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こんな時だからバーチャルNY留学してみた

ある日突然、世界がバタバタと扉を閉じ始めた。

みんな家に閉じ込められた。

そんな状態が約一年にも及んでいます。

ついこの間まで、世界は大きく開かれていて、自分が望みさえすればどこへだって行くことができた。

それが、今じゃ世界どころか家から出ることもままならない。

けど、世界は閉じたわけじゃなかった。確かに国境は閉じているけれど、自分が望めば、やっぱり、変わらずそこに世界は大きく開かれていたのです。

私はこのコロナ禍で夢を一つかなえました。と言うか、コロナ禍じゃなければきっとかなえられなかったとすら思う。その夢とは、

「NYのHBスタジオで演技レッスンを受けること。そしてUta Hagenテクニックを直接的に学ぶこと」

HB Studioは、1945年に俳優のHerbert Berghof(ハーバート・バーコフ)によって設立された演劇学校です。彼のイニシャルからHBスタジオと名付けられました。
数多くの名優を輩出してきたことでも有名な学校です。ゴッドファーザーで知られているアル・パチーノや、大人気の米ドラマ「Sex and the City」のサラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソンもHB Studioの卒業生です。
総合的な舞台演劇教育が受けられるので、ミュージカルスターや演劇界のスターを目指す才能溢れる学生が集まっています。(ニューヨーク留学センターのHPより抜粋)
HB Studioでは「ウタハーゲン・テクニック」というアクティング・メソッドを積極的に取り入れてる学校です。創立者ハーバートと共にHB Studioを支え、教鞭をとっていた女優ウタ・ハーゲンが作り上げたメソッドで、演劇界の5大テクニックとも言われる、アクティング・テクニックの一つです。また、ウタハーゲンはアメリカで最も尊敬される演技教師の一人でもありました。
「ウタハーゲン・テクニック」は、舞台俳優の育成を重視している俳優の育成メソッドです。「舞台裏から登場し、目的を持って退場する」というメソッドのもと、俳優としてどのように舞台に上がるべきか、一つ一つのプロセスをきちんと身に付けるための演技の勉強方法で、書籍化もされています。(アメリカ留学センターHPより抜粋)

ニューヨークに留学するのは費用的にかなり高いハードルで、仕事もどうしようかなー、とか一度社会人になった私はなかなか踏ん切りがつけられずに、そのままになって忘れかけていた夢でした。

でも、毎年楽しみにしているアメリカからのアクティングコーチの来日ワークショップが次々と中止になり、私自身のアクティングコーチとしてのお仕事も一瞬で飛び、主宰する「N.ラボ」のワークショップ開催も絶望的な状況が続いて、「あれ?私、今年何もしてなくない?」って気づいてしまったのです。

コロナ禍だから仕方ないって言っちゃえばその通りだし、実際それがすべてでもあるから、自己嫌悪に陥る必要とか全くないのだけど、「これはマズイのでは?」という思いが、さっと背中を撫でたのです。

その感覚は、やがて恐怖になって、「今までこれ(演技)関係しかやってこなかったから、私には本当に他に何もないのに。」という絶望になっていきました。文化芸術・エンタメ業界が次々と活動停止に追い込まれていった状況もあり、絶望感は加速度的に増していきました。

そんなある日、SNSで目にした「Online Class」の文字。そう言えばあるアクティングコーチも、いち早くレッスンをzoomに切り替えたって聞いたな…。で、この「Online Class」は誰がどうやってやってるのかな?クリックした私の目に飛び込んできたのは「HB Studio」の文字。

「え、HB Studioってあの、HB Studioだよね!?え、すべてのクラスをオンラインに切り替えたってこと!?」

貪るようにホームページを読み漁った結果、現在オファーされているすべてのクラスがオンラインに移行されていることがわかりました。

「私、ニューヨークに行かなくても、HB Studioのクラスが受けられる。夢が叶う…?」

ぐわっと一気に体中に血が巡りだして、マウスを握る手が震えていました。コロナ禍で一瞬で奪われた、アクティングコーチとしての生命線であり、私の幸せそのものである「学びの場」は、決して奪われていなかった。私が手を伸ばせば、すぐそこに、扉は開かれていたのです。

その日、私は期待に震える手で「聴講希望*」のメールを打ったのでした。


→次回、聴講希望メールを送ったけれど…?


* HB Studioでは一部のクラスを除き、すべてのクラスを聴講することが出来る。講師との相性、教えている内容が自分の希望とマッチするのかを見極めるため、事前に聴講することが強く薦められている。


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