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【野球】ストイックだけが正解なのか..松坂大輔の輝きと失脚を思いながら

「平成の怪物」松坂大輔の現役引退が発表された。

全盛期の輝きは今さら説明するまでもない。横浜高から西武でエースとして活躍し、レッドソックスでも先発ローテの一角を務めた一方、日本代表としてもWBCでMVPを獲得するなど、いつだってマウンド上に立つ彼が主役だった。その姿を、近い年代の目線からリアルタイムで追い続けられたのは個人的にも一つの財産である。

しかし、晩年はコンディション不良に苦しみ、まともに投げられないシーズンが続いた。投球フォームが崩れ、体型も締まりがなくなってくると「太り過ぎ」「練習しろ」という批判の声が相次ぐように。

イチローもWBCで同僚として戦っている際に「野球を深いところで舐めてるだろ」と指摘したのはあまりにも有名だが、若い頃からガムシャラに野球に取り組んできた気迫が、思うように結果が出なくなったのを機に燃え尽きてしまったのではないかと考えさせられてしまう。

ただ、だからといって無条件で非難の対象としてよいものだろうか。

もちろん、イチローのように現役生活の最後まで節制を続け、常に一日のベストを尽くし続けた姿勢は称賛するしかない。だが、トップアスリートの中であっても誰もがあのレベルを追究できるとは思えない。ストイックであることは素晴らしいが、それだけが正解なのだろうか。どうもスポーツのファンやメディアは、選手にストイックさを求め過ぎているように感じる。

若い頃から目いっぱい楽しめる分だけ野球を頑張って、そして燃え尽きた。そこから立ち直ることはできなかった。そういう選手生活の終わり方も、ひとつの道。松坂大輔伝説の終章は、それでよかったんじゃないだろうか。

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