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モノが売れない時代の売り方。

売るために必要なモノは?

モノが売れにくい時代です。

消費者はほとんどのモノを持っていて、生活に必要なものはすでに持っているからです。

モノだけを買うときは、ネットで価格比較すれば、世界中で一番安く販売されているところをすぐに探すこともできます。

買い手にとっては便利な世の中ですが、売り手にとっては選ばれるのが大変難しい状況です。

このような市場で、どうやって売ればよいのでしょうか?

答えは「顧客の信頼を得る」ということです。

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売り手が信頼できると顧客が感じると、価格競争を回避できます。同じ買うならあなたから買いたいと選ばれるようなコミュニケーションを心掛けます。

信頼されている企業の取り組み。


「レクサス」と「ジャパネットたかた」の取り組みが参考になります。

世界的な顧客満足度調査の調査結果で、レクサスはラグジュリーブランド・セグメントにおいて、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどを抑えてナンバーワンとなりました。

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米国自動車ブランドロイヤルティ調査(Automotive Brand Loyalty Study)の結果。

レクサスは顧客の信頼を得るためのブランディングに力を入れています。

レクサスディーラーでは特別な研修を受けたスペシャリスト制度があります研修では、レクサス車のみならず、ジャーマンスリー(ベンツ、BMW、アウディ)やマセラティなどの車にも試乗し、ライバル車との比較なども体感します。
また、クルマの細かい知識だけではなく、ワインや万年筆、腕時計、ゴルフなどなど、オーナーやお客様と円滑なお話ができるようなテーマの造詣をも深めるための知識も研究します。

ディーラーに来店した顧客と一緒に楽しんで話ができる販売員を育成しているのです。

互いに進んで相手といっしょにいたいと思う関係が売り手と買い手との絆を作りだすと考えているからです。

絆を生むには次の四つの要素を踏まえた活動を行う必要があることがわかっています。
それは①顧客との適度な接触頻度、②顧客にとって有益な情報の発信
③顧客への適切な自己開示、④顧客に情緒的な体験を与えられた機会です。

顧客は、自分にとって有益な情報を常に発信し続けてくれる相手を信頼し、好きになります。

レクサスはこのような取り組みで、世界一信用される自動車ブランドとなりました。

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次にジャパネットたかたの売り方を紹介します。

長崎県佐世保にあるジャパネットたかたは従業員数約500名の企業です。しかし、年間売上は1500億円以上で通販会社トップです。

高圧洗浄機 ジャパネットたかた

どうやってこれだけの売上を上げているのでしょうか?

ジャパネットたかたは「商品」ではなく、「商品の利用シーン」を販売しています。

「ドリルを売るなら穴を売れ」の考え方です。

ビデオムービーなどを売る際に、商品のスペックや機能の説明などはしません。

「こんなふうに使える」ということを、難しい言葉を一切使わずに、わかりやすく説明する。

そして顧客に自分が使っている姿をイメージさせます。

この演出が絶妙なのです。

テレビショッピングを見ている消費者は、「そうそう、私も同じ気持ち」と共感し、思わず買ってしまいます。

少し悪い言い方をすると、「また、買わされてしまった」という風にもとれますが、同社はブランド力が高いことで知られています。

顧客にとってジャパネットたかたは、自分たちに最適な商品をススメてくれる信頼できる存在なのです。

レクサスとジャパネットたかたの売り方に共通する「顧客との信頼関係の構築」は今の時代に売り続ける絶対条件です。


顧客は自分の未来を買っている。


そして、もう一つ共通項があります。

それは、両者とも ”体験を語る” ことに重点を置いていることです。

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購買に関するアンケートによると、現在では「所有」より「体験」を重視する人が多いという結果が出ています。これは世界的にも同じ調査結果となっており、全体的な流行として体験の消費、いわゆるコト消費が広がりつつあることを示しています。

最近、日本を訪れる中国人観光客の行動パターンが変わってきました。

ほんの数年前までは、百貨店で高額なブランド商品を爆買していた観光客は、次第にドンキホーテやドラッグストアで化粧品や電化製品などの日用品を大量購入するようになりました。

最近では、以前のような爆買は減少し、有名な美容院でカットをしてもらうことや、設備の整った病院で人間ドッグの検査を受けることなどのために来日する人が増加しています。


2019年の夏に、大きくニュース放送された、高速道路でのあおり運転事件の後、ドライブレコーダーが爆発的に売れているそうです。

事件の動画は強烈なマイナス体験映像となったので、人々は自分の将来の身の危険を感じ、ドライブレコーダーを買わずにはいられなかったのでしょう。


消費者はモノやサービスが欲しいのではなく、未来の自分を買いたがっているのです。

未来の自分の生活をイメージして、そのストーリーに必要なモノを準備しようとしているのです。

ですから、これからのビジネスパーソンは顧客の未来のイメージを叶えるためにモノやサービスを埋め込み、自分なりのシナリオを示すことでお客さんに選んでもらわなければならないのです。


損得と感動で選ぶ時代に


消費者の価値軸は、損得だけではありません。

情緒的な価値へとシフトしてきています。

損得勘定での満足感だけでは絆は生まれません。その場だけの付き合いとなります。

人口減少とともに大量消費の時代の終わりを迎えつつあるこれからは、継続的に顧客と関わりを持たなければ、安定した売上は望めません。

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モノが売れないこれからの時代に、売り続けるためには、

「満足」と「情緒」の両面からのアプローチが必要です。








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