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【競馬コラム】成人の日と平成のレジェンドたち

僕が20歳を迎えた年の成人の日はサイレントディールが勝ったシンザン記念の日でした。成人式には行こうとも思わず、いつもどおり競馬場で楽しい時間を過ごし、いつもどおり夕方からはバイトに行ったことを思い出します。ちょうど今から20年前。何やら今年は本厄とかいう巡り合せだそうで。

月日の流れはいつだって早い。20年前に競馬界を無双していた武豊も50代半ばを迎え、リーディングトップの座からは随分と前から陥落した。それでも外国人や若手の台頭に懸命に抗いながら、今もなお要所で存在感を示し続けてくれるのは長年の競馬ファンからすれば感謝しかない。

サイレントディールから20年が経った2023年のシンザン記念も、そんな一戦となった。残り少ないディープインパクト産駒の最終世代ライトクオンタムとコンビを組んで、伝統芸の大外一気で差し切り勝ち。今週の中京競馬は外差しがよく伸びる傾向にあり、タメて末脚にかけるパターンがハマったのは大きかった。
思えばディープインパクト産駒の重賞初制覇も武豊が騎乗したダノンバラードだったし、初年度と最終世代の両方での重賞勝ちをもたらしたというのも、かつての主戦として象徴的な事実である。

これが自身にとって37年連続、そして通算350勝目の重賞勝ちとなった。改めてとんでもない数字であり、こうして金字塔が打ち立てられる度に空前絶後のジョッキーの姿を拝めているありがたさを実感せずにはいられなくなる。たとえ海外の盟友ランフランコ・デットーリが引退しても、そして国内でしのぎを削り続けた福永祐一がムチを置いても、引き際など考えさせられる様子は見られない。どうか納得いくまで武豊騎手でいてほしい。

そんな競馬界が誇る平成のレジェンドがカッコいいところを見せてくれたのと時を同じくして、将棋の羽生善治九段が王者・藤井聡太に挑戦する王将戦第1戦がこの週末に行われた。中盤までは互角の戦況だったが、さすが相手は令和の怪物である。終盤に形勢が傾くとそのまま屈することとなった。
衰えを指摘されて久しい羽生さんだが、今季は復調の気配を見せ、こうしてタイトル戦の挑戦者として再び頂点を狙える場に立てているだけでも、僕のような将棋初心者のファンにとってはうれしい限り。歴史的な対戦カードを実現させてくれただけでも感謝である。
しかし頭脳・体力・集中力すべてが極限の状況下で争われる将棋の世界で、親子同然に年の離れた歴代最強クラスの怪物と戦うとか過酷でしかないなw どうかこちらも悔いのない勝負を見せてほしい。

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