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結婚指輪がない理由

芸能界の大御所カップルの幸せにあふれた結婚記者会見をみていて、そういえば私も結婚指輪ないな、と思い出した。

結婚して今年で10年目である。結婚指輪がないのは、単に興味がなかったからだ。あと、高いなと思っていた。

みんながいくらの結婚指輪を買うのか知らないけれど、Google検索で「結婚指輪 平均」と入力して出てくるマイナビウェディングのサイトには、21.8万円が平均購入価格とある。

30歳をすぎたいまでも、「高い……」と思ってしまうから、そもそも私は結婚指輪に憧れがないのだろう。

それほどのお金を払うなら、別のことに使いたい。私の場合、無理してまで買おうと思えなかったというだけ。

あとは、「結婚指輪らしきもの」を持っていたので、それで満足していたのもある。

「結婚指輪らしきもの」とは、小指にはめているシルバーとゴールドの2層のリングのこと。入籍した年の、夫の誕生日に購入した。

夫の誕生日は6月。入籍日は11月。小指のリングを購入したときは、まだ同棲中。結婚もぼんやりしていた。結婚指輪を買おう、みたいなロマンチックな話は一切なかったと記憶している。

なんで、誕生日にあわせて購入した指輪で満足しているのか。これもただ単純に、私のお気に入りだからだと思う。

指輪は、Belluria(ベルーリア)の市松というブランド。


市松の指輪は、すべて手仕事でつくられる。指輪になる前の直線的な素材を、叩いてリングにする。完成した指輪には、叩かれた金型が残る。それが、なんともいえない味わいを出してくれる。

型をつかわない市松の「人の手でつくられた」指輪は、同じものは一つとしてない。そこに、なによりも惹かれた。

私まで市松の指輪を購入したのは、完全に成り行きだ。本来は、夫の誕生日プレゼントだけ購入するつもりだった。

ショーケースに並べられた指輪をみたとき、猛烈に欲しいと思ってしまった。シルバーとゴールドが重ねられた、ちょっと太めの指輪。小指につけると、きらりと存在感がある。

10年間つけ続けた指輪は、いまではすっかり私の一部のような感じ。だいぶ傷もついてしまったけれど。ないと不安になるお守りのような存在だ。

そんな大切な指輪を、なくしたことがある。しかも2回。どちらも、絶対みつからないだろうと落胆した。

1回目は、ニュージーランドに移住してから旅行で地方都市を訪れたとき。

旅先から帰る途中、いつもの指にリングがないことに気が付いた。真っ青になる私。あれ、いつまでつけてたっけ。記憶を手繰り寄せると、前日の就寝時はつけていた。朝は記憶がない。ということは、宿のベッドで外れたのか……?

帰宅してから、急いで宿に連絡をする。「探してみる」との返事。でも絶対に見つからないだろう…ああ、私の4万5千円……としょんぼりしていた数日後、奇跡のような連絡が。

「ベッドの隅に落ちてたよ!預かっておくから、どうすればいい?」

よかった!

実はこの旅行は、引っ越しのための下見だった。なので、1か月後には旅先が住まいとなる予定。宿のレセプションで保管してもらい、無事に1か月後に私の手に戻ってきた。

次になくしたのは、2年前。車を運転していたら、指にリングがないことに気が付いた。いつも、なくしものは突然だ。

記憶をたどる。カーシートの隅や、ベッドの布団のなか、ありそうなところをくまなく探す。出てこない。前日に、OPショップに着なくなった子ども服を寄付したから、そこに紛れ込んでいたのか…?

一縷の望みをかけて探しにいくが、そこにもなし。つらい。

家じゅうをひっくり返しても見つからない。今度こそ、もうだめかも。

新しいものを買うといっても、同じものはこの世にないわけだし。

がっくりと肩を落としてから2週間後。仕事をしていると、「あった!あった!」と夫の騒がしい声。寝室に向かうと、夫が手に指輪を持っている。

「どこにあったの!?」と驚いていると、靴下を広げたら出てきたという。洗濯をする際に衣服に紛れて洗濯機に入った指輪が、靴下の中に入り込み、そのままたたまれて箪笥で眠っていたというのが真相だった。

なくしものは、かならず見つかる。そう私の心に刻まれたのは、いうまでもない。

そんなこんなで、10年間を共にしてきた指輪は、私のお守りになっている。

あいかわらず結婚指輪には興味がないけれど、市松の指輪ならまたほしいなあと思う。

結婚10周年の記念に、薬指につける指輪を買うのもいいかもしれない。新しい10年を一緒に過ごす指輪。

好きなものを身に着けるっていいよねと思いながら、市松のウェブサイトをながめている。




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好きな季節は、NZの秋です
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サトウ カエデ

ライター。ニュージーランドで暮らしてます。夫・子ども一人。『かわいい娘の話をします』のマガジンで育児の話を。ほかには、海外生活や夫婦の関わり、働き方や生き方について。 お仕事のご依頼はTwitter・DMから。
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