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ありがとう、のお礼

8月23日に公開した『8分間のサマー・トレイン』。今回、キリン×noteのコンテスト、#あの夏に乾杯 で審査員賞(スイスイさん)を受賞しました。

5800以上のビュー、380を超えるスキをもらいました(結果発表からさらに増え続けてます……)。noteで書いて1年半、公開した184ノートのなかで、一番たくさん読まれて、一番みなさんから反応をもらった記事でした。

この作品が、誰かの心に届いたこと。それが本当にうれしいです。読んでくださったみなさん、ありがとうございます。

あんまりにもうれしくて、何回「ありがとう」を言っても足りないです。

暑苦しいけれど、せっかくなのでシュワシュワと泡のようにいつか消えてしまうこの気持ちを、私のnoteを読んでいるみなさんと、とりわけ三人の方に、お礼のお手紙という形で書いておきます。

実のところ、受賞のお知らせは少し前に頂いていました。メールを読んだ瞬間は半信半疑でした。人は驚きのあまり感情がフリーズする、という例えが正しいのだと実感できるくらい、何回も文面を見直してしまいました。

娘の寝かしつけをしながら、暗い部屋で手に取ったスマホを眺めていると、じわじわと湧き出る「喜び」のようなものが胸に広がっていきました。

はじめに思ったのは、「あの作品を書いてよかったな」でした。そして、「ああ、書き続けてきてよかったな」と噛みしめるように思いました。


2018年の4月に登録したnote。最初は不定期更新で、月に数回書くだけでした。ニュージーランドの片田舎で暮らしながら、34歳からはじめたライターの仕事を必死にこなし、たまにnoteに遊びにきていました。

ひっそりと過ごしていた世界に、はじめて声をかけてくれたのが、ライターつながりで知り合った少年Bさんです。

Bさんは、私の文章を、はじめて「好き」と言ってくれた人でした。それこそ、スキの数か一桁のときです。心底びっくりしました。読んでくれる人がここにいる、その事実が、一人で書いていた私を少しだけ勇気づけてくれました。

今年の5月から、noteで毎日更新を始めようと決意できたのも、Bさんの言葉があったからです。毎日更新を決意する数日前に、Bさんから別件でDMをもらっていて、そこでもたくさん私の文章をほめてくれたんですよね。

私の文章を読みたいと言ってくれたこと。そのおかげで、いまこうやって書いています。本当に、ありがとう。

それから、ヤマシタ マサトシさん。

ヤマシタさんは、しりひとみ(敬称略)やオオゼきようこ(概念)を世に送り出した『今月のイチオシnoteクリエーター』で私を見つけてくれた人です。毎日更新をはじめて2週間たったときの記事を、ノミネートしてくださいました。

選ばれるどころか、ノミネートの対象になるはずはない、そんな風に思っていた頃の突然のピックアップ。本当にうれしかったです。

ヤマシタさんは、私が気持ちを入れて書いたnoteを、いつも外さずにスキしてくれました。さらにnote分析家ですか?というくらい、コメントが的確で。

書き続けるなかで、ヤマシタさんのスキに自信をもらって、励まされていました。サマトレの受賞はヤマシタさんの予想通りなので平常心なのでしょうが(▼予言……)

こちらはうれしさと驚きと感謝で、胸がいっぱいです。ありがとうございます。

そして、入谷 聡さんことillyさん。今回の受賞で、illyさんにお礼を言わないわけにはいきません。

サマトレの公開前、「誰かに読んでもらってアドバイスがほしい…」とツイッターで呟いていた私に、「よければ読みますよ~」とDMくれたのがillyさんでした。そのおかげで、あの作品がガラッと変わりました(そのときの経緯はこちら)。

謙遜せずにいうと、サマトレは全力で書いた作品です。一人で書き上げても、満足したと思います。でも、illyさんのアドバイスがなければ、きっと受賞できなかったです。

たった30分の、1回だけのアドバイス。そのおかげで、この作品が完成しました。

illyさんのnoteを読んでいると、作り手の目線で作品を良いものにする姿勢って、長い時間をかけて彼が身に着けていったものだったんだろうなあ……と思うんですよね。

そんな大切なものを、すれ違った人に「ハンカチ、落としましたよ」みたいな気軽さでわけてくれる。それって、いい人すぎませんか。

今回の受賞して、たくさんの方からおめでとうの言葉をもらい、うれしい気持ちが増幅するようです。そして偶然にも、作り手の喜びを共有できる人がいて、幸せです。

イリさん、本当にありがとう。日本で会ったら、乾杯しましょうね。

受賞の知らせをメールで受けてから、結果発表を待っているまでのあいだ、ツイッターで10年間を振り返るタグが流行っていました。

ある朝、歯を磨きながら「私の10年って、どんなんだったかなあ」と考えました。10年前に移住したな。ライターとは違うことやってたな……そうして鏡をみながら、ふっとよぎったのが中学生の頃のことでした。

14歳の私は、ノートにお話を書いていました。プロになろうとか、賞に応募しようとか、真剣に考えたことはなく、ただ頭のなかの創作話を文字にしていました。

私が最初の就職先に選んだのは、書くこととはまったく違う道。

「夢をあきらめた」なんて口が裂けてもいえません。あきらめるほどの、努力なんてしていません。ただ、遠い記憶の片隅で、想いを箱に入れてしまっていただけ。

勉強机に座り、鉛筆で物語を綴っていた自分を思い、ああ、私は書きたかったんだなあと思い出しました。言葉を、文章を、物語を。それが、書けるようになったんだなあと。

その想いに再び出会ったとき、ふいに涙が出ました。遠い記憶の中にいた、中学生の私が手を振って笑っていました。

文章を書いていて、いつも自分の力の未熟さを感じます。ライターとして学ぶべきことも、積みたい経験も、たくさんあります。

自分のできない部分も、現実的な立ち位置も、過大評価せず見つめていきたいです。

それと同時に、みなさんが読んで「いい」と言ってくれる言葉を、私は信じます。たくさんの方が、声をかけてくれた『8分間のサマー・トレイン』は、本当にいい作品なのだと、自信を持って言えます。


一人で書き始めたけれど、書き続けていたら、一人じゃなくなっていました。

いつもスキを押してくれる方、コメントをくれる方、noteにとどまらずTwitterでも仲良くしてくれる方、それからふらりとnoteに遊びに来てくれる方……本当に、ありがとうございます。


さいごに、忘れられない選評をくださったスイスイさん、審査会で推してくださったほかの審査員の方々、コンテストを主催したキリンチームのみなさんとnoteの方々、本当に素敵な機会をありがとうございました。

今回の受賞の喜びを、一生覚えておきたいなと思います。そして、1年後に振り返ったとき、「ああ、うれしかったなあ」と静かに思えるくらいに、遠くまでいきたいです。

これからも、書き続けます。

感謝を込めて。

2019.09.27 サトウカエデ


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