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【野球】名将、再び宙を舞う

18年は長いですね、おーん。
当時大学5年生だった僕も二児の父で部下の面倒を見る年になりました。

阪神タイガース、18年ぶりのセ・リーグ優勝。
05年にも指揮を執った岡田彰布監督が、再び甲子園で秋の夜空を舞った。

はっきり言うて、優勝できるなんて思ってませんでしたよ。
いくら「優勝できる戦力はある」とか言われても、村上様みたいな飛び抜けたスラッガーもいなければ、山本由伸みたいな絶対的エースもいない。
盤石のヤクルトか、円熟味を増したDeNAには勝てへんよと悟りながら開幕を迎えましたわな。

半信半疑の4月、躍進の5月。そして苦悩の6月。
6月末のハマスタでスイープ食らったときは「ああ結局いつものコレね」と覚悟を据えたもんです。
今永、東、バウアー。間違いなくあのときのDeNAは強かった。

そして追い打ちをかけるように近本の戦線離脱。ないぴ。
どうにかこうにか耐え忍んだオールスターまでの記憶はあまり残ってない。しかし、ここで半ば急場しのぎで一軍復帰を果たした森下が覚醒の兆しを見せたことが、夏の快進撃へとつながった。
井上や前川、ミエセスに島田と取っ替えひっかえしてた右翼のポジションが固まると同時に、ノイジーでは荷が重かった三番も役割にも完全にフィット。肋骨の負傷が癒えた近本も復帰すると、そこから先にはビクトリーロードが広がっていた。

オールスター後、34勝8敗1分。おかしなことやっとる。

忘れられないのは、やはり横田慎太郎の追悼試合となった7月25日の読売戦。菅野智之から逆転2ランを放った大山がヘルメットを天に掲げ、岩貞→岩崎×梅野の同期バッテリーがリードを守りきったあの試合から、明らかに空気が変わった。

8月に10連勝。そして9月に入っても10連勝。とんでもないブーストを発動させて、最後は誰ひとりとして寄せ付けず独走のゴールイン。まさかここまで強いとは。

開幕前の見立てと同様、飛び抜けた選手はいなかった。

近本にせよ大山にせよサトテルにせよ、それぞれ今までの水準級の成績を残しただけ。青柳や西勇輝は近年に比べれば苦労を強いられた。村上の覚醒や大竹のうれしい誤算はあったにせよ、おしなべて戦力を見渡せばここ数年のタイガースとさほど大差はなかったはず。

だからこそ、岡田監督の手柄は大きい。

「こないして、普通にやればいいんよ」と言わんばかりに、こんがらがった糸を解いていく。中野を二塁にコンバートし、サトテル三塁、大山一塁と守備位置を固定。明らかに守備に難のある糸原はレギュラーから外した。
JFKほどの実績には欠ける中継ぎ陣はあえて形を決めず、相手の打順の並びやコンディションに合わせての継投策。昨年ブレイクした湯浅や浜地が不調に陥っても、岩貞・加治屋・島本・石井ら実績には乏しいB級メンバーを適度にフル稼働させ、厳しい局面を次々に乗り越えていった。シーズン途中では先発も経験した桐敷も適性を見定め勝ちパに放り込むと、火消しあり回またぎありの大活躍を見せた。ルーキー、桐敷、分かるか?

本当、選手のことをよう見てるなあと。

第1次政権時と比べても、明らかに「野球脳」に磨きがかけられてました。オリックスの指揮を執った後の十数年間が、めちゃくちゃいい時間だったんでしょうね。「なるほど」な采配の連続。金本→矢野と若い世代の監督が続いたあとの就任には少し不安というかイヤな気持ちもあったんですけど、「チームを勝たせる、阪神を勝たせる」というミッションにおいてこの人の右に出る人はいませんでした。

今65歳でしたっけ? たぶん年齢的にも監督業はあと1年が限界でしょう。この限られた時間に最高の結果を残してくれた名将に、改めて感謝の想いを。

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