いっしょに作る、今日の餃子
<前回のあらすじ>
オオゼキ愛あふれるまつしまようこさんが紹介する黄金色の「陽子の餃子」を作りたいと思い立ち、日曜日の朝、娘とスーパーへ旅立った私は……!?
というわけで、無事にスーパーで餃子の材料をゲット。
時刻は日曜日午前11時。ランチにむけて、餃子づくりを開始するにはふさわしいタイミング。
はたして私は、無事においしい餃子にありつけるのか……?
玄関の扉を開けた直後から戦いは始まっている
子どもと一緒のクッキング。大変なのは、台所からではない。戦いは、スーパーから帰宅し玄関の扉をあけた直後からはじまっている。
なぜなら、購入した荷物を「しまう」という工程がある。そして、今回のメンバー・娘は、大人と違ってせっかちである。
キッチンに運び込んだ荷物を、次から次へとだし、がしゃんがしゃんと戸棚や冷蔵庫にしまってくれる。ああ、ありがとう。でも、餃子をつくる材料は出しっぱなしでもいいんだよ。
こちらは帰宅後にコートをハンガーにかけたり、財布をしまったり、終わった洗濯物を乾燥機に放り込んだり、順序立ててやりたいのだが、娘とタイミングあわない。
ついでに言うと、買い物中に我慢していた尿意(失礼)を開放するためにトイレにも行きたい。
急げ急げ。私だけかもしれないけれど、子どもと一緒のクッキングは、スタートから慌ただしい。
手を洗い、小走りでキッチンに行くと、娘はすでにテーブルに餃子用のお皿も用意してくれていた。き、気が利く。
いくぜ!餃子づくり!
スタートから40 %ぐらい消耗したけれど、材料をならべてようやく餃子づくりスタート。
豚肉が200gなので、500gのパッケージからはかって分量をボールへ投入。
ここからは、娘の出番。
計量スプーンをボールの上で持ってもらい、私がそこに調味料を入れていく。
醤油、大さじ1
ごま油、大さじ1
あ、まってまって。オイスターソースを小さじ1。
さいごに、砂糖をぱらぱらっと。
よし。娘に手袋をはめてもらい、肉をまぜまぜする係に任命する。「陽子の餃子」レシピによれば、餡をきっちり混ぜることがおいしさのポイント。まぜまぜ係の任務は責任重大だ。
ゴム手袋がずり落ちてくるので、急きょ輪ゴムで止めてみた。
少し前なら、ボールをひっくり返したり、中身の半分をベンチ台にこぼしていた娘だけれど、5歳を過ぎた頃からはけっこうな「戦力」になってくれる。
まぜまぜ係を任せている間に、千切りしていたキャベツをみじん切りへ。ショウガもすりおろし、ボールへ。さらに娘に混ぜてもらい、肉餡が無事に完成。
肉の脂がしっかりと柔らかくなり、粘り気が出ていい感じ。ふんわりと、ごま油の香りが漂ってくる。
子どもと包む餃子の、秘密兵器
餡ができたら、ちゃっちゃと包む工程へ。もう早く食べたい。
皮はアジアンスーパーで買った冷凍品。電子レンジに数秒かけて解凍する。
どんな形で包んでもいいのだけれど、せっかくだから秘密兵器も登場させる。
キッチン用品店で以前購入した「餃子包み型」なるもの。
皮を置き、餡をのせ、ぱたんと閉じると綺麗な餃子ができる。
うん、なかなかよい。
娘は「好きにやってもいいんだよねえ」と、フリースタイルの餃子包みにも挑戦していた。うんうん、餃子は皮と肉餡が一緒になっていれば、おいしくなるから大丈夫だよ。
むやみに肉餡をさわった指をなめたりすることもなく、無事に25個の餃子が完成。娘と一緒に手を洗い、使ったボールを軽く片付けて、いよいよ「焼き」の工程へ。早く食べたい!
スキレットでの餃子は、火加減が肝心
「陽子の餃子」レシピによれば、火加減は蓋をしてずっと強火とのこと。
私が餃子を焼くのに使うフライパンは、こちらの記事でも紹介しているロッジ社のスキレット。熱伝導率が良いので、ずっと強火だと焦げないかな……?と不安が頭をかすめた。
まあいい。まずはレシピ通りに作ってみよう。餃子を並べて、水100mlを投入。蓋をしても立ち上る水蒸気。わくわくが止まらない。早く食べたい!
ちなみに、焼きの工程は危ないので、娘には餃子を数個並べるのを手伝ってもらったのち、キッチンから退場していただいた(時間つぶしにiPadでゲーム中)
さて、そろそろか…?と蓋を開け、ごま油を回しかけ、フライ返しをいれたところ、
焦げてる!!!!
なんてこった。やっぱりスキレットに強火はやりすぎだったか。
焦げているといっても、真っ黒ではない。ひとまず食卓に運び、いただきますもそこそこに口に運ぶ。
うん、カリっとしておいしい。でも、ジューシーさがない。
これは、焼きすぎだ!!
こんなことでめげない。たいてい、餃子の焼きは1回目は失敗するか満足にいかないと相場が決まっている。
残りの餃子は16個。私と娘で楽しむには十分だ。焼きすぎた餃子をぱくつきつつ、いざ2回戦へ。
愛しの、ゴールデンな焼き色
1回目の反省を生かしつつ、餃子をフライパンに並べる間は中火で。1回に9個しか焼かないので、水の量を90mlぐらいにしつつ、水投入と同時に火加減を中強火へ。
蓋をして、水蒸気が少なくなるのを待つ。
若干の水分が残る状態で、蓋をあける。いい感じだけれど、焦げ目はまだ。ごま油を回して、「そのとき」を待つ。
餃子の焼き加減というのは、ひっくり返すまでわからない。なんともエンターテイメント性の高い料理である(どこが?)
長年餃子を焼いてきたカンが告げる。よし、いまだ!
焼き目を確認してお皿へ。今度こそ、完璧な焼きの餃子ができた!!
いそいそと食卓へ運び、再びいただきます。
かぶりつくと、ジュワっとあふれてくる肉汁。う~ん、おいしい!
オイスターソースとちょびっといれた砂糖が、隠し味的にじんわりとした甘さを肉汁につけている。
1回目の餃子には無反応だった娘も、この餃子にはニコニコである。「おいしいねえ、お母さん焼くの上手だねえ」とほめてくれた。
「娘ちゃんが、まぜまぜしてくれたから上手にできたね」と二人でハイタッチ。
あーおいしい。あーしあわせ。餃子を娘と一緒につくれるようになって、よかったなあなんて、しみじみ思う。
餃子が手の届かないメニューだったころ
おもえば、娘が産まれて3年ぐらいは、ほとんど餃子を食さなかった。
ちょろちょろと動き回る子ども。餃子みたいな「手のかかるメニュー」は、産後しばらくは幻みたいな存在だった。
これが日本であれば、いくらでも餃子を食すことができる。でもここはニュージーランド。しかも田舎。おいしい餃子が食べられる中華レストランもない。
食の欲求が満たされない日々は生活の質を地味に下げていた。あの頃からくらべれば、思い立って餃子の材料を買い出しに行き、娘と二人でつくれるなんて夢のようだ。
相変わらず準備はバタバタするし、なにか割るんじゃないかとハラハラするし、肉を触った手をなめないでね!とか、フライパンの柄はさわっちゃだめよ!とか、料理中はあわただしい。
おひるごはんも、卵とほうれん草をぶち込んだスープと餃子しか作っていないし(でも100点満点!)、なんなら台所は洗い物がぐっちゃりしている。
優雅な週末ランチとは、程遠いのだけれど。
でも、楽しかったな。一生懸命、肉を混ぜる娘に「いいよーいいよー上手だねー!」と声をかけて。「いいねーうまく包めてるよー」と一緒に餃子を包んで。
そして一緒に作ったから、おいしいねってハイタッチできて。ハフハフ、あちちって餃子を頬張って。うん、うれしかった。今日の餃子は私史上いちばん、思い出に残る味だ。
あわただしいけど、また一緒に作ろう。
「陽子の餃子」、ほんとおいしい。レシピを考案した陽子さんも、それを素敵noteにまとめてくれたようこさんも、ほんとうにどうもありがとう。
食べたら幸せになれる餃子、ぜひみなさんも作ってみて。ひとりで作っても、誰かと一緒に作っても、きっとおいしいよ。
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