80歳のセンパイと暮らす。(21)

センパイはよく知らない人に声をかけられる。

今日は近所のバス停でバスを待っていた時、雨が降ってきたので折りたたみ傘をさそうとしたら、知らない女性から「奥さん、傘ささなくていいわよ。私の傘に入れば」と言われたとか。近所でも見たことのない人だったらしいが、「わたし、滅多にバスに乗らないんだけど、今日は暑いから。これから旦那と息子と飲みに行くの」「そうなの。楽しそうね」と会話が続いたらしい。「なんだか楽しそうな奥さんだったわ」と、なんだか嬉しそうに話すセンパイ。

こういうエピソード、本当に頻繁に聞く。バス停での話が一番多く、センパイより歳上の場合もある。センパイは聞き上手に見えるのか、色んな身の上話や、選挙の前には政治の話をされたことも聞いた。一頻り話を聞いた後に「あなた、お幸せそうね」と言われたこともあったとか。どうしたら、そんな言葉をかけられるのだろうか。
私もセンパイに似たのか、初対面の人ともわりと話せる方だが、センパイみたいに話しかけられることはそうない。たまに大丈夫だったの?と心配することもあるが、これはセンパイが羨ましいなと思うことのひとつ。誰にでも話しかけられたいというのではなく、オープンで話しかけたくなるような雰囲気を持っているのが素敵だなと思うのだ。歳をとると刺激がなくなると言うけど、刺激の引き寄せ力というのは歳とは関係ない。「え?なに?」と聞き返されることが最近ますます増えて、明らかに聴力が弱っているというのに、変わらず話しかけられるセンパイの人生って、小さな刺激に満ちていて、楽しいんだろうな。きっとそれが顔に、雰囲気に出てるんだろう。そしてまた話しかけられるスパイラル。最強でしょ。頑なに見える年寄りにはならないようにしたいもんだ。

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