切な人が自販機で「ソルティライチ」のボタンを押した。
ドキンって勝手に私の胸は痛くなるけど、優しく私に差し出す彼の手にあったそのジュース、飲んだらすごく美味しくて、美味しいのは昔から知ってるし大好きなジュースだったけど、ずっと飲めていなかった数年の長い期間は彼に差し出されたその一瞬で打ち消された。

こうやってどんどん、上書きされていくのだろうか。
できることなら全て上書きしてほしいものだし、大切にしたいとも思ってしまったりする、私ってつくづくわがままだなと思う。

あまり多くのことを考えられる頭を持っていないからその時パッと思い出してすぐ忘れちゃうかもしれない。
でもこの瞬間もこの匂いも、あの味も大事にしたい。みんなずっと私の思い出であってほしいし、早く消えて欲しい。そんなこと思って生活してるとたまに疲れちゃうから、気楽に生きたいものです。


今日は出掛ける前に駅のコンビニでソルティライチを買いました。

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