安藤エヌ

日芸卒フリーライター。 現在は主に映画について執筆。執筆実績はリアルサウンド、rock…

安藤エヌ

日芸卒フリーライター。 現在は主に映画について執筆。執筆実績はリアルサウンド、rockin'onなど10社以上。 日記はリアルな感情を書き残す用。HSP気質/家族/LGBTQ+ お仕事のご依頼は「仕事依頼」をご一読の上applepie.rosetea@gmail.comまで。

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    2024年の日記。不定期。考えたこと、思ったことの備忘録。

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    2023年の日記エッセイ。考えたことや近況。

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    2022年に書いた日記エッセイ。日々のことや考えたこと。

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アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

2度目の恋の相手は、18歳の女の子だった。 欅坂46のセンター、平手友梨奈だ。 彼女は私がまだ社会の何たるかも知らなかった年齢でアイドルデビューし、社会的なテーマを歌ったシングル曲のセンターとしてこれまでに何度も世間に露出してきた。私が最初に彼女を見たのは、マニッシュなスーツに黒ぶちの眼鏡、サスペンダーの衣装で性別を感じさせない、だけどどこかちゃんと丸みを残している姿で、そこから彼女が歌い、踊り、時には世の中を糾弾するような激しいパフォーマンスに釘付けになった。 初めて

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      早いものでもう3月。時折、春の風と思しきものが通り抜けるのを感じる。もうすぐで桜が咲く。本当に時が経つのは一瞬だ。 能登半島地震、飛行機衝突事故というショックな出来事から始まった2024年。なるべく負の面に落ちないようにと、自分なりに明るい日々を過ごしてきた。昨年末、1年のツケを払うごとく恒例になってしまっている体調不良を乗り越え、年始はどうなるだろう、と不安を抱えたまま年を越した。世間は先の天災と事故により大きく乱れた中、私はなんと、奇跡的に、心を乱すことなく過ごすことが

      • 「ことば」に耳を傾けるため、私は喫茶店へ向かう ~人生の余韻を愉しむ手引き~

        良い喫茶店には「ことば」が溢れている。 店を訪れる人々が交わす他愛のない話、店主が淹れるドリップから滴る音、飾ってある花や調度品の声なき言葉。喫茶店に行く理由は、そういった「ことば」を聞きたいからだ。 以前までは本を読んだり、仕事の原稿を書くために利用していたが、行きつけの店に通うようになってからというもの喫茶店への思いが明確に変わるようになった。通えば通うほど、まるで珈琲のような深みを味わうことができるのだ。 「ことば」は人が生きていくために必要なツールだ。こうして今文章を

        • 祖母の姿、晴れた空、色づく葉、すべてを遺したいと思った日~写真という愛おしい記憶~

          新品の、まだ1枚も撮っていないインスタントカメラ。今日はこれがないと始まらない。絶対に持って行って、遺さなければならない光景がある。 その日、私は東京・錦糸町に住んでいる祖母と叔父に会いに行く約束をしていた。一週間前、叔父から「祖母の介護レベルが上がった」との連絡が来たからだ。 「もうかなりボケてきちゃってね。まだ憶えているうちに、会えるうちに会ってほしい」 報せを受けて、私はふたりに会いに行くことにした。そこにはひとつの決心があった。フィルムカメラで祖母と私の写真を撮

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        アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

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          穏やかな水面を見ていてこれほど考えに耽る年の始まりも、きっとないだろう。すべてのめぐり巡るなんでもないものたちに感謝を。

          穏やかな水面を見ていてこれほど考えに耽る年の始まりも、きっとないだろう。すべてのめぐり巡るなんでもないものたちに感謝を。

          「堅実」と「積み重ね」〜2023年仕事ふりかえり

          早いものでもう年末の仕事ふりかえり記事を書く時期になった。本当に光陰矢の如しだ。歳を重ねるにつれ1年が過ぎ去るのを速く感じるようになり、このままあっという間に老いてしまうのかと少し怖くなったりもする。大切なのは悔いなく生きること、1日1日を自分らしく生きること……と自分に言い聞かせながら、日々を過ごしている。 今年はタイトルにもある通り、仕事においては「堅実」と「積み重ね」の年だったように思う。着実に、ひとつずつ自分にできることをし、自分の視点でものを書き、時にチャレンジも

          「堅実」と「積み重ね」〜2023年仕事ふりかえり

          写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜

          アザミのとげに触れるみたいに、胸がちくちくと痛いときがある。今がそれだ。ひとつの物事に対して受け取る感情が人一倍多い私は、日々の変化に直面するたびしばしば心身の調子を崩す。昔は対処するのが下手だったけれど、今はだいぶ自分自身と上手く付き合えるようになり、辟易しがちだったナイーブな部分も受け止められるようになってきた。 変化に弱く傷つきやすい私だけれど、胸をはって言える愉しみがある。 それは写真を撮ることだ。 このところ7年くらい、カメラを提げて外出することを趣味にしてい

          写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜

          象と月

          誰かを愛するということに、条件がないのはわかっている。自分の心が向くままに人を愛せばいいのだ。なのに、私はどうしても自分が”愛を抱く”に相応しい人間だと思えない。それはなぜか。自分が欠陥だらけだからだ。 抗精神薬を飲み、情緒はほとんどの日が不安定。元気な日のほうが少ない。 過眠のタイミングに入れば夕方頃まで眠ってしまい、過食もする。運動をするだけの気力がなく、体重は増加する一方。こんな草原にただ横たわっている象のような女を、一体誰が愛し返してくれるというのだろう。そんな風に

          色彩〜森絵都「カラフル」に寄せて

             色のついていない世界を生きたことがある。 とても不思議な体験だった。何を見ても聞いても、この手に何かが触れても感情が動くことなく、ただ肺から息を吸って吐くだけの人間になっていた。心を病み、症状が最も深刻だった時だ。 度々その時の自分を思い返して文章にした。今となればあの頃の自分を、ひと呼吸置いて見つめてから客観的な文章にすることが出来るけれど、当時渦中にいた私はそんなことはおろか、身の回りに何が起きているのか、自分はどうして今生きているのかすらも分からなかった。 毎晩

          色彩〜森絵都「カラフル」に寄せて

          凪を待つ

          インスタグラムのストーリーズで、美男と結婚した知り合いの美女が「12月に子どもが生まれます」とベビー服を載せているのを見て完全に毒気づいてしまった。しばらく立ち直れそうにない。30代になって何度もこういう思いになったことはあったが、何回経験しても下腹部をぎゅう、と圧迫されているような心地悪さと苦しみには慣れない。気を落ち着かせるためにお気に入りのカフェで好きな映画のパンフレットを読み、地元に帰ってスターバックスでぬるめのココアを頼み、今これを書いている。正直苦しい、とても。

          「推し」に生きる

          久しぶりの日記になる。なかなかに毎日を忙しなく過ごしていたが、特に7月からが大変だった。ここではあまり詳細を書かないが、身内のごたごたがあって精神的にきつい日々を送っていたのだ。 そんな最中、突如として現れたamazon primeドラマ『グッド・オーメンズ』シーズン2。 シーズン1からファンだったので、最近気持ちが張り詰めていたし息抜きに観るか、と呑気に視聴を始めたところ、最終話のエピソード6でオタク心のど真ん中にハートの矢を射抜かれ、あれよあれよという間に沼へ転がり落ち

          「推し」に生きる

          『グッド・オーメンズ』シーズン2で悪魔に恋してしまった人間の願いごと

          悪魔に恋をしてしまった。 天使と悪魔がやいのやいのしながら、時に世界そのものを救ったり優雅にディナーしたりして地上の生活をenjoyするドラマ『グッド・オーメンズ』のシーズン2を配信初日に観終わった。そして、悪魔に恋をしてしまった。こんなかっこよくて愛にまみれた人間くさい悪魔なんて世界中どこを探しても彼しかいない。演じるデイヴィッド・テナントのすらっとした体躯、かっちりスタイリングした赤毛の髪、黒づくめのタイにベストにジャケット、すべてがあまりにもばっちり決まりすぎていて見

          『グッド・オーメンズ』シーズン2で悪魔に恋してしまった人間の願いごと

          ブルーピリオド最新刊発売記念レビュー~裸になれない人間たちへ

          汗ばむ肌を洗面所の鏡に晒した、あの日の真夜中。 この中に一体何が詰まっているんだろうと、気持ち悪くもなったし、どうしようもないほど愛おしくもなった。 美大受験マンガ『ブルーピリオド』の最新5巻が先日発売され、発売当日に買った。 ※最新14巻読了を記念して、本作5巻発売当時(2019年7月)に執筆したものを以下に再掲する。 発売してすぐにマンガを買うのが久しぶりで、自分が思った以上にこの『ブルーピリオド』という作品に心を奪われていることに気づいた。毎回、読むたびに鋭利なも

          ブルーピリオド最新刊発売記念レビュー~裸になれない人間たちへ

          日常のなかの余りある幸せと、それでも埋まらない寂しさを同時に感じて泣きたくなってしまう夜がある。私は幸せ者だし、人の優しさで生きている。だけどそれでもどこか、夕べになるとつう、と涙を流してしまいそうな心の穴を、もう何年も抱きしめ続けている。

          日常のなかの余りある幸せと、それでも埋まらない寂しさを同時に感じて泣きたくなってしまう夜がある。私は幸せ者だし、人の優しさで生きている。だけどそれでもどこか、夕べになるとつう、と涙を流してしまいそうな心の穴を、もう何年も抱きしめ続けている。

          繊細だからこそ

          3月頃から、HSPの症状が強く出るようになった。 HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、顕著な4つの症状「DOES」がある。 ■ D:Depth of Processing/深く処理をする 簡単に結論の出るような物事であっても、深くさまざまな思考をめぐらせる ■ O:Overstimulation/過剰に刺激を受けやすい 刺激に対する反応が強く表れやすく、疲れやすい ■ E:Emotional respons

          繊細だからこそ

          のちにくやまず

          いつからか、後悔しないように生きようと思い始めていた。   人間は生きているとどこかで後悔を覚える。それは自分のことだったり、友人仲間のことだったりと様々だが、私にとって家族という繋がりは、30歳になった今一気に複雑めいてきていて、後悔が形になる前のもやのような状態、思い悩みの種になっていた。   切っても切り離せない間柄だから、どうにもならない。どうにかしようとしても、ままならないことがある。現実を見ることから逃れられない……家族について考えるとき、私の中には重石が乗ってい

          のちにくやまず